「韓国LGエレクトロニクス、曲面形状の有機ELテレビを5月に日本市場に投入」

と言うニュースが昨日流れました。

 

これは日本の家電メーカーの凋落ぶりを如実に象徴的に表していると思います。TVという家電の華の事業の最先端技術でも、韓国メーカーに完全にお株を奪われた格好となりました。これは日本人として大きく悲しむべく事実として捕える以外にはありません。そして、それはまさしくシェイクスピアの『リア王』だと、何度か書いてきました。

 

今回発表されたような馬鹿でかいサイズはいらないし、価格も高すぎますが、そういった点に広がりが出て来れば、とても魅力的な製品と思います。そうなれば私は今の液晶より数倍高くても欲しいです。

なぜかと言うと、画質が非常に良いからです。いや、と言うよりも液晶TVが悪すぎるのです。気づいていない方が多いのですが、液晶はもともと静止画用に作られたものであり、動画の表示には向いていないのです。それを小手先の技術で何とか少しきれいに見せている程度で、昔のブラウン管よりも動画の表示性能ははるかに劣ります

 

デジタル放送でHD画質を表示できるのは、ほぼ液晶かプラズマしかなかったため、誰も気が付かないのです。それをいいことに日本のメーカーは現状維持を貫き、次世代の薄型TV事業からさっさと撤退してしまいました。古ぼけた液晶にしがみついたまま、その筆頭のシャープは「潰れるんではないか?」と噂されるほどの有様になってしまっています。

 

私は昔、ソニーが試作していた有機ELテレビを電機屋で見たことがありますが、それは誰の目にも火を見るよりも明らかに液晶TVの画質を凌駕していました。有機ELが特別いいというより、液晶が悪すぎるんです。

ですから、やっと、まともな薄型TVが市場に出てきたなと言ったところですが、それを世に送り出したのは韓国のメーカーだったわけです。

 

もし、これが売れるとなれば、家電の華と言われるTV事業で最先端を走っているのは韓国メーカーという確固たる事実が出来上がり、技術が高いのは韓国メーカーという印象が広がります。これがブランド力です。

となれば、今でこそ日本の製品の方が物がいい感じがしますが、それもあっという間にとって代わられて、白物家電も含めてみんな韓国製になるんじゃないでしょうか。だって、家電の一流は韓国なんですから、掃除機だって、洗濯機だって韓国製品を買うでしょう。

 

有機ELテレビがもしかすると、弱体化した日本の家電メーカーに止めを刺してしまう可能性に注目してみてはいかがでしょうか。そして、もし本当にそうなったら、なぜそうなったのかはすべて『リア王』に書いてあると私は再度宣言したいと思います。

 

2017年1月9日追記

今年は有機ELテレビ元年になる、そのように言われだしました。一昨年、有機ELテレビを投入した韓国LGの有機ELテレビの売れ行きはまだそれほどではありません。しかし、パナソニックやソニーはLG製のパネルを拝借する形で今年有機ELテレビを今年こぞって発、日本メーカーに一日の長がある高画質化のチューニングされているようです。

これらの画質はきっとLG製を上回るでしょう。そして、有機ELテレビは次世代テレビとしてきっと普及するでしょう。私が書いたように、これでパナソニックやソニーが崩壊することはなく、むしろいい方向にいくかもしれません。

しかし、私は残念でなりません。なぜなら、この分野のイニシアティブはすでに日本にはないからです。この分野で長らく世界のトップを走ってきた日本メーカーですが、この事実は完全にトップの座から退いたことを表しています。