いまさら感のあるこの作品ですが、スティーブンキングの作品の中でも、その衝撃度は一番といってもいいくらいだと思うので、紹介させていただきます。

スティーブンキングの作品をそんなに多く読んだわけではないですが、その中でもこの作品の面白さはダントツでした。キングの作品は多く映画化されていますが、やはりこの作品がダントツです。

 

この作品も『リボンの騎士』と一緒で、テーマは「愛のエゴイズム」でしょう。それが、えぐく、おぞましく描かれています。事故にあった小説家、それを保護した一ファンの女。やがて、女は小説家を自分の思い通りにするために、監禁し、虐待を始めます。

 

この小説は「これは愛なんだ」と信じて読むことをお勧めします。なぜなら、「こんなものは愛ではない」として読んでしまうと、単なる頭のおかしいおばさんが暴行を繰り返すことを恐怖して楽しむだけで終わってしまうからです。

しかし、アニー(監禁女)はポール(小説家)の大ファンであり、彼女は間違いなくポールを愛していると信じると、自分の中にも十分にひそんでいる「愛のエゴイズム」をうかがい知ることが出来ます。確かに、この女は狂っています。しかし、最後までポールを愛しています。それは否定できません。
「愛は残忍なもの、エゴイスティックで気ままなもの」

というリボンの騎士の名台詞はここでも通用します。