シェイクスピアで一番エロイ作品

シェイクスピアの2回目です。同じ作家で二つ目は、初めてですね。やはり、それだけ面白いということでしょうか。こちらは、嫉妬の悲劇ということで、よく評されています。正しくその通りですが、「男の嫉妬」といっていいでしょうかね。

この物語は、馬鹿な男二人によって引き起こされる悲劇ですね。男の欲というものを強く感じる作品です。男の欲といえば、もちろん性欲です。それに翻弄された愚かな男たちとその犠牲者の女たちという分かりやすい形となっています。

ヒロインのデズデモーナには、まったく罪はないです。テーマから言って、シェイクスピア作品の中で、一番エロイといっていいかも知れません。だから、面白くないはずないのです。

 

世界文学史上、一番いやらしい奴

副官に任命されなかったイアーゴーは、上官のオセローと、任命されたキャシオーに恨みを抱きます。ここには、男の出世欲が描かれています。男がなぜ、女に比べて出世欲を強く持つかというと、性欲とつながっていて、出世すれば、より多くの女性を手にいれることが出来るからです。

イアーゴーはまさに性欲丸出しで、副官に任命されて、女性にもてもてになるつもりだったのに、そうならなかったことに強い恨みを持つわけです。逆にキャシオーがもてもてになっては困るので、失脚させてしまいます。なんていやらしいやつでしょう。強いエロさを感じます。

さらにこいつは、自分のもてもて街道を実現してくれなかったオセローにも復讐を目論見ます。奥さんが浮気してますよ、とオセローに嘘をつきます。オセローはこれを信じて、奥さんを殺してしまうのです。

 

オセローの馬鹿さ加減

オセローはなぜ、嘘を見抜けなかったのかというと、デズデモーナに強い嫉妬心を起しているからです。男性の嫉妬心は元来女性よりも強いものだそうです。なぜなら、女性が浮気をして、別の男の子供を宿してしまうと、見抜く方法がなく、他の男の子供を知らずに育てることになるからだそうです。

これは生物学的には、大打撃になってしまいます。オセローはこれをおそれ、疑いの果てにデズデモーナを殺してしまったのです。それほどまでにデズデモーナがいいのでしょうか? オセローにもエロさを感じますね。

 

愚かな男たち、性欲が引き起こした悲劇

これらは正しく、男の性欲から来ることです。性欲に翻弄される、男たちの姿が劇という舞台で、ものの見事に表現されています。これらは、リア王と一緒で、人間のど真ん中を描いているといっていいでしょうね。

男の愚かさを描いた作品であると考えますが、女性の登場人物に罪びとがいないことからも、シェークスピアの意図が推察されるのではないでしょうか。

 

この作品は、ほんとに、いたるところから、男のエロが溢れ出ています。そう感じるのは、私だけでしょうか? これはもう、「嫉妬の悲劇」ならぬ「(男の)性欲の悲劇!」と言ってしまっていいんではないでしょうか。

 

ああ、なんて愚かな! そう、愚かなんです。しかし、オセロはデズデモーナを愛していました。嫉妬で見境がつかなくなるほど、純粋に愛していたので、盲目的に彼女を殺してしまったのです。

リボンの騎士に出てくるテーマはここにも、リンクしています。これを普遍的というのでしょうかね。それはまさしく人間のど真ん中の姿です。