一昨日のジャクソンホールでの講演で、イエレン議長が「利上げの根拠は強まっている」と発言、その前後からのFRB高官の利上げへの積極的な発言を受けて、100円を割る変わらないかを続けていたドル円は、101円台の後半まで上昇することとなりました。

積極的な利上げを示唆するFRBの発言は当ブログにとっては驚きは全くなく、当然のことという風に受け止めています。しかし、その後のドル買いはともかくとして、他の通貨に対しても円売りが一斉に入っていたのは、意外でした。これは、ヘッジファンド勢がここを機に仕掛けていた円買いを巻き戻しにかかったというのが、考えられることでしょうか。

 

とうとう日本株も騰がる?

もし、この仮説が正しければ、今まで弱すぎるほどに弱かったドル円が上昇する可能性が出てきたということで、日本株に対しても少し明るい希望が見えてきた気がします。イギリスのEU離脱の少し前くらいから、日本株は底堅さを増していることをお伝えしてきましたが、7月の追加緩和により、さらにそれが助長されたような感じです。一方で騰がることも一向に許されないという状態でもあったのですが、とうとうここにきて、それが是正される可能性があるのかもしれません。

日本株の上昇を抑えてきたのは、「円高」その一点に尽きると考えるからです。

 

なぜ円高なのか

そもそも、今の円高はなぜ起こっているのでしょうか。アベノミクスによって引き起こされた行き過ぎた円安は125円で天井を打っており、今はその修正過程。そう考えれば、相場的に特に違和感はないかもしれません。しかし、繰り返しになりますが、今年のドル円の下落率はリーマン・ショック時に匹敵するほどになっているそうです。そして、その時にすらあった10パーセント程度の戻り局面すらありません。

これにはいささか違和感があると言わなければならないのではないでしょうか。その不自然なほどに弱いドル円の理由として、「日銀への失望」、日銀の政策手段への批判を絡めた理由が目立ちます。しかし、日銀は緩和を辞めるわけでもなければ、追加の手段はまだあるし、やるつもりだとアナウンスし続けています。対して、アメリカFRBは利上げを段階的に行うとしています。

この方向の違いからも、リーマン・ショック以上に円高が進んでしまうと考えるのは、無理があるように思います。日銀の手段のまずさを理由に円高がさらに進む、という方もいるのですが、そこにずっとすがっているほど、海外を含めた投資家は感傷的でもないという感じがします。

総じて考えると、今の円高、これ以上の円高には理由があまりない気がするのです。

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※ドル円10年チャート

 

なぜ株高なのか

ドル円の動きはもう、弱すぎるほどに弱いのですが、たいして日経平均株価は16,000円台半ばで推移しており、為替に対してはかなり強いといえるでしょう。実際、数年前はこの水準では14,000円台だったのです。

なぜ株価はこうも強いのでしょうか。それには日銀のETF買いが多く言われているのですが、しかし、この強い動き自体はそれ以前から始まっていたのです。そして、このことは非常に重要だという気がします。

6月にEU離脱ショックが株式市場を襲いましたが、安値は14,800円くらいでした。もし、離脱があれば、14,000円程度まで売られる可能性がある、当時そのように言われ、私も実際それくらいかと思っていました。しかし、14,800円台もほんの一瞬のことで、すぐに15,000円台に戻っていました。私はこの強さを見て、ここでのドル円と日経平均の底打ち予測を立ててみました。ドル円はぎりぎりのラインで、株価はまだ余裕がある状態で、いまのところ、この予測は当たっております。

そして、それ以上に異常な状態といえるのが、アメリカ株です。EU離脱でも全くと言っていいほど下がらず、その後に史上最高値を再び更新してきました。世界的に震源地の英株が一番上昇率が高いようです。しかし、どうして、こうも世界的に株は高い状態が続いているのでしょうか。

それは、世界的な金融緩和状態で資金の行き場がなく、こぼれるように株に向かっているためではないでしょうか。そんな状態だからこそ、FRBは利上げを急がなければいけないわけです。実際、利上げを長らく封じてきたため、米株はドーピング状態になっています。そして、そうなることは、なによりイエレン議長自身が熱く語っていたことであるのです。そこから言えることは、FRBはそれがわかっていながら、動くことが出来なかったということです。

その理由として推論ながら、有力なのはやはりアメリカ大統領選挙ではないでしょうか。この選挙のために、アメリカはきっと、どうしてもドル安が必要だった、のではないでしょうか。

 

答えは

題名に対する答えはどちらも「変!」です。強すぎる株価と強すぎる円はどちらも、違和感ありまくりです。しかし、弱すぎるドルの理由が、大統領選挙にあるならば、それはもうすぐ終わるかもしれません。トランプはわかりませんが、クリントンもドル安政策を標榜していますが、それはあくまで選挙のためでしょう。今のアメリカにとってドル安を続ける理由は全くといっていいほどなく、むしろ危険なくらだと私は思っています。

 

イエレン率いるFRBは、選挙後には間違いなく正常な状態にマーケットを導いてくるでしょう。言葉通り、段階的な利上げに動く可能性も十分あると思います。それが高すぎる株価の暴落を引き起こすのではないか、という見解もあるようです。確かにない、とは言い切れません。

しかし、イエレンなら大丈夫だろう、というように私は見ています。この人ならきっと大丈夫だろうと。金の動きではなく、心の動きでそうなるんじゃないかと、勝手に思い込んでいるのです。私の感覚では、ラカルドもメルケルもクリントンも大したことはないはないのですが、イエレンおばさんは只者ではない、という気がしています。

彼女の投資家からの信任性の高さが暴落を防ぐと本気で考えているのですが・・。そんな予想は出鱈目でしょうか。でも、相場は心理で動くものですよね。そして、これが専門的でない当ブログの唯一無二の特徴です。

高すぎる株のほうの理由はそう簡単には解消されなそうです。まだまだ世界的にはアメリカが正常化に向けた動きを開始し始めたばかりで、各先進国は緩和姿勢をまだまだ続けそうです。であるならば、資金余りの状態は続き、普通に考えるならば、株高もきっと続くでしょう。

そして、最後に日本株ですが、不自然な円高の理由が大統領選挙ならば、その後には円安に動き、株は高くなると予想できます。そのようにおっしゃる方も一時期より増えてきたようです。当ブログでは引き続き、年末に向かって高くなる予想を維持したいと思います。