2月23日の取引で、NYダウを300ドルを超える上昇となり、一時はどうなることかと思われた株式市場も落ち着きを取り戻しつつあるようにみえます。しかし、日経平均の方に目を向けてみると、夜間の先物で100円レベルしか上がっておらず、はて? これはどうしたのだろうか、と少々いぶかしんで見ています。・・。

と言いますのも、この動き、いつも売りが持ち込まれる前によくあることだからです。

そんな折、2月23日のラジオで朝倉慶さんが、「3月のSQに向けて大規模な売り仕掛けが行われるのではないか」とおっしゃっているのを聞きまして、やはりか・・、と。ズバリ、私もそうなるのではないか、と言う気がしてならないのです。

普通、こういう懸念は外れて何も起こらない、と言うことが多いものです。ですので、今回は外れる期待を持って、この記事を書くことにします。

 

マーケットの不安要素

私が現在のマーケットの状況に不安を感じる一番の理由は、以前から書いております通り、海外投資家の売買動向に不審な点を感じることです。日本株に対する一か月足らずでの5兆円売り、円高、コモディティ市場の下落、そして、中国株の下落。彼らは、着々とリスクポジションを閉じている、としか私には思えません。

そして、代わりにとうとう彼らが動き始めました。

波乱日本株市場で「個人」が存在感、4週連続買い越す-現金主導

~ ブルームバーグ ~

日経平均が24,000円に駆け上がる中で、一方的に売りっぱなしだった個人投資家が怒涛の買いです。しかし、残念なことに過去を見ても、このような場面は決してろくなことがありません・・。私は個人投資家の売買が下手だと思ったことはないのですが、これはうまい下手ではなく、単に海外投資家との力関係なので、どうしようもありません。

私は今回も、これは更なる波乱要因に繋がるのではないか、と見ています。そして、似たような状況が、2015年の夏に起こっていたのです。

 

2015年に起きたこと

2015年の春、突如騰勢を強めた日経平均株価は125円へのドル高とともに、21,000円付近まで駆け上がりました。個人投資家はこの時も売り一方でした。その後の7月、下がり始めた日経平均株価は市場関係者の誰もが、20,000円割れはないだろうと言い、個人投資家が絶好の押し目と一斉に買い向かう中、わずか1か月ほどで、17,000円まで4,000円近く暴落し、ドル円も115円まで10円も円高となりました。

当然ですが、こんな動きは何もない中で起こることではありません。この急落の背景にあったのが、実はこちら。

リベンジ~AIIBで中国に追いつめられた米国の逆襲

~ ダイヤモンドオンライン ~

そう、台頭する中国に追い詰められた米国の逆襲だったのです。筆者の北野先生の言う通り、アメリカは、「中国経済崩壊論」の拡散を行いました。こんな裏事情を初めて知った方も、2015年の世界の株式市場が「中国ショック」で暴落したことはご存知でしたでしょう。

「中国経済を破壊すること」。これは、米国の覇権を守る上で決定的に重要である

そして、私は今年、アメリカはこのことに本腰を入れてくる可能性が高いと見ているのです。

 

中国発の金融危機の可能性

北野先生の名記事をお読みいただければ、中国発の金融危機が起こる下地が十分にあることが分かると思います。さて、そんな中、こんな記事を見つけました。

コラム:中国発の金融危機、本当に幻か

高い対外債務と比較的控えめな外貨準備高、そして大規模なキャリートレードは「ボラタイルミックス」と言える。危機が起きれば、「大暴落に続いて強烈な金利上昇」が起きるとシー氏は予想する

~ ロイター ~

昨今、金利上昇が話題となっていますが、関連への疑いがあるかもしれません。

 

ドイツ銀行ショック?

しかし、アメリカが「中国経済を破壊すること」を行った場合、一つ、非常に重大なリスクとなりそうなのがこちらです。

海航集団:ドイツ銀行株の保有減らす-今後も「重要」な株主と表明

~ ブルームバーグ ~

前々から、度々、危ないとの噂の立つドイツ銀行です。

ドイツ銀行に圧力を強めていたのもアメリカである

そして、見逃せないのは、ドイツ銀行に圧力をかけていたのも、アメリカである、ということです。

「死刑判決」を受けたドイツ銀行。1.4兆円では済まない絶望の訴訟リスト

これは「ドイツ銀行 対 米国金融当局」の問題から、「ドイツ政府 対 米国政府」の外交問題になるでしょう

~ マネーボイス ~

しかし、如何にアメリカと言えど、ドイツ銀行を潰すような強硬手段には出られないだろう、という予想は出来ます。中国を倒すと言うよりも、共倒れになってしまいかねませんからね。しかし、これが、もし仮に、外交交渉でドイツ政府がドイツ銀行を救う、というと言う手はずになったとしたらどうでしょう? アメリカが中国経済を崩壊させる準備が整うことになります。

ただ、実際には、これには高いハードルがあります。メルケル首相が、「ドイツ銀行に公的資金は投入しない」と明言しているからです。この強情なおばさんは何があっても、決して意志を曲げることはないでしょう。じゃあ、首相がメルケルじゃなければ・・いや、まさか・・、しかし、実はこのまさかが近づきつつあることをご存知でしたか?

もしSPDが党員投票で、アンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)との大連立を否決すれば、ドイツ首脳としてのメルケル氏の政治生命が唐突な終わりを迎える可能性がある

~ JB PRESS ~

で、奇しくも当ブログは、2017年の選挙でのメルケルの失脚を警戒してきました。理由は、2015年以降、アメリカがメルケルへの圧力を強めていることを知っていたからです。

もし、本当にメルケルが失脚することになれば、最終的には救われる「ドイツ銀行ショック」のトリガーが引かれることになるかも、と私は思うのです。そのために、アメリカはメルケルが邪魔なのかもしれないとも思えます。

2017年、投資家はEU、ユーロの崩壊に警戒が必要か ~脅威のトランプ政権~

そして、記事に書いている通り、メルケルの敗北が、EUの崩壊に直結していく可能性もゼロではありません。北野先生が先程の記事にこう書いています。

他の理由で中国を経済制裁しようにも、欧州が「制裁はイヤだ!」といえば、またもや米国の権威は失墜する

つまり、EUも邪魔なのです。そして、更に興味深いのは、「他の理由」と言う部分です。実際、アメリカは中国に対し、経済制裁を行う意思を見せていますが、その理由になっているのが、「北朝鮮危機」、という訳です。

 

まとめ

どうでしたでしょうか。「考えすぎでしょ、きっと何も起こらないよ」そう思われた方も多いかと思います。私もこんな記事を書いておけば、その通りのことなんて起こらないだろう、と思いながら書いている部分があります。しかし、今起こっている米中間の覇権争いは激烈であって、本物です。これがマーケットに影響を与えないはずがありません。

トランプ政権は、資本家の支援を受け、優しいオバマ政権に代わって、中国を倒すために誕生しました。甘く見ていると、きっと足元を救われます。

私には投資指南をすることは出来ませんが、百戦練磨の投資家の方にも、当ブログの情報はきっと何らかの役に立つことと思っています。

ちなみに、もし万が一今回の記事内容のようなことが具現化した場合、日経平均株価で19,000円割れがあり得る、と私は思っています。