こうもあっさり終わるものなのでしょうか。トランプの敗北が意味することは、長らくアメリカ政界、強いては世界の政治をリード、いや支配してきたイスラエルの時代が、ついに幕を閉じたということになります。

私の読みは、彼らと共に敗北しました。

敗北の予兆

敗北の予兆がなかったかと言われれば、それは確かにありました。その中でも、最も大きなものは、イギリスが「合意なき離脱」ではなく、「合意ある離脱」を選んだことです。

以前、イギリスのEU離脱の意味とは、EUと離婚し、トランプ政権のアメリカと再婚することだと書きました。しかし、再婚相手は死んでしまったのです。

2016年来のイギリスのEU離脱戦略は、完全に水の泡と化したことになります。離脱の立役者だった、イギリスのトランプ、ナイジェル・ファラージの言葉は、象徴的でした。

「戦争は終わった。私たちは勝利した」

と彼は言いました。そして、同時に

そんなに良くない合意だが、しかし、それはもういいと。そして、彼は現在、「ロックダウンに反対する政党」を立ち上げています。

つまり、彼は、主菜から副菜に成り下がってしまったのです。

「戦争は終わった。私たちは敗北した」

これが本当だったのではないでしょうか。

何もせずに負けた「保守的なグループ」

私はトランプ政権すなわち、世界最強のロビー勢力「アメリカ・イスラエル公共問題委員会」が、何もせずに負けることは全くもって、考えられないとずっと書いてきました。しかし実際のところ、彼らは何もせずに、撤退してしまいました。これがなぜなのかというのが、最大の謎として残っています。

今のところ、その答えは、こう考えるしかありません。

何もできなかった、と。

最強を誇った彼らが、なぜ何もできなかったのか?

それは裏切りに合ったからだ、と。

それまでトランプ派だと思われていた人物が、次々と彼を裏切りました。そのおかげでトランプが用意していた結果を覆す戦略が、無効化されてしまいました。

そして、最後の手段として、トランプが戒厳令を出し、軍を出動させると言うような噂話が、ネットを中心に盛んに叫ばれていましたが、これを単に陰謀論と、切り捨てることは出来ません。

実際に、戒厳令が話し合われていたことがリークされていましたし、過去の国防長官経験者から「軍を使うな」という警告が発せられていました。元国防長官たちは、ネットの書き込みを見て、トランプを冷やかした訳ではないでしょう。計画は実際にあったのです。

しかし、トランプは、実行できなかった。それは、計画実行の後ろ盾を失っていたからかもしれません。

静かに死んだ黒幕たち

奇怪なことに、米大統領選後に、黒幕と考えられる大物が、二人も死亡しています。表立ったトランプのスポンサーだった、シェルドン・アデルソンとエドモンド・ド・ロスチャイルド・グループのベンジャミン・ド・ロスチャイルドです。

ニューヨーク (AP) —1953年に父親が始めた銀行帝国を監督したベンジャミン・ド・ロスチャイルドが亡くなりました。57歳だった。

同氏が会長を務めていたエドモンド・ド・ロスチャイルド・グループによると、同氏は金曜日の午後、スイスのプレグニーにある自宅で心臓発作で死亡したという。

1997年以来、ベンジャミン・ド・ロスチャイルド氏は父親の名を冠した銀行グループを率いてきました。Edmond de Rothschild Groupは今日、1600億ユーロ (1900億ドル) 相当の資産を運用していると発表した。

Forbes誌はロスチャイルドの純資産額を15億ドルと見積もっている。300年近く欧州の銀行を経営してきたロスチャイルド家の血を引く。

銀行経営者ベンジャミン・ド・ロスチャイルド、57歳で死去 ワインニュース

ベンジャミン・ド・ロスチャイルドは、アデルソンを凌ぐフィクサーでしょう。彼らはなぜ、殺されたのでしょうか? 敵に殺されたと考えるのが普通でしょうか。しかし、私はこう考えました。

粛清されたのではないか。

誰に? 最高権力者です。

ヤド・ハナディヴ(ヘブライ語「惜しみない手」という意味)とは、ユダヤ人の財閥であるロスチャイルド家の慈善財団。別名「ロスチャイルド基金」。存命時代にシオニズム運動への多大な寄付を行っていたエドモンド・ベンジャミン・ロスチャイルド男爵の遺志を受け継ぎ、1958年に設立。設立者はドロシー・ド・ロスチャイルド。現在の最高権限者は第4代ロスチャイルド男爵ジェイコブ・ロスチャイルド。

「ヤド・ハナディヴ」 ウィキペディア

エドモンド・ベンジャミン・ロスチャイルドは、ベンジャミン・ド・ロスチャイルドの父です。

エドモン・バンジャマン・ジャム・ド・ロチルドエドモン・ド・ロートシルト)(Edmond Benjamin James de Rothschild, 1845年8月19日 – 1934年11月2日)は、ロスチャイルド家のフランス分家の一員であった。シオニズムの強力な支援者であり、彼の惜しみない寄付はイスラエル設立に重要な支援をすることとなった。

「エドモン・バンジャマン・ド・ロチルド」 ウィキペディア

フランス分家という点に注目すれば、彼らは私が「エリート」と呼んでいる側であるようですが、イスラエル側、「保守的なグループ」であったようにも十分取れます。

つまり、ベンジャミン・ド・ロスチャイルドとアデルソンは、トランプ敗北の責任を取らされ、もしくは、裏切ったため、粛清されたのではないか。

「裏切り説」を取ると、トランプが「何もせずに敗北した」こと、計画がただの陰謀論で終わってしまったことを一応説明できます。

ベストシナリオ

その説が説得力を持っているとは思えませんが、今表に出ている事実から見える「イスラエルの敗北」という、歴史的な一大事件、一時代の終焉は、私たちにとって、ベストシナリオと言えるでしょう。

どっから見ても、バイデン政権は初めから終わっています。

民主党の中でも、サンダース率いる社会民主主義は、全く別の勢力ですし、彼らが一緒になった理由は、対トランプでしかないため、今後、必ず分裂するでしょう。

いわゆる中道派を支持する人なんて、今時いるのだろうか? というくらい、バイデン派の支持母体は脆弱であるように思えます。金持ち連中が最大の支持者なのでしょうが、数的には圧倒的に不利です。

トランプには金持ち以外の支持者が、かなりいました。

ですから、2021年の大統領選挙は事実上、トランプ VS サンダースの対決だったともいえ、結局、民意がイスラエルを打ち破ったとも取れます。

これは、歴史的な快挙です。

今回、民主党と共和党の2大政党が、とうとうイスラエルという化け物を排除したことは、彼らにとっての、マイナスも非常に大きいのではないでしょうか。

同時に、国際反テロ体制下で米政界を牛耳って「活躍」してきたイスラエルは、米上層部から急速に外されつつある。米諜報界は「米国にとって最大の脅威はイスラエルだ」とする、少し前なら仰天のコメントを流し始めている。

田中宇の国際ニュース解説

結局彼らは、虎の威を借りる狐だったわけで、民衆への睨みの大半は、イスラエルと言う暴力装置が作り出していたものでしょう。

それを失った狐たちが、念願の恐怖政治を行えるとは思えません。実際、バイデンは、まったく怖くありません。

コロナ対策が意図的に長引かされるほど、不審に思った人々、うんざりしした人々が、政府の厳しい規制に反対するようになり、これはコロナ対策のふりをした支配の強化策なんだと気づくようになる。反対した人々は弾圧されるが、弾圧されるほど、人々は状況のおかしさ、政府の理不尽さ、マスコミや専門家のインチキさを確認するようになる。大リセットの大きな部分を占めるコロナ危機は、長く続くほど欧米人の怒りを扇動し、ポピュリズムを勃興させ、米国が欧州を従えて維持してきた覇権体制を壊していく。

田中宇の国際ニュース解説

だから、きっと、いや必ずこうなります。もしかすると、トランプ、イスラエルは「こいつら、ほっとけば自滅するわ」と気が付いて、わざと身を引いたようにすら思えてきます。

まあ、それはともかくとして、今回の大統領選挙結果は、私たち民衆にとっての、ベストシナリオだったと言えると思います。

の割には、なんだかすっきりしない感じが胸に残ったままです。それが、なぜかが、分かるまで、もう少しの時間が必要だと思われます。

結局救世主だったトランプ

そして、最後に、もう一つ言えるのは、トランプって結局、救世主だったんじゃね?ってことです。

彼は、「米国を支配する外国の勢力と戦う救世主だ」と一部のネット論者に盛んにもてはやされていましたが、

米国を支配する外国の勢力って、イスラエルのことですよね?

米諜報界は「米国にとって最大の脅威はイスラエルだ」とする、少し前なら仰天のコメントを流し始めている。

彼は4年をかけて、自らを犠牲にした上で、見事に米国の最大の脅威を取り除いてしまいました。イスラエル党とも言えた共和党は、大ダメージを被り、壊滅状態です。

彼こそは、今まで誰も成し遂げられなかったことをやった、本当のスーパーマンです。その点でも、私の予想は完ぺきに外れたわけです。