5月末、世界の株式市場に動揺が走りました。理由はイタリアで反EUを掲げる政権が樹立、ユーロの脱退を選ぶかも? と言う懸念が広がったことです。しかし、この報道は少々大げさではないでしょうか。確かに、社会的には解決策の一向に見えない普遍的な大きな問題であり、政局の混乱は必至だと思います。

ですが、マーケット、投資家にとっては、どうでしょう。イタリアの世論調査によると、ユーロ離脱支持派はたったの2割で、残留支持は7割越え。これが覆ることは万に一つもなさそうです。であれば、これが「~ショック」に繋がる可能性は低いですね。当然、大きく下がったところは買いだ!となりそうなのですが、そうも言えないのが、今の相場の厄介なところです。

他にも重大なリスクが山積みであり、先行きを予測することは、ほとんど不可能に近いと言えるでしょう。私もまったくわかりません。ただ一つ、投資家の皆さんに、非常に重大な情報をお伝えすることだけは出来るだろうと思い、今回の記事を書いています。

 

 

EUの脅威のトランプ政権

それが何かと言うことをまず最初に書き記したいと思います。それは題名にした通り、アメリカはEUを崩壊に導くつもりだ、ということです。こう書くとどう思われるでしょうか。陰謀論? でも、違います。

焦点:トランプ閣僚の欧州PR訪問、対米懸念払しょくできず

トランプ氏は英国のEU離脱を賞賛した上で、他の加盟国による離脱が続くとの見方を示しており、米国が伝統的な欧州政策を放棄してEUの解体を積極的に促進するのではないかとの懸念がEU内では高まっている

~ ロイター ~

これは2017年の2月の記事ですが、その時点で、トランプ政権がEUの解体を積極的に推進するのではないか、とEU自身が心配していた、と言うことですね。そして、更に、

EU大統領、「トランプ米政権は脅威」 中国やロシアに匹敵

(トゥスク大統領は)「米新政権による憂慮すべき宣言の全てが、我々の未来の不確実性を高めている」と指摘

~ CNN ~

EUの大統領が、トランプ政権はEUの脅威だと言及しています。これは彼らの被害妄想だったのでしょうか?

 

鉄鋼、アルミ関税はEUがターゲットだった

ここ最近の情勢を見れば、そうではないことは明らかですよね。

米の鉄鋼アルミ関税、再び木曜に市場揺さぶる-EUなどへの猶予終了

チャールズ・シュワブの最高投資ストラテジスト、リズ・アン・ソンダーズ氏は関税について「以前は交渉しようという提案だと受け止められていたが、今回は過去に経験したことよりも一歩前進しているように見える」と述べた

~ ブルームバーグ ~

3月の発表時、マーケットに衝撃を与えた米国による鉄鋼・アルミへの関税処置。当時アナリスト達は、これは「トランプ政権の中間選挙対策だ」と、間の抜けた知ったかぶりを披露していましたが、さすがにそうとは言えなくなったのではないでしょうか。カナダとメキシコも対象になっていますが、本当のターゲットはEUだと見ていいでしょう。

 

なぜEUいじめ?

しかし、なぜ、トランプ政権はEUいじめ?を行っているのでしょう。それはこちらの記事を読むと非常によくわかります。

トランプが「口撃」開始。現実味を増してきたEU崩壊のシナリオ

そして、この二国、メルケル・オランド現政権の特徴は、「きわめて親中国」である

~ まぐまぐニュース ~

この内容は非常に濃く、色々な視点がちりばめられていますが、トランプ政権がEUに強硬姿勢を続ける最大の理由は非常にシンプルに、「親中国だから」に尽きると思います。なにより、EUが推進するグローバル経済、自由貿易体制が中国にとって大変恩恵が大きいのです。

そして、北野先生は、2017年の天王山は、フランス大統領選だと書いています。実は、当ブログも、フランス大統領選は、国際政治上の大きなターニングポイントになる、と書いてきました。北野先生のこの記事は今初めて見つけたのですが、知らずに同じ見解を示していたのは、うれしいですね。

もし仮に今、フランスの大統領がルペンさんだったらどうでしょう? EUはすでに風前の灯だったことすら想像に難くありません。

今思えば、マクロンの躍進によるルペンの敗退は、アメリカにとって大きな誤算だったのではないか、と言う気がします。ルペンのライバルは当初、フィヨン氏だと見られていましたが、彼は早々にスキャンダルで失速していました。その隙間を縫う形で、新進気鋭のマクロン氏が当選したのです。

アメリカはメルケルの敗北すら目論んでいた(いる?)のではないか、と私は思っていますが、それは実際には、かなり困難です。しかし、ルペン勝利までは、あと一歩のところまで行っていたのです。

アメリカにとっては、千載一遇のチャンスをマクロンと言う予想だにしない伏兵に潰されたと言う形だったのかもしれません。トランプさんは、「ルペンに勝ってほしい」とつぶやき、周囲を騒然とさせていました。

 

ドイツへの圧力は2015年から始まっていた

先程の北野先生の記事に書いてありますが、EUはドイツ帝国とも揶揄される組織です。EUを潰すつもりならば、そのボスであるメルケル首相を倒すと言う話になるのは当然でしょう。

これは何度も指摘してきましたが、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の一件以来、アメリカはドイツへの圧力を急速に強めていきました。元FRB議長のバーナンキ氏がギリシャ問題に関し、「悪いのは、ドイツ」と世界中に吹聴、ウォルクスワーゲンの排ガス規制の不正がアメリカから暴露されました。

おまけにフランスで大規模なテロ事件が発生して、難民受け入れに積極的だったメルケルは決定的なダメージを負います。NY株式市場にその発生が織り込まれていたことからも、これはEU破壊工作の一つだと考えられ・・・・・えっ!?

更に、2016年には「ドイツ銀行」の問題が浮上。これもアメリカによって、でした。どれも大損害に繋がるような株式市場の暴落を巻き起こしたので、記憶も鮮明と言う投資家の方も多いのではないでしょうか。

 

「ドイツ銀行問題」が再び浮上

さて、私が今年のマーケットのテーマとして、一番懸念しているのが、このドイツ銀行に関するものになります。

コラム:切迫感増すドイツ銀の米国事業縮小計画

米連邦準備理事会(FRB)が昨年、ドイツ銀行(DBKGn.DE)の米国内事業を「問題のある状態」と判定していたことが、31日付の米紙報道で明らかになった

機密情報が漏れたことは、監督当局との関係が緊迫化していることの証左でもある。ドイツ銀の株価がこの日7%も下げ、25年ぶりの安値となったのも無理はない

~ ロイター ~

またもアメリカから、です。しかも今回は、米国による鉄鋼・アルミ関税への対抗措置をEUが示したところへ返す刀です。これはそれに対する単なる米国の脅しなのか、それとも・・。

 

今後の予測は相当困難

もし、これが脅しではなかった場合は、きっと、とんでもないことになるでしょう・・。昨今の懸念材料、イタリア不安や、米中貿易摩擦も大きい問題ですが、これらは政治問題なので、いきなりショックを引き起こすことはないと思われます。しかし、ドイツ銀行は、本物の金融ショックを引き起こす可能性があります。ちなみに、『世紀の空売り』の、アイズマン氏はドイツ銀行の空売りを薦めているそうです。

今年のマーケットは、海外投資家が、日経平均先物に史上最大規模の売りを出すなど、非常に不可解な点が多いです。これらのことを総合的に踏まえて、決して楽観視はしない方が賢明でしょう。

そして、昨今の世界を揺るがす懸念材料の根幹は、すべて米中覇権争いに繋がると言うことです。ここは、投資家の方にとっても、絶対に抑えておくべき最重要ポイントかと思います。

実は、当ブログは2017年の初めから、アメリカによる対中強硬姿勢、対EU強硬姿勢の鮮明化をすでに予言していました。当ブログに来ていただければ、現在の国際政治上の重大な流れを、一年以上前に知っていることが出来たのです。

ですから、投資家の方の情報取集の一つとして、当ブログへの巡回を加えていただくこともそう悪くはないのではないでしょうか? 投資家ではない方ももちろん。