昨年末急落に見舞われた世界の株式市場は急回復を見せています。特に米株は顕著でNYダウは2月14日の時点で25,543ドルとなっています。日経平均株価も昨年の安値から2,000円近く高く、とうとう21,000円を突破しました。出遅れている225が、22,000円を目指す可能性は否定できないでしょう。
しかし、私は昨年秋以降、こう警戒を発っしてきました。
世界的な金融危機が迫っている。
今再び、株価が急落に見舞われるタイミングが迫って来ているように感じられます。そして、その呼び水となる材料は、やはりこれです。
合意なき離脱で地獄に落ちる
現在、EUと英国が3月29日に迫ったEU離脱条件で大いに揉めていることは、ご存知でしょう。なんだかんだ、最終的には何らかの合意があるだろう、これは普通の考えと言えますが、そんな常識を真っ向否定したのが、『世紀の空売り』で有名なアイズマン氏と私です。
「万に一つも合意と言う結論はない」、なぜならイギリスに合意の意思はないからだ、それが私の見方です。
そして、とうとう、そのことにEU自身が気づいたようです。
ブレグジットは回避不能、合意なき離脱派に「地獄」を=EU大統領
欧州連合(EU)のトゥスク大統領は6日、英国のEU離脱(ブレグジット)を撤回できるとの考えは捨て去ったとし、現在の優先事項は合意なき離脱となった場合の「失策」を回避することだと述べた。
ロイター
1月29日のイギリス議会でこの問題に関する採決が行われたのですが、その結果が、この後に及んで「EUと再交渉しましょう」と言う酷い内容だったのです。ニュースとしては、ほとんど注目されませんでしたが、「これはとんでもない結果だ」と、私は嘆きました。
これはEU側もそうで、彼らの態度は以降、明らかに変わりました。それまで彼らには、「お互い損したくなんだから、仲良く行こうよ」という、配慮みたいなものが垣間見れたのですが、イギリスにその気がないのだと、とうとう彼らも気が付いたのです。
トゥスク氏は、EUとして英国に新たな提案はしないと述べ、合意なき離脱を推進するグループには「地獄の特別な場所」がふさわしいと語気を強めた。
なぜイギリスは最悪の結果を望むのか
EU幹部外交筋の1人は「メイ首相は合意を実行に移していない」とし、「メイ氏が超党派合意を形成できない状況は信じ難いほどだ」と話す。
メイは信じがたいほどに、「合意」に向けた努力をしていないことを、私は何度も指摘してきました。
しかし、そもそも、イギリスは、期限まで残り2カ月を切る中、なぜ合意に向けた動きを見せないのでしょうか。イングランド銀行のカーニー総裁は、「合意なき離脱」に至れば、イギリスはリーマン・ショック以上の危機に見舞われると警告しています。
誠に不可解に思えるかもしれませんが。この答えは実に簡単です。ずばり、戦争だからです。イギリスとEUの戦争? 間違いではありませんが、もっと、本質的に書くと、世界の支配者同士の戦争なのです。
つまり覇権戦争です。どこかで聞いたと思います。そうこれは、
資本主義陣営の支配層、巨大資本家たちと、世界第2位の経済大国に上り詰めた独裁国家の支配者、中国共産党の戦争なのです。
ですから、米英に絶大な支配力を持つ、資本家たちは、中国と経済的な関係の強いEUを破壊することを決めたのです。
メイ英首相と欧州連合(EU)は、英国のEU離脱で合意ありかなしかを土壇場で決する高リスクのギャンブルへと向かっている。双方の事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
ブルームバーグ
関係者によると、英国のEU離脱まであと1週間に迫る3月21日のEU首脳会議で、メイ首相はEU側の譲歩を勝ち取る可能性がある。英国がさらなる妥協を求める場合に備えて、それよりずっと早い時期にEUが譲歩案を示す公算は小さいと、匿名を希望した関係者の1人は語った。
それで、こんな現実的にあり得ない冗談のような状況が、真面目にそこに存在しているのです。先程のトゥスク氏の発言を見れば、EU側が譲歩する可能性がないのは、誰でも分かりますよね?
当然、メイ首相やイギリス議会が、それを分からないはずがないのです。
土壇場で決する高リスクのギャンブル
私はこう想像してきました。彼らは、
「図らずも(時間切れで)合意なき離脱になってしまった!」という状況に持ち込むつもりだろう、と。そして、彼らはその後にこう叫ぶでしょう。
「悪いのはEUだ!」
トゥスク氏の言う「合意なき離脱を推進するグループ」っていったい何でしょう? それは「地獄行き」という彼の苦々しい言葉に象徴されていると思います。
それはEUを最も苦しめている勢力、と言うことです。
トランプ大統領は以前、メイ首相にこう言ったそうです。この問題では、交渉などせずに、「EUを訴えろ」。
何が起きるのか
では、実際、「合意なき離脱」となった場合には何が起きるでしょう。まずは株価の暴落です。私はこれを根拠に、昨年の日経平均の安値は、19,000円程度と予測しましたが、12月に世界の株式市場は急落し、225はその水準に到達しました。
春先にここを下回る可能性は十分に考えられるでしょう。
当然、経済は更に大きく減速するでしょう。そして、その先に私たちを待っているのは、歴史上の一大センセーションかも知れません。
ソロス氏は、EU指導者と市民は今、EUにとって革命的な瞬間が訪れている事実に気づいていないと指摘し、今、EU市民が目を覚まさなければ、1991年のソ連邦と同様、崩壊してしまうと危惧感を表している。
spUtnik
私はソロス氏のこの見解に全く同感なのです。米英に絶対的な影響力を持つ、巨大財閥、資本家たちの企みはここにある、と私は見ているのです。 そう、トゥスク氏には申し訳ないですが、「地獄行き」の言葉はそのまま本人に返ってしまう可能性が高いのです 。
そして、そんな過程で起こるかもしれない投資家最大の危機は、これです。
ドイツ銀行がとにかく狙われているのだ。長期的にサバイバルできるかどうか疑問視されているドイツ銀行。その債券から投資家たちは高金利をむしり取ろうしている。
日経新聞
ドイツ銀行に圧力をかけているのはアメリカです。海外投資家の昨年の史上最大規模の売り、そして彼らの売りは今年に入っても止む気配はありません。すべての筋道は繋がっているように私には感じられます。
逆に言うと、リーマン・ショック以上の売りを正当化できる理由はそれらしか見当たりません。
そのもしもの時、日経平均は15,000円程度になるでしょう。
しかし、「合意なき離脱」はもう、「もしも」ではありません。すでに霧の奥からその姿がだいぶ露わになっています。
備えを怠ってはとんでもないことになる、これが当ブログからの警告なのです。