二回目はいきなり漫画になります。手塚治虫の漫画はよく読むのですが、これが一番好きだったりします。一応少女漫画ということですね。
「天使のいたずらから、男と女の二つの心を持って生まれた少女サファイアは、ジュラルミン大公のために王位を追われた。王子フランツとの恋も破れたサファイアは、リボンの騎士に姿を変え、大公に復讐を誓うのだった」
漫画の神様と評される手塚治虫ですが、本人の趣向もあって、その漫画はどれも文学的です。そして、悲劇的です。この漫画のテーマはずばり「愛」で、色々なその形が描かれています。恋愛、友情、親子愛。
神でありながら、人間のフランツ王子を愛してしまった女神ビーナスは、サファイアとフランツの恋路を必死に邪魔し、こう言います。
「愛は残忍なもの、エゴイスティックで気ままなもの。だから私はふたりを裂いて、フランツを私のものにするのよ!」
この名台詞こそが、この漫画のすべてを表しています。
手塚治虫さんの作品にはどれも棘があります。我々の胸に突き刺さる鋭い棘です。それは到底子供には理解は難しく、大人になって読んで初めて気づかされる”痛み”でしょう。この作品には人生の傷みがあります。それはまさしく、ビーナスの言う通り、「愛の残忍さ」です。
初めて読む方はきっと、その本当に驚かされることでしょう。
恋人同士や、お母さんとそのお子様など、是非、「愛し合うペア」で読んで頂きたいな、と強く願う作品です。