大分市の高崎山動物園で子猿にイギリス王室の生まれたばかりの王女と同じ名前「シャーロット」と名付けたところ、抗議が殺到したという騒動がありましたが、イギリス人から見ると何が悪いんだ? というのところのようで、それを確認し、おさまったようですね。

騒動の根底には「愛」 愛の本質を教えてくれる名作2作品

さて、こちらについては、色々とあると思うのですが、これは偏に「愛」のなせる業ではないかと思いました。

シャーロットと名付けたいと思った人々は子猿への愛情からでしょうし、そして抗議した人はきっと英国王室への愛のためでしょう。いやいや、愛なんてそんないい物ではないんじゃないか、なんて声も聞こえそうですが、しかし、愛とはそういう物ということを見事に表現した作品があります。それは手塚治虫さんの漫画、『リボンの騎士』です。

愛は残忍なもの、エゴイスティックで気ままなものだから私はふたりを裂いて、フランツを私のものにするのよ!」

これは「愛」をテーマとしたこの作品の中に出てくるこの作品を代表する名台詞です。

名付け反対派の「イギリス王室に失礼だ!」という思いは完全に的外れだったことが明らかになっていますが、そもそも愛とはエゴイスティックで気ままなものなのですから、それ自体はそんなに変わったことでもないのかもしれません。そんな愛のエゴをもっと極端に狂気的に描いたのがスティーブン・キングの『ミザリー』かと思います。

 

「怒り」はほとんどが勘違いからくる?

そして、今回の件でちょっと怖いなと思うのは、「シャーロットと名付けるのは変!」と思うこと自体は別に自由でいいと思うのですが、抗議の電話をしたりして無理やり変えさせようとする方々が少なからずいらっしゃるということです。なぜそんな行動にまで出てしまうのかと言うと、自分の考えは絶対的だと信じているからに他なりません。これははっきり言って危険です。

 

前にも書いたのですが、物理学で言えば、空間や時間でさえ絶対的な物ではなく、個人にとっての物でしかありません。ですから、考えなんてものはもうそれはそれは個人的な物でしかありえません。この事実への認識を失うことが、大きな争いの原点となります。そもそも怒りなんてそのほとんどが勘違いと言う気はしませんか? 今回の騒動はまさにそんな感じじゃないでしょうか。

個人的には英王室ニュースがなぜこんなにも日本で取り上げられるのかと言うところから???なんですけどね(笑)。