5月15日、アメリカのトランプ大統領が中国との国交を断絶する可能性を示唆したと一斉に報道されました。しかし、私がその日衝撃を受けたニュースは、それではありませんでした。

新型コロナウイルスによる米国内の死者数の集計をめぐり、米疾病対策センター(CDC)などがまとめた公式統計を疑問視する見方がホワイトハウス内部で浮上している。

新型コロナの死者統計は過剰か、トランプ大統領が疑念 専門家は反対の意見 CNN

トランプはいったい何を言い出すんだ! 自国の集計が嘘だってどういうこと!? いえ、私を震えさせたのは、そこではありません。この騒動がでっち上げであることは、既に分かり切った話です。

「保守的なグループ」の反撃が始まった

インタビュアー:メディアは、選挙結果の予測を大きく誤りましたね。

チョムスキー:必ずしもそうとは言えません。メディアは僅差でクリントンの勝利を予測していました。実際、一般投票はその結果通りだった。メディアや世論調査が予測できなかったのは、時代遅れの政治システムが、保守的なグループに想像以上の大きな権限を与えているということです 。

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それはトランプを大統領に選出した世界最強の勢力、「保守的なグループ」が反撃を開始したことを如実に表していたからです。最強であるはずの彼らは、いったい誰と戦っているのでしょうか。

私は、2017年1月の記事にこう書きました。

トランプ政権はドイツ(EU)と中国を倒すために誕生した、と。

昨今の情勢に目を向ければ、これらが的を得ていたことは明らかでしょう。しかし、同時に誤ってもいました。私は以降つい最近まで、トランプ政権の最大の敵は、中国共産党であり、EUは中国と経済的な結び付きが強いため、副次的に敵対視されていると書いてきました。

しかし、これは本質ではなかったのです。

トランプ政権の中国以上の本当の敵は、マサチューセッツ工科大学名誉教授、ノーム・チョムスキー氏の言及の中に書いてあります。2016年に彼らはアメリカ大統領という権力をかけ、し烈な戦いを演じましたが、4年後に再び、それ以上の壮絶な戦いを繰り広げています。

「保守的なグループ」とその抵抗勢力

ところで、「保守的なグループ」とはいったい何でしょうか。チョムスキー氏は、その場ではそれ以上詳しい言及をしていませんので、私が肉付けしますと、アメリカ政治を事実上支配する、最大のロビー団体、AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)を頂点とする勢力の総称です。

具体的には、ネタニヤフ政権下のイスラエル、トランプ政権下のアメリカ、ジョンソン政権下のイギリス、そして、安倍政権下の日本などです。

そして彼らの最大の対抗勢力は、ずばり、EU、ヨーロッパ連合です。更には、アメリカやイギリスや日本も決して一枚岩ではなく、その中にも彼らは存在しており、特に大きな政治勢力はアメリカの民主党です。

オバマ米政権は23日、イスラエルが占領するヨルダン川西岸やガザ地区、東エルサレムなどで続く入植活動の停止を求める国連安全保理の決議案に、拒否権を行使する代わりに棄権した。イスラエルを非難する決議にアメリカが賛同するのは異例だ。ドナルド・トランプ次期米大統領が直前まで、拒否権を発動すべきだとツイッターで現職大統領に揺さぶりをかけ続けたのも、異様な光景だった。

(中略)

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相にとって、非難決議の採択は大打撃だ。

イスラエルの入植に非難決議──オバマが最後に鉄槌を下した理由 news WEEK 日本版

また、大手メディアもそちら側です。

EU離脱騒動の本当の理由

私は2018年夏以降、イギリスのEU離脱は国際政治上の最懸念事項であり、「合意なき離脱」は確定的。なぜなら、それが「保守的なグループ」の戦略だからと書いてきました。これも大きくは当たっていた分析だったと言えますが、しかし、やはり一部では読み誤っていたのです。その原因は抵抗勢力の力を過小評価していたことです。

私の予想に反して、EU離脱交渉は幾度も延期になりました。最強勢力の彼らがその気になれば、それはすぐにでも達成されるのはずなのに、私はその論理的な答えを見つけるのに苦心していました。しかし、今考えれば、答えは簡単です。抵抗勢力の力が強かった、理由はそれだけです。

英国の欧州連合(EU)離脱をめぐり、トランプ米政権と野党民主党との亀裂が鮮明になっている。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は「合意なき離脱」の場合も英国を支えると宣言。民主党のペロシ下院議長は14日、合意なき離脱による北アイルランド和平への影響を指摘し、和平が後退するなら米英の貿易協定を承認しないとけん制した。

(中略)

EU離脱の是非を問う2016年の英国民投票前、訪英したオバマ前大統領は、英国が離脱した場合は貿易交渉で「列の後ろに並ぶことになる」と明言し、EU残留を求めていた。ボルトン氏の発言はオバマ氏の言葉を意識したもので、ジョンソン英首相ら強硬離脱派への支持を表明してきたトランプ大統領の立場を反映している。

英EU離脱めぐり米政界亀裂=トランプ政権高官は支持明言 時事ドットコム

つまり、このごたごたは出来レースではなく、ガチだったのです。

この戦いを明瞭に表現したのは、「保守的なグループ」の一員でブレグジット党のナイジェル・ファラージです。

「ロンドンの政治エリート達」が2016年の国民投票の結果に背くことをEUと画策しているため、10月31日の離脱期限に疑問符がついているという。

ファラージ氏は、英国は17世紀のイングランド内戦以来最大の紛争状態にあり、ジョンソン首相はメイ前首相がまとめた合意を蒸し返そうとすることで保守党に崩壊のリスクをもたらしていると指摘。

EU離脱、再び延期される見通し=ファラージ氏 ロイター

そして、米民主党勢力は、「欧州エリート」の一派であると言えるのです。

激突!「イルミナティ」

この「保守的なグループ」と「エリートグループ」の戦いが、今までと、これからの戦いの本質であると当ブログでは読みます。そして、そのバックは、どちらも欧州最大の財閥、銀行家グループです。

その名はロスチャイルド家、「世界の支配者」として有名ですね。バルフォア宣言で、イギリスにイスラエルを建国させたのは、第2代ロスチャイルド男爵ライオネル・ウォルター・ロスチャイルド。そして、彼らが結成した秘密組織が、「イルミナティ」。

1776年、ロスチャイルドが資金提供して、インゴルシュタット大学法学部長のアダム・ヴァイスハウプトが秘密結社イルミナティを創設します。

『金融の仕組みは全部ロスチャイルドが作った』 安部芳裕

彼らの最終目的とされているのが、世界政府の樹立です。

イルミナティは、その目的を「知的に有能な人々に世界を支配させ、全ての戦争を防止させるために、世界統一政府を作ることにある」とし、当時の最も聡明と言われた人々を含む2000人もの信奉者を集めたということです。

全ての戦争を防止させるため、と言うといいことかのように思われますが、最大の問題は、彼らは優生学の熱心な信者であり、すなわち人種差別者集団である、ということです。

黒人やアジア人などは、同じ人間とは見なしていないのですね。だから、私たちを家畜とし、殺したりすることに全く抵抗がありません。

そんな悪の秘密結社、「イルミナティ」は最終目標である「世界政府樹立」の手段とその椅子に誰が座るのかをかけて対立し、内紛状態に陥った可能性が非常に高いと考えられるのです。

イルミナティの一派が「保守的なグループ」で、率いるのは、ロスチャイルド家の本流中の本流のこの人。

ジェイコブ・ロスチャイルド (第4代ロスチャイルド男爵)

ロンドン・ロスチャイルド家の現当主(6代目)として家全体を代表する1人。嫡流にあたるが、分家のエヴェリンが経営権を握るN・M・ロスチャイルド&サンズから独立し、RIT・キャピタル・パートナーズ(英語版)を創設して独自の金融業を行っている。1990年にロスチャイルド男爵の爵位を継承し、1999年まで貴族院議員を務めた。

ウィキペディア

実は、この中にすでに対立の源泉が書かれています。

しかしN・M・ロスチャイルド&サンズの経営権は株式の60%を持つ分家のエヴェリンが握っており、ジェイコブの父である第3代ロスチャイルド男爵ヴィクターは20%の株しか持っていなかったから、やがてジェイコブの大胆なM&A路線は堅実経営を好むエヴェリンから独断にすぎると批判されるようになり、N・M・ロスチャイルド&サンズの内部対立は深刻化した。この争いを仲裁するために1975年に父ロスチャイルド卿が頭取に就任する。しかし結局父は筆頭株主エヴェリンを支持したので、ジェイコブは1980年にRITを率いてN・M・ロスチャイルド&サンズを飛び出した。エヴェリンからは5本の矢を商標として使用するのを止めるよう求められたが、5本の矢は商標登録されていなかったので、ジェイコブはその要請を拒否し、N・M・ロスチャイルド&サンズの「下を向く5本の矢」に対する当て付けで「上を向く5本の矢」を商標にした。

そして、ジェイコブが喧嘩別れした「N・M・ロスチャイルド&サンズ」を取り込んで併合したのが、この人。

ダヴィド・ルネ・ジェームス・ド・ロチルド男爵(仏: Le baron David René James de Rothschild、1942年12月15日 -)は、フランスの銀行家、貴族。パリ・ロチルド家(英語読みでロスチャイルド家)嫡流の第5代当主。デビアス監査役会員。

ウィキペディア

現在のパリ、ロスチャイルド家当主、ダヴィド・ド・ロスチャイルドですね。

2003年にはロンドン・ロスチャイルド家のN・M・ロスチャイルド&サンズとの連携を深め、両銀行を統合したロスチャイルド・コンティニュエーション・ホールディングスを創設し、ダヴィドがその頭取に就任した。

どうでしょうか。彼らの対立の礎が、そこには克明に描かれていると思いませんか。そして、彼らの抗争が今、私たちの目の前に広がっている現実の全てと言っても過言ではないでしょう。

2015年11月のパリのテロ事件は、イスラエルからEUへの、ロンドン家からパリ家への宣戦布告だったのです。

そして、米中戦争は、その中の派生だったのです。

仲間割れの証拠はいたるところに

彼らの仲間割れの証拠は、至るところで如実に目撃されるようになってきています。EUは、あからさまにイスラエルへの敵意を示し始めました。

イスラエル・ハヨム紙が報じたところよりますと、欧州議会外務委員会とEUのボレル外務・安全保障政策上級代表は、シオニスト政権イスラエルによるヨルダン川西岸地域併合計画が実行された場合、同政権を訴え制裁を科す件について協議することを考えています。

シオニスト政権イスラエルは米国の支持を背景に、この計画を今年7月1日から実行すると発表しています。

その他にも、2021~27年に予定されているEUの野心的な研究・イノベーション計画「ホライズン・ヨーロッパ」においてイスラエルを除外すること、イスラエルとの「オープンスカイ協定」からEUが脱退することなどが検討されており、その場合、シオニスト政権は大きな経済的打撃を被ることになります。

EUが、イスラエル制裁に向けた協議を視野に PARS Today

そして、この点に関しても、EUの盟主は、早々に米国を裏切ることを決めたようです。

ドイツ連邦情報局(BND)は、新型コロナウイルスが中国の研究所から発生したとの米政府の主張を疑問視する報告書を作成、感染拡大を防げなかった米政府の対応から国民の関心をそらす意図があったとの結論を出した。独シュピーゲル誌が8日報じた。

(中略)

同誌によると、BNDは米国主導の情報機関ネットワーク「ファイブアイズ」の参加国に証拠の有無を問い合わせたが、参加国である米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのすべてがポンペオ国務長官の主張を支持しなかった。

ドイツ情報機関、新型コロナ「中国研究所発生説」を疑問視=報道 ロイター

諜報活動の同盟国が全て、「保守的なグループ」の見解に反意を示しました。結果、ポンペオ米国務長官は、中国起源説を引っ込めざるを得なかったのです。

これは、私の推測論になりますが、「新型」コロナウィルスは、当初は「中国への経済攻撃」を目的として「保守的なグループ」が撒いた可能性が高いでしょう。

しかし、その後「エリートグループ」の反撃にあい、アメリカやイギリスで爆発的な流行を招いたと考えれば、トランプやジョンソンが、当初余裕を噛ましていて、「コロナは民主党のでっちあげ」などと、トランプが言っていたことの説明が付きます。

「エリートグループ」は、これによってトランプの失政を招き、11月の大統領選挙でバイデンを勝たせて主導権を握った上で、世界政府計画を遂行するつもりなのでしょう。

「保守的なグループ」が支配する国では経済の再開が急がれ、政府が知事やメディアと対立する形となっています。

「エリート」支配のEUでは、政府自らがロックダウンを推進し、経済の再開を願う国民を何とか押さえつけようとしています。

これらは象徴的な構図と言えるでしょう。

勘違いされているようですが、日本で緊急事態宣言を政府にやらせて、破壊の方向に導いたのは、売国大好き小池さんと正義の味方の吉村君と北の鈴木ですからね。安倍は宣言自体も延長もやりたがっていなかったのです。

それは彼が、単にトランプの傀儡であるためなのか、それ以上の意味、例えば国を守ろうとする意志があったのかは、私には分かりません。

最強は誰か

さて、このような情勢の中、開戦したように見える第三次世界大戦は、今後どのような展開を辿るのでしょうか。結果を強さで測るのならば、まず単独で最強なのは、「保守的なグループ」です。ただ、彼らは強いが上に360度敵だらけであり、仲間がほとんどいません。

「エリートグループ」、パリ家は、同じロスチャイルドとは言え、ロンドンに比べると明らかに力が劣ります。ですから、彼らは中国と言う用心棒を必要としているのでしょう。

「保守的なグループ」は、その用心棒を先に叩くことを決断したようです。

米英イスラエル VS EU中国の戦いは、今のところ互角と私は見ます。さて、この中で私たちが一つ注意しなければならないのは、安易にトランプ正義論に傾くことは、危険だということです。

ネット上の一部には、そのような言説が見られるようです。

サンダース氏はツイッターに、「トランプ大統領は米国を戦争から遠ざけたいと発言したが、これは嘘だ」と書き込みました。

さらに、「イエメン空爆を行なうサウジへの違法な支援を終了させるために超党派法案を可決した。だが、トランプ大統領はこの法案の承認を拒否した」と記しました。

また、「中東で平和に貢献するということは、現在イスラエルに存在する、人種差別主義の過激な政府を支援しなければならないという意味ではない」とし、「ガザで起こっていることを見るがいい。人々はそこを離れることさえできない」と続けています。

サンダース上院議員が、トランプ氏によるサウジ支持を強く批判
PARSTODAY

私たちはサンダースのこの言葉を忘れるべきではありません。ただ、短期的には、トランプの反撃を期待するのはありだと思います。

さて、最後に「保守的なグループ」と「エリートグループ」、つまりは「イルミナティ」を上回る最強の勢力があることをご存知ですか?

それは私たちです。

彼らはわずか0.1%の人々、私たちに睨まれたら一溜りもないことを自覚しているからこそ、秘密裏にことを進めているのです。秘密結社と言ったら、おどろおどろしく恐ろしいイメージですが、実態は単に「陰でこそこそと悪いことを働いている奴ら」ということです。

つまり彼らは、私たちがガン飛ばしただけで、簡単に尻尾を撒いて逃げていくような連中なのです。

しかし、私たちは今、余りにバラバラの方向を向いてしまっています。これではさすがに勝てません。当然、それが彼らの戦略です。

「連帯」、これこそ、私たちが自分たちの未来を創るために、今最も求められていることなのです。それが出来れば、第三次世界大戦の勝者は私たちだ、ということになるでしょう。

そして同時に、誰かに私たちの自由と未来を守ってもらうことを期待しても悪い結果を招くだけだというのが、最近私が気が付いた当たり前の現実なのです。