当ブログでも、度々取り上げさせて頂いている、トランプ政権のブレーンと言われる、ピーター・ナヴァロ国家通商会議委員長の『米中もし戦わば』。先日、こちらを何気なく読み返していたら、再び大きな衝撃を受けることとなりました。

最初に私がこの本を読んで一番に思ったことは、「トランプさん、ほとんどこの本に書いてることそのまま言ってるじゃん!」ってことでした。で、もう一度読み直してみると、当時はあまり興味をそそられず、私もすっかり忘れてしまっていた、こちらのブログでもお伝えしていなかったことが、実現している、もしくは、実現に向かっている様が見て取れたのです。

それは、最近大きく騒がれることとなった「北朝鮮問題」や、関連して、にわかに語られ始めた「日本の核保有問題」と言った、我々にとって身近で非常にセンセーショナルな内容だったのです。

米国の税制改革は軍事戦略である

まずは、従来お伝えしてきた内容から再確認です。

世界一高い法人税のせいで米国の金と技術が流出している

まずは、従来お伝えしてきた内容から再確認です。トランプ政権の目玉政策である税制改革、法人税の減税の目的は、経済にではなく軍事にあるということは繰り返しお伝えしてきた通りです。

 

保護主義も軍事戦略である

「アメリカ・ファースト」も同様です。

私たちは中国製品を買うたびに、中国の軍事力増強に手を貸している

なぜ、中国はこれほど急速に台頭してきたのだろう。それはアメリカが巨額の貿易赤字を抱え、投資と技術を急速に流出させているからだ

これに対抗するため、トランプ政権は国境税という政策を模索していましたね。しかし、これは現実的には難しく、頓挫しました。そして、この代わりに出てきたのが、米通商法301条という政策、というよりも制裁ですね。そのターゲットはもちろん中国。これは制裁、なので、理由もなく、一方的に発動することは本来許されません。たるべき理由が必要になるのです。で、その大義になっているのが、北朝鮮問題というわけです。

 

金正恩の排除はすでに・・?

ペンタゴン高官のエド・ティンパーレイクは、アメリカの取るべき道を次のように明快に述べている。

真っ先にしなければならないのは、金正恩の命令系統を断ち切ることだ。

地上戦に訴えれば、戦争を始める前からアメリカの負けだ。彼を排除し、容赦なくそして速やかに、彼を抹殺しなければならない。

さて、当ブログでは7月くらいから、金正恩さんはすでにいないのではないか? という疑惑を抱いています。どうでしょうね、これ。アメリカはすでにこれをやってしまっているではないでしょうか・・? グアムにミサイルが発射されると騒がれた時、トランプさんはグアム知事にこう言いましたね。

「心配しなくていい。金正恩は最近しゃべっていない」

世間的にはほぼスルーされてしまっていますが、当ブログはこの奇妙な発言、見逃しません。金さんの居場所が既にあの世かどうかまではわかりませんが、「金正恩の命令系統を断ち切る」ことに関して、既に成功している事実を表している気がしませんかね。

 

北朝鮮危機は結果的にアメリカに有利に働いている

そう考える根拠は他にもあります。北朝鮮危機の結果によって起きている事実を捉えればいいのです。結果、何が起きたか。

  1. アメリカが中国に経済制裁をかけた
  2. アメリカがアジアにミサイル防衛システムを配備した

中国が恐れているのは、アメリカがアジアに最新鋭ミサイル防衛システムを配備すれば、中国の「報復攻撃」能力をも封じることができるようになるだろう、ということである。この懸念は実際かなり筋がとおっている。

「1」は最初に触れたました。「2」に関して、中国は北朝鮮危機の結果、恐れている事態を招いてると言うことになります。ですから、単純に北朝鮮危機で、得をしているのはアメリカで損をしているのは中国だということが言えます。これは重大な事実です。

原因と結果が逆になっていますよね。歴史上、アメリカはそのような戦略を多用していることは明白です。

 

朴槿恵は嫌北すぎて邪魔だった

上記を頭の片隅において、見ていきます。

(北朝鮮による)挑発行為があった場合に紛争がエスカレートする可能性をさらに高めているのが、2012年の朴槿恵政権発足以来、韓国が取っている政治的強硬路線である。

この辺りを読んでみると、現在の文政権がなぜ、北融和政策なのか、というところが見えてくる気がしませんか? 簡単に言えば、その方が今のアメリカにとって都合がいいということです。

中国、北朝鮮、韓国、アメリカの軍隊が出会ったら何が起きるだろう。事態が速やかにエスカレートするだろうことは火を見るよりも明らかである

お母さんを北朝鮮に暗殺されたという過去を持つ、朴槿恵さんではこうなりかねない、ということかと思います。

 

シンゾーは使える奴だった

最後ににわかに騒がれ始めた、我が国、日本の防衛に関してです。ナヴァロ委員長は、日本の対中国戦略には三つの手段があると言います。

  1. 独自に核武装する
  2. 中国に乗り換える
  3. アメリカのぶれない同盟国となる

そして、この中で一番いいのは、「3」で、一番悪いのは「1」であると。興味深いのは、「2」よりも「1」の方がもっと悪いと言っていることですね。

アジア地域におけるアメリカの戦力投射の最も重要な機能は核抑止力による平和維持だという事実である。日本や韓国は核保有国にならずにアメリカの核抑止力に頼るほうが、アジアで核戦争が起きる危険は遥かに小さくなる、とほとんどの専門家は考えている。

まあ、ちょっとご都合主義には見えますが、一つの事実かもしれません。

そして、ここから言える重大なことは、日本には、アメリカとともに戦うか、中国共産党に支配されるか、という二択しか現実的に存在しないということです。私たちはそういった歴史上の重大局面に立っていると言えるのです。

と言っても、現在、半強制的に「3」しか選択肢はないように思えます。その事実を誰より理解している安倍首相がトランプの親友としての待遇を受けるのは当然のことです。

「日本や韓国は核保有国にならずにアメリカの核抑止力に頼る」この方針に則って、日本へのアメリカの核配備が進められると、当ブログでは読みます。

そして、この章にもう一つ、気になることが書いてあります。

(日米同盟は)日本領内で紛争が起きることは想定されていなかった。

アメリカが書いたと言われる(というより事実ですが)、日本国憲法ですが、これもまさにそうじゃないかと。ですから、その修正がアメリカ主導で?現在行われている、と考えればいいのではないでしょうか。

 

まとめ

どうでしたでしょうか。改めて、今、読み返してみると、結構衝撃的じゃないでしょうか。トランプさんはこの本を読んで感銘を受け、ピーター・ナヴァロさんを要人に招き入れた言われています。しかも、今までなかったポストを作ってまでです。

同じく、ブレーンと言われ、先日解任されたバノンさんが策定したと言われる政策は、ほとんど実現しませんでしたが、ナヴァロさんがこの本で語っている内容については、かなり実現にこぎつけてきているように思います。彼は正真正銘のトランプ政権のブレーンだと言っていいでしょう。

米中戦争が起きる可能性は70パーセント、ナヴァロさんはそう言います。しかし、一つ救いがあるとすれば、彼は決して戦争を望んでいないだろう、ということです。中国を抑え込み、戦争にならないで勝つ、そのための戦略がこの本の中に、至極冷静に語られていることを、強く感じます。そういう人があの世界一恐ろしい国アメリカのブレーンである、ということは、なけなしの安心材料であるかもしれません。

つい最近、こんな記事を目にしました。トランプさんは、習近平さんを誰より尊敬しているというのです。もしかしたら、ここにも戦争を避けたいというトランプ政権の意向が表れているのかもしれません。利害関係で対立する国のトップ同士の個人的な人間関係までが壊れてしまっては、それこそ戦争まっしぐらになってしまいます。

そして、トランプ政権は戦わずして勝つために、日本の協力を求めた。選挙期間中から、トランプさんは日本人にこう語りかけていたように私は感じていました。

「私達だけでは勝てない。だから日本の皆さんも私とともに戦いましょう」

これは、少々眉唾物だと自分で思いながら、この記事のまとめとしたいと思います。