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当ブログでは、昨年末くらいから、「トランプ政権は対欧州、対中国家戦略」ではないか、ということをお伝えしてきました。これに関して最近になって、「やっぱりか」と思うような場面も増えてきました。しかし、先日トランプ大統領が、イスラム圏7カ国からの一時入国禁止を命じた大統領令を発令したことに関しては、その意図がはっきりと読めませんでした。

トランプが親イスラエルである、ということは知っていましたが、ただそれだけの理由でこのような政策に打って出るのだろうか、ということは甚だ疑問でした。そして、案の定、自国、そして世界中から大きな批判を浴びており、それはいくら変人の彼にとってもそれなりのリスクだと思うのです。なぜ、就任間もないこのタイミングでこのようなリスクを冒すのか、私にはそれが不思議に感じられていました。

しかし、つい先日ある記事をみて、ああなるほどそういうことか、と大きく納得がいくこととなったのです。それは、「トランプ政権は対欧州、対中国家戦略」という範囲から逸脱するものでは決してなかったのです。

対ヨーロッパ戦略

今年、欧州では、イタリア、オランダ、フランス、ドイツとEU主要国の選挙が軒並み予定されております。そして今、欧州で、勢いを持って来ているのは、現政権ではなく、ポピュリズムと呼ばれる大衆の意識に根差した政策を掲げる政党と言われております。私としては右派と言った方がイメージ的にしっくりきます。

ポピュリズム、右派政党と一言で言っても、その政治思想には色々あると思いますが、彼らに共通することは「移民を排斥する」という政策をとることです。これは昨年11月のアメリカ大統領選に勝ったトランプも大きく掲げていた政策です。欧州右派政党にとっては、トランプ大統領はまさに模範のリーダーのような存在であるわけです。

そんな米大統領がつい先日、イスラム圏7カ国からの一時入国禁止を命じた大統領令を発令したのです。日本での報道を見ていると、これを善悪論で語ることに終始していて、とてもまともな見解とは私には思えません。いいか悪いかなど、その当時者でもない、事情を全く知らない遠い国の人間に判断することは出来ません。はっきり言って、そんなことは我々が考えても無駄です。アメリカが自国のためにやっている政策に、我々が口を出せるはずがありません。

それよりも、前述した通り、この大統領令はトランプにとって、ある程度大きなリスクを伴うはずで、そんなハイリスクを背負ってまで、トランプはなぜそのような行動に出たのか? その意図を考えてみることの方がよほど重要じゃないかと私は考えます。

リスクを背負うということは、その先に相応のリターンを見込んでいるということです。それを見込めない人を馬鹿と言いますが、トランプは馬鹿じゃないかと? そう思っていた方は、きすでにアメリカの術中に嵌っているかもしれません。

こちらの記事をご覧ください。

コラム:米国よりも深い欧州「反イスラム」の闇

この記事を読んでいただければ、我々が「いいか悪いか」を言うことが、どんなに無意味なことかわかるでしょう。民主党の蓮舫議員が、「欧州主要国が抗議している移民規制を発令した大統領と仲良くするなんてけしからん」的なことを言っていましたが、そりゃあ欧州の現政権はリベラル思想なのですから、反対するでしょうよってことです。それを嫌だという国民が増えているというお話なのです。

「イスラム圏の国からの移民は今後いっさい停止すべきだ」という単刀直入な記述に対し、回答者の55%が賛成、25%が賛成でも反対でもない、20%が反対と答えた。

それで言うなら、欧州の55パーセントの国民は悪人だということになります。欧州現政権が正義で半数の国民が悪とはなんと乱暴な理屈なんでしょうか・・。

ちょっと話がそれましたが、何が言いたいかというと、トランプの移民規制は、欧州国民への行動を伴った強いメッセージになっているということです。それは欧州右派政権への強烈な援護射撃になり、現リベラル政権への大きなダメージになっているということです。

対中国戦略

でも、そもそも、なぜ、トランプ大統領はそんなに欧州の現政権をいじめているのでしょうか。その裏には、中国という大きな国の存在があります。

欧州各国と中国の経済的な結びつきは強く、中国にとって非常に大きな恩恵があると言われています。アメリカがこの結びつきを断とうとしていると推測してもなんら違和感はないでしょう。南シナ海に於いてその軍事力をいかんなく発揮、領土拡大に動き出した中国を抑えるため、アメリカは欧州に対し、中国との蜜月関係を改めるよう強く要請してきたと以前より伝わっていました。しかし、それは筆頭のドイツを中心に一向に改まる気配はなかったのです。

アメリカは、これをかなり苦い思いで見ていたようなのですが、優しいオバマさんは結局何もできずにいました。しかし、政権を奪取した共和党は、とうとう本気でここを叩くつもりで動いてきたと思われます。つまりは、親中国の欧州現政権を今度の選挙で破り、右派政権を誕生させるつもりだと推察出来るのです。そして、その最大ターゲットはEUのボスとも言える、ドイツ、メルケル首相だと私は思います。

EUのトゥスク大統領はEUの脅威にトランプ政権を挙げています。これはEUの多くの人々が思っていることだそうです。

「米新政権による憂慮すべき宣言の全てが、我々の未来の不確実性を高めている」

これをまったくの偶然の結果、と処理してしまって果たしていいものなのでしょうか・・

 

トランプの言動は対中戦略と考えればすんなり理解できる

一見、支離滅裂とも思われるトランプ大統領の言動ですが、これは対中国戦略と考えればあっさり理解できてしまいます。

  • 保護貿易主義

この反対の自由貿易で中国は大きな恩恵を受けています。これを制限すれば中国の経済的ダメージは大きいはずです。

  • 国境税の導入

保護貿易の一つですが、当然中国にとって弊害です。また結果、強烈なドル高、元安を招くと思われ、これも中国経済に悪影響です。

コラム:トランプ氏の国境税、中国からの「資金逃避」を加速

~ ロイター ~

  • メキシコの国境に壁を作る

メキシコから違法移民が流れてくることを防ぐ目的のようですが、ここには中国人がかなり多いという話があります(これは少々調査不足かもしれません)。

  • 工場を海外に建てるな、アメリカに建てろ

アメリカの製造業の生産拠点が、海外とくに中国に移り、アメリカの国力が衰えることを懸念していると言います。実際、戦争ということになれば、製造工場が中国にあるというのは非常に不利ですよね。トランプはこれを自国に戻そうとしていると推測されます。

  • 政権の要に対中強硬派

トランプ政権の閣僚にはティラーソン氏を始めとする対中強硬派と言われる人たちがそろっています。

  • オーストラリア首相との電話会談で切れた

オーストラリアは普通の経済ニュースでも懸念が示されるほどの親中政権。

どうでしょうか。ざっと並べただけでもこれだけあります。

 

仲間はロシアとイギリスと日本

そんなトランプが仲良くしているのは誰か。ロシアのプーチンとイギリスのメイ首相と我らが日本の安倍首相です。トランプはロシアのプーチンを尊敬しているなどと度々発言し、先日の日米首脳会談では安倍首相を親友とばかりにもてなしていました。トランプは何と友情に熱いのでしょうか。いえいえ、ではなく・・彼らはアメリカが戦略上くっつきたいと思っているう国々のトップなのではないでしょうか。しかし、表だって、こうこうこういう理由でと正直に言ってしまっては、戦略になりませんから、あくまでトランプが個人的に好きだからということにしているのでしょう。

なぜ、アメリカはロシアが必要なのか、前もご紹介しましたが、こちらの記事をご参照ください。

トランプの反中は「本物」、異常なプーチン愛は「戦略」だ

~ ダイアモンド・オンライン ~

イギリスはすでに親中の政権が選挙で倒れています。最後に日本がなぜ必要かは改めて言う必要もないと思います。先日の首脳会談では日本に攻撃的な内容が出てくるのではないか、という声も大きかったようなのですが、当ブログでは逆に恐ろしいほどの親密さになるはずだと主張してきました。結果はその通りでした。

 

北朝鮮とISはあまり関係ないと思われるが・・

ともにアメリカにとって脅威と言われるこの2か国?ですが、実際どうなんでしょう。ISに関しては、アメリカの脅威になっているイメージは私にはないですね。実際、どの辺が脅威なんでしょうか? ただ、「脅威だ」と言われているだけで、変な話ですが、実害として脅威という感じは全くしません。

アメリカは、まさに今の中国のように一つの大きな国家が相応の軍事力を持つことをなにより、恐れているのではないでしょうか。なぜなら、世界の覇者である自分たちの地位を脅かす可能性があるからです。ISはテロを起こしたとしても、アメリカを覇者の地位から引きずり降ろす可能性はありません。

北朝鮮も実際はほとんど相手にされていないのが現状で、先日も首脳会談後にミサイルを発射した動きなんて、「俺もいるんだぞ、無視するな!」といった体でほとんど駄々っ子状態ではないでしょうか。

私はこの二つはアメリカの敵ではないと思います。

 

最後にトランプからのあの言葉は?

「アメリカ軍の駐留費をもっと払わなければ、アメリカ軍を日本から撤退させる」

選挙期間中トランプはこのように語っていたことを覚えている方は多いでしょう。今までお伝えした内容から、この言葉の意味が見えてくる気がしませんか。

「日本人の皆さん、いいですか。我々は撤退してしまいますよ。自分たちの手で自分たちの国を守らなくて本当にいいのですか?」

「今のままの憲法でいいのですか?」

私はトランプが日本人に向けて放ったメッセージは、これではなかったかと思っているのです。

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