世界は「緑の時代」に突入したと書きましたが、実際に「緑」の台頭は著しく「グリーン・ニューディール」という言葉を聞く機会は、今後も増え続けるでしょう。
「いやだ」と言っても、今からこの流れを止めることは、もはや不可能です。であれば、それにずるずると追従するのではなく、日本版「グリーン・ニューディール」を提案することが得策ではないでしょうか。
ベーアボック氏の台頭
今、アメリカ以上に熱いのがドイツです。
独週刊誌ビルトシャフツ・ボッヘが22日公表した9月の総選挙に関する企業経営者調査によると、各党の首相候補の中で環境政党「緑の党」のアンナレーナ・ベーアボック共同党首が支持率で首位に立った。
同氏は19日、総選挙で首相の座を目指すと表明。同党は40年前に発足して以来初めて首相ポストを狙うことになる。
メルケル後継候補、緑の党ベーアボック氏が財界の支持集める=調査 ロイター
長年ドイツ政界を抑えてきた、キリスト教民主同盟(CDU)が、大きく支持を失っており、メルケル引退とともに、政権を「緑の党」に明け渡す可能性が出てきたようです。
その新首相候補が、アナレーナ・ベアボック氏(40歳)で、もし今度の選挙で勝つことが出来れば、史上最年少の首相になるということです。ドイツは、まさに新時代を迎えつつありますね。
しかし、国際政治の裏側を研究してきた方からすると、こう懸念するのも無理はないんじゃないでしょうか。
これも何かの陰謀じゃないの?
その日、報道はあっという間にベアボック一色になり、ドイツの主要メディアは緑の党のシンパが多いこともあり、どれを見ても、好意的なコメントと爽やかな写真が満艦飾だった。
AfD(ドイツのための選択肢)のある議員だけが例外で、「ジョージ・ソロス、おめでとう!」として、ベアボック氏がソロスの愛弟子、かつ操り人形であると示唆するツイートを出していた。AfDらしいと言えば、AfDらしい。
「ポスト・メルケル」は誰に…独与野党が9月総選挙に向け首相候補擁立 現代ビジネス
ぬぬ? メディアが好意的!? ジョージ・ソロスが関与だって! こりゃだめだ、やっぱり陰謀確定だ!
google、隠蔽説
しかし、今回はそう結論付けるのは、少々気が早いかもしれません。というのも、私がベーアボック氏が首相候補になったニュースを見た直後、「ベーアボック」とgoogle検索してみたところ、なんと彼女の情報が1件も出てこなかったのです。これには驚きましたね。
インターネット黎明期じゃあるまいし、ドイツの首相候補の情報が一件も出てこないってどういうこと・・? googleは検索の中核としては、全く使えない駄エンジンだいうことが今回明らかになりました。
それと同時に言えることは、ベーアボック氏が「不当に」メディアに支援されている可能性は低いということです。今日、検索しても、ウィキペディアすら出てきませんからね。ちなみに、bingで検索すれば、彼女のウィキペディアがトップに出てきます。
まあ恐らく彼らにとって、緑の党の台頭という現実が、非常に都合が悪いということなんでしょう。
ドイツメディアは、あっという間にベーアボック一色になったそうですが、そもそも支持率1位ですし、むしろ今までそうじゃなかったことがおかしいのではないでしょうか。
長年、政界を抑えてきた与党を打ち負かす勢いの史上最年少首相候補が話題にならない方がおかしいですよね? 今まで何とか触れないようにしてたけど、もはや隠しきれなくなって、一気に報じたようにも思えます。
ジョージ・ソロス、どうでもいい奴説
もう一方の、AFDが緑の党とソロスの関係を言ったというやつですが、これは根拠がまったく見当たりません。AFDはそもそも信頼できる政党ではありません。私の分析では、2015年以降にロンドン派閥が世界中に「保守的なグループ」を台頭させる戦略(EU崩壊戦略)を取る中で、対メルケル戦略として出てきた政党です。啓蒙医師団のハイコ・シェーニング氏は、AFDの支援勢力はCIAであると言っていました。
そして、今回私も反省とともにお伝えしなければならないことですが、改めて「ジョージ・ソロス」という男を調べて見たのですが、これが予想外に全く何も出てきませんでした。
彼はネット空間では、世界支配の黒幕として叫ばれることが多く、私もそのようなことを書いてしまいましたが、これは根拠のない陰謀論ですね(笑)。
それらはほとんど噂に過ぎず、実態が全くありません。自分で笑ってしまうくらいでした。ジョージ・ソロス、どうでもいい奴が本当っぽいですね。彼のウィキペディアも読んで損したって感じでした。皆様も「どうでもいいわ」って思うと思います(笑)。
ただ一つだけ、ここだけへえ~って思いました。
なお、ソロスの財団は一時期ウィキメディア財団のための基金を創設した大口寄付者でもあった。
「ジョージ・ソロス」 ウィキペディア
という訳で、「緑の党」の躍進を悪く考える必要はない、というのが結論になります。
あと、余談ですがこの部分。
この1年、CDUのコロナ対策は悉く失敗した上、メディアが、昨日はカリフォルニアの変異株、今日はインドの変異株などと恐怖を煽り、国民をさらに絶望させている。そんな中、元気で爽やかに夢を語るベアボック氏の姿に魅せられる人は多いに違いない。
「緑の党」の躍進を許したのは、CDUがコロナ政策に失敗したからなんですね。これをなぜか成功していると思っている方が、日本には一定数おられるようです。間違った認識を元に世論を作られるのは、ただの迷惑としか言いようがありません。
アメリカの「グリーン・ニューディール」
そして、度々取り上げてきたことですが、「グリーン・ニューディール」はアメリカで大きな潮流となっており、その中心にいるのが、やはり最年少議員です。
近年この政策を再び議論の中心に据えたのは、アメリカ最年少女性下院議員としても注目される民主党のアレクサンドリア・オカシオ=コルテスである。
「グリーンニューディール」に期待広がるアメリカ。ポストコロナ経済対策となるか FORBES JAPAN
過去の記事で、私は何度か彼女を持ち上げる記事を書きました。しかし、実際のところ、彼女のイデオロギーを全面的に支持している訳でも、女性として好みだという訳でもありません。男は基本ぶりっ子が好きなので、大統領を目指すような女性はあまり好きでは・・と書いたら怒られますかね。
さて、その期待の大型新人が一体なにを主張しているかと言うと、
彼女がエド・マーキー民主党上院議員と共に2019年2月に発表したグリーンニューディールの決議案の主張は、例えば以下のようなものである。
・温室効果ガスの実質排出ゼロ
・電力の100%再生可能エネルギー化
・炭素税を含むカーボンプライシング(炭素価格付け)
・労働者の最低賃金保障
・すべての人への医療保険(ヘルスケア)
率直に「は?」という感じですね。まあ、下2つはいいと思いますけどね。
電力の100%再生可能エネルギー化
はどうでしょうか。これは「文明を後退させる」覚悟がないとできません。
①アーミッシュのように電気を使わない、もしくは節約する生活をする
私が過去に提案した「グリーン・ニューディール」がこちら。そんな覚悟、本当にあるの?
ま、とは言え、ドイツの「緑の党」と同じ理由で、彼女らの民主社会主義運動が、怪しいものだという根拠は、特に存在しません。
なにより、若者の支持が本物であることを感じますし、民主社会主義勢力が主体の政治は、今の世界最悪のテロリスト国家であるイスラエルが支配する政治より、遥かにいいのは間違いないでしょう。
オカシオ・コルテスは、公然とイスラエルを非難しています。この姿勢は賞賛に値します。次世代の世界のリーダーとして期待したいと思ってみています。
そして日本の・・
しかし、日本に目を向ければ、外国の心配をしている場合か、という状況です。日本の政治が世界のトレンドから取り残されていると言わざるを得ません。既存政党が支持を失ってきていますが、その受け皿となる新興勢力が育っていませんね。
そんな中、日本の「グリーン・ニューディール」は、どんなものが考えられるのでしょうか。
と思ったら、実は既にありました。それが・・・
「美しい国、日本」(笑)。
私が目指すこの国のかたちは、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた、「美しい国、日本」であります。この「美しい国」の姿を、私は次のように考えます。
一つ目は、文化、伝統、自然、歴史を大切にする国であります。
二つ目は、自由な社会を基本とし、規律を知る、凛とした国であります。
三つ目は、未来へ向かって成長するエネルギーを持ち続ける国であります。
四つ目は、世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国であります。(中略)
私たちの国、日本は、世界に誇りうる美しい自然に恵まれた長い歴史、文化、伝統を持つ国です。その静かな誇りを胸に、今、新たな国創りに向けて、歩み出すときがやってきました。
第165回国会 安倍内閣総理大臣所信表明演説 首相官邸
安倍晋三氏は、今から15年前に「グリーン・ニューディール」をやろうとして、タイミングが早すぎたために失敗したと考えられるのです。そして、彼はこの時、戦後最年少首相でした。なんという時代の先駆者ぶりでしょう。
内閣府がまとめた世論調査によると、今の日本を「美しい」とする人は半数を超えている。一方、「美しくない」とする人は43%であった。
また、「日本の美しさとは何か」に関するアンケート調査結果(複数回答可)は以下のとおりであった。
山や森などの「自然」:80.0%
伝統工芸などの「匠(たくみ)の技」:58.5%
田園・里山などの「景観」:52.8%
歌舞伎・祭りなどの「伝統文化」: 50.8%
ウィキペディア 「美しい国」ー世論調査
「日本をトウモロコス。」
日本版「グリーン・ニューディール」これでいいんじゃね? 新しく考えるの面倒くさいし・・
それが今の私の率直な感想です。