19世紀、七つの海を制し、世界を支配した大英帝国。その原動力となったのが、海軍です。

王国の軍隊となったのはイギリス軍の中で最も古く、19世紀の初めから20世紀中まで、世界でも屈指の規模を誇る海軍であった。基本的に各国の軍では陸軍が序列の最上位になるのと異なり、イギリス海軍は「先任軍(Senior Service)」とされており、形式的であるとはいえイギリス空軍とイギリス陸軍よりも上位の存在とされている。

1815年から1930年代後期まで「イギリス帝国」の世界的な影響力をもつ組織として確立させる過程において最も重要な役割を果たした

「イギリス海軍」 ウィキペディア

しかし、彼らは「最強」であったが故のジレンマに陥り、その存続をかけ、「極右革命」を目論んだ可能性が高いと見ています。

ヴァイキング VS 神聖ローマ帝国

古来、海洋国であった英国は1588年、スペインの無敵艦隊を破ったアルマダの海戦を機に、海の覇権を手中に収めます。東インド会社でアジアの海を支配し、ネルソン提督はナポレオンの侵攻をうち払い、世界の海に君臨した大英帝国です。

「七つの海を支配した大英帝国」は今も生きている!? 海運業と法律と金融 limo

大英帝国に敗れることになる「太陽の沈まぬ国」スペイン王国の祖は、神聖ローマ帝国のハプスブルグ家でした。

フェリペ2世(Felipe II, 1527年5月21日 – 1598年9月13日)は、ハプスブルク家のカスティーリャ王国・アラゴン王国(=スペイン)の国王(在位:1556年 – 1598年)。慎重王(el Prudente)と称された。

・1527年神聖ローマ皇帝カール5世(スペイン王としてはカルロス1世)とポルトガル王マヌエル1世の娘イザベルとの間に生まれた。スペイン王にして神聖ローマ皇帝に選出された父カルロス1世は当時のヨーロッパで最大の勢力を持ち、ヨーロッパ以外の広大な領土とあわせて、その繁栄は「太陽の沈まない国」と形容された。

「フェリペ2世」 ウィキペディア

その「無敵」を滅ぼしたのが、「最強」の大英帝国、そしてその祖は、「ノルマン人」。人呼んで「ヴァイキング」であることを、お伝えしてきました。

ヨーロッパの仲でも、イギリス、ノルウェー、デンマークの4ヵ国は歴史的に異質な国なのです。いまヨーロッパには10の王家があり、イギリスをはじめとるすこの4ヵ国は、すべて王家を戴いている。この一点だけでも異質なのだが、加えてこの4ヵ国の王家は、ヴァイキング(ノルマン人)を祖に持っている。彼らの王国をつくり、運営してきたのは、ヴァイキングとその末裔たちなのだ。

これに対して、ドイツ、フランス、イタリアなどのEUの主要加盟国は、全く異なる王家の歴史を有する。彼らの国は、中世の「フランク王国」、さらには「古代ローマ帝国」の歴史の記憶とその継承によってつくられていった。

「ヨーロッパ王室」からみた世界史

そして、この構図は、形を変えつつもある程度維持されていると考えるべきであることは言うまでもありません。そんなものは、きれいさっぱりなくなった!と考えている、常識人の頭の方がどうかしているのです。

その強大な海軍力も今はなく、近年は経済力の衰退を告げるニュースに接することが多くなっています。それでも世界の海では、現在もなお、ある面で英国が支配的な地位を維持していることをご存じでしょうか。

「七つの海を支配した大英帝国」は今も生きている!? 海運業と法律と金融 limo

争いの構図も含めて、歴史がある時点で、ちぎれるはずがないですね。ちなみに、海軍の総司令官は「イギリス王室」のメンバーになっているのが、興味深いですが、これは名目上の話ではないようです。

・アドミラルティ(海軍本部)と呼ばれる部局が最初に設置されたのは15世紀初頭である。当初のアドミラルティはアドミラルの執務室であったが、当時のアドミラル(後にロード・アドミラル)は「提督」と訳される後世の艦隊司令官或いは海軍の将官とは異なり、海事裁定の責任者であった。つまり、アドミラルティは実質的には海事関係の裁定機関であった。

・海軍本部のトップ。当初ロード・アドミラルと呼ばれていたが、後にロード・ハイ・アドミラルと呼ばれるようになった。国務大官の一つである。貴族が任命されていたが、やがて君主や王族の名誉職となった。1964年にエリザベス2世女王がロード・ハイ・アドミラルに就任するまで、2世紀以上空席であった。

「海軍本部」 ウィキペディア

終わった後に

第1、2次世界大戦に勝利した「大英帝国」と、その原動力になった最強の海軍はそののち、大きなジレンマを抱えることになります。

「おまえら、まだいる?」

そう、彼らは最強であったが故、うっかり世界を支配してしまったが故、自分たちの存続の危機を迎えることになったのです。

まず当然「もう、そんなにお金いらないよね?」って言われますよね。でも、素直に「はい、そうです」って言えるわけないですから、彼らは懸命に知恵を絞ったわけです。

第2次と第3次英蘭戦争においてイギリス海軍は敗北した。その後、緩やかに世界で最強の海軍へと発展していったが、18世紀前半になるとイギリス海軍は他国の海軍に比べて財政的問題が深刻化し、活動と管理に悪影響を及ぼした。しかし、イギリス政府は債券を通して海軍に融資する方法を編みだし、資金を得たイギリス海軍は他国の海軍に対処する封鎖の戦略を開拓し始め、常に高い士気、優れた戦術と戦略の段階的発展、多量の資源に支えられた。

「イギリス海軍」 ウィキペディア 

それは、世界中の預貯金をパクるという画期的なアイデアでしたが、これは、一部の識者によって「通貨発行権」と呼ばれています(笑)。

さらに、自分で失くしてしまった自らの存在価値を、世界中に最大アピールしなければならない必要に迫られます。

9月に英首相を辞任したジョンソン氏は講演で中国とロシアについて「2つの旧共産圏独裁国で権力が再び1人の支配者に集まっている」と述べ、激しい批判を展開していた。

ブルームバーグ氏がジョンソン氏の中国批判を謝罪、高官参加の会合 ロイター

しかし、同じヴァイキング系列のロシアはともかく、中国の協力が思った以上に得られず、この挑発に乗ってこないことに「イギリス」は焦っているように見えます。

英君「おまえの母ちゃん、でべそー(ほら、殴ってこいよ!)」

中君「悪口はよくないですよ」

英君「・・・・(マジか・・)」

そんな彼らは、中国の次は宇宙人と戦うつもりであることが、伺えますね。必死か! そう、彼らは今、とっても深刻なのです。

「極右」が必要な理由

そして、先のジョンソンに代表されるように、彼らに極端に肩入れしてくれる政治家を必要としました。これが、昨今の「極右ブーム」の正体でしょう。

「海軍が本当にほしいものを言ってくれ。財源は心配しなくていい」。オバマが主導してきた軍縮・対中融和路線と正反対のトランプ政権の申し出に、海軍高官は耳を疑う。

『米中海戦はもう始まっている』 第10章 ドナルド・トランプという選択肢

トランプ政権の幕引きまで残り少ないが、その日々の一部を政権は、太平洋での中国の動きを抑制するため米海軍をより大きく、より強くすべきだとの議論を盛り上げることに費やしている。

【社説】トランプ氏の置き土産は海軍の拡大か WSJ

「極右」と海軍は相思相愛、「海軍」その証明に、最強の諜報力を惜しみなく投入、「極右」応援の大規模な選挙キャンペーンを展開しました。それが、軍事作戦「Truth」と当ブログが呼んでいるものです。

戦争犯罪を調査する米国のバンシャーク国際刑事司法担当特使は21日、ウクライナ軍がロシア人兵士をその場で処刑したとされる疑惑を注視しているとし、紛争で虐待行為を行った当事者は全員責任を問われると述べた。

ロシア国防省は18日、ソーシャルメディアに投稿された動画を基に、ウクライナ軍がロシア人捕虜を処刑し、戦争犯罪を行ったと非難した。

米、ウクライナでのロシア兵処刑疑惑を注視 ロイター

それは、仕組まれた「世紀の大逆転劇」

マスク氏はツイッターへの投稿で次のように記した

皆さんがお分かりの通り、メディアに加え、完全な嘘をまき散らす最極左のアカウントに対してでさえ永久追放は行っていない。AP通信もそうだ。彼らはロシアのミサイルがポーランドに着弾したという、完全に誤った情報を流していた。それは戦争のエスカレートを深刻化させる可能性を持っていた。

アカウントの永久追放はなし、ロシアによるポーランドへの攻撃に関してフェイクニュースを流したAP通信でも追放しない=マスクCEO SPUTNIK 

マスクの言っていることは確かに「正しい」ですが、AP通信に誤った情報を渡したのは誰なのか?ということに思いをはせれば、その「正しさ」のうさん臭さに気がつくことが出来るでしょう。

しかし最後に結論を申せば、先の米国中間選挙を見る限り、この作戦は、豪快な空振りに終わりました。

「軍事作戦」は、市民にはあんまり通用しなかったのです。特に女性と若者にはね。ま、一言でいうとコスパ悪すぎ。だから、顔を見れば分かるっていつも言ってるんですよ。トランプが、女性と若者に受けるはずがないのです。

そして最も本質的な部分、時代とともに権益を失っていく自然の流れに逆らうことは出来ない、「最強」は生き残れないという自然の掟に、彼らは敗れたというわけです。

生き残るにはどうすれば? 

その答えは簡単です。今すぐ「最強」を止めればいいんです。

船長お分かり?