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3月9日の株式市場で、NYダウは440ドル高となりました。警戒を強めていた3月SQへの売り仕掛けも中途半端な形で終わり、なんだ、この程度か、関税、貿易戦争も大したことなさそうだし、もう大丈夫だろう、そう感じられた方も多かっただろうと推察します。

しかし、「否」、私は強くそう言いたいと思い、この記事を書くことにしました。一つ、事前にお断りしておくことは、私は投資家として経験、腕は大したことありません。ですから、売買指南などすることは出来ません。

ただ、読んでもらえれば分かって頂けると思うのですが、当ブログの政治、経済記事はかなり的確に現状を捉え、未来を予測出来ていたと自負しています。その観点から、今の株式市場は、かなり警戒が必要な状況だと考えられるのです。

ですから、百戦錬磨の個人投資家の方も、一度私のお話に耳を傾けていただいてから、投資方針を再考いただいても、決して遅くはないだろうと思っています。

 

海外投資家の売買動向がヤバい

〔需給情報〕2月第4週、海外投資家が日本株を9413億円売り越し=現物先物合計

~ ロイター ~

昨今の株価下落の要因になっているのが、海外投資家の売買動向であることは周知の事実ですが、この売り越し額が過去を鑑みても、かなりの規模に達しています。今年に入って、外国人投資家は、現物先物合わせて6兆円を越える額を売っています。

これだけの売りを食らってまだ、この水準にいるのですから、根本的には株式市場はとても強いのだな、とは思います。ですが、この大規模売りの理由が掴めないことには、決して安心することは出来ません。

 

2015年と2016年の理由

海外投資家から大きな売りが出ること自体は、決して珍しいことではありません。最近では、2015年と2016年にも同じようなことがあり、大きな株価の下落に繋がりました。その時の理由を振り返ってみましょう。

度々書いておりますが、2015年は「ウォルクスワーゲンの排ガス不正問題の暴露」がその理由だと言われており、これが一番説得力が高いです。実際に、その問題が表面化した辺りで株価は底値を付けています。

2016年は2015年を上回る規模の売りが出されました。この時に言われていたのが、原油安で財政が立ち行かなくなった産油国の政府系ファンドの売りというものです。なるほど、これもある程度の説得力を感じますね。

しかし、今振り返れば、それ以上に鮮明で誰もが知っている理由があったように思います。それはイギリスのEU離脱が決定された選挙です。日経平均株価とドル円相場は、まさにその投票結果が出されたその日、その瞬間に大底をつけているため、年初からの株価下落、大幅な円高はこれを織り込んでいたのだ、と考えれば、かなりすっきりとすることと思います。

そして、この2年だけで言えば、外国人投資家が日本株に対して大規模な売りを出した時には、我々投資家だけでなく、世界中の人々をも揺るがすような悪材料が出てきている、と言うことが言えるかと思います。

今年はすでにこの2年を上回る金額の売りが出ているようです。もちろん、今年もそうだ、と断言は出来ませんが、しかし・・。

 

悪材料は鉄鋼関税にあらず

海外投資家が懸念する悪材料は、つい先日発表になったアメリカによる鉄鋼やアルミに対する関税、コーン委員長の辞任に関するものだ、と言う見方もあります。しかし、私はこれにはかなり懐疑的です。

この規模の売りの理由が、こんな前から分かっていた、ちっぽけな材料のはずがないと思うからです。貿易戦争、と言えばインパクトはありますが、これは国同士で調整可能なはずで、コントロール可能なものです。実際にトランプ政権は、この国は除外だと、その範囲を狭めています。

では、その本当の理由とはなんなのか、と探っていましたところ、これを見つけました。

コラム:トランプ通商政策、鉄鋼より心配な「対中制裁」

鉄鋼とアルミニウムの輸入制限が大きな注目を浴びているが、この問題もかすんでしまうような通商案件が近く浮上しそうだ

~ ロイター ~

私はこの記事に衝撃を受けました。これぞまさに、当ブログが昨年から一貫して、一番時間をかけ、警戒とともにお伝えしてきた内容だったからです。我々が、一投資家として、一日本人として一番緊張感をもって真面目に考えなくてはならないのが、この米中対立なのです。

鉄鋼とアルミの関税などかすむ、と書いてありますね。

301条は米国が持つ通商上の武器の中で最も攻撃的なものと見なされている。報道によると、米政府は中国からの幅広い輸入品に高関税を課す準備を進めているようだ

これはあからさまだ。投資家は鉄鋼問題だけでなく、中国の問題にも関心を払った方がよい

私は読むにつれ、思わず唾を飲み込むような感覚に襲われましたが、どうでしょうか・・。いやいや、実際にはこんなことは出来ないでしょう。そう思われるかもしれません。しかし、これに関しては、甘く見てはいけないという一言しかありません。外国人投資家の売りの本当の理由も、この辺りに潜んでいる可能性は極めて高いように思われます。ちなみに、2015年、2016年も元を正すと、根本は米中対立であったと考えられます。

コーン国家経済会議(NEC)委員長の辞任まで招いた鉄鋼・アルミ問題と違い、中国に対する制裁は政府、議会や金融市場から一定の支持を得そうだ。ここ数年、政界でも専門家の間でも中国の通商慣行に懸念が示されており、2001年に中国の世界貿易機関(WTO)加盟を許したのは間違いだったのではないか、との声まで上がっている

私は昨年からこう書き続けました。トランプ政権とは、中国と戦うために作られ、トランプさんはそのために選挙で選ばれた、と。それにしては、2017年の彼ははっきり言っておとなしかった。なぜかと言いますと、「内なる敵」とはよく言いますが、彼は去年一年、この内なる敵との戦いに明け暮れていました。しかし結果、それも彼の勝利で終わりを告げそうであり、対中国と言う部分で、アメリカが一つになって来ている様が如実に表れて来ています。

つまり、政府、議会や金融市場からトランプさんが正しかったことがすでに認められているのです。

そして、蛇足として、非常に面白いのは、この最も攻撃的な301条は、当初、「中国が北朝鮮に真面目に制裁をかけないから」と言うロジックで、検討が開始されたということです。

参考にどうぞ。

世界を手玉に取っているのは、北朝鮮ではなく米国だ ~迫りくる米中戦争の脅威~

 

スーパー301条の影響

では、実際にこの”米国が持つ通商上の武器の中で最も攻撃的な”、通称スーパー301条が導入されたらどうなるのでしょうか。

全面的な貿易戦争になれば、米中間の貿易総額6500億ドル(2016年現在)の相当部分が打撃を受けかねない

当然、世界経済に大打撃になります。特に心配なのが、中国経済の方です。元々、中国経済の脆弱性が指摘されてきたのは、誰でも知るところかと思います。そして、そこからもっと広げて考えてみると、大きな不安とともに頭をよぎるのが、前々から書いています通り、ドイツ銀行に関する懸念です。

ドイツ銀行は、以前から経営への疑念が持たれており、それを支えているのは、中国資本だと言われています。

ドイツ銀、試される再生 中国資本などが多額投資

株式保有比率などをみると、欧州域外からの投資が目立つ。代表格が中国のHNAだ。今年2月に3%の株式保有が明らかになると、その後も投資の手を緩めず、足元では9.9%まで保有比率を高めている

~ 日本経済新聞 ~

301条で中国経済が致命的なダメージを被ると、それがそのまま、ドイツ銀行危機に繋がってしまう可能性が十分考えられます。奇しくも、今年、この中国のHNAが資金難である、という情報が流れたばかりです。

いや、ドイツ銀行は潰さないでしょう、私もそうは思います。しかし、とにかく、トランプ政権、アメリカと言う世界一の覇権国家の覚悟を甘く見てはならないのです。

 

まとめ 個人投資家はとにかく慎重姿勢で

という訳で、当ブログから、個人投資家の皆様に、今はとにかく慎重姿勢で臨むことを、お勧めしたいと思います。「割安」と言う言葉につられてはいけません。今の割安は未来においてもそうだとは限りませんから。

腕に自信のある方は、「突っ込み買いの吹き値売り」、「ロスカット」を駆使して、臨機応変に対応できるかと思いますが、少なくとも、「初心者~初級者」を自認されている方には、今は様子見姿勢を貫くことを強くお勧めします。

特に信用買いは絶対にやってはいけません。現物買いなら、なんとでもなると思います。長期スパンで考えれば、きっとまた買値以上になるでしょう。ただ、今は買うべき時ではない、と当ブログは現在考えています。

だからと言って、空売りに賭けても、当ブログは責任は一切取りません(笑)。

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