昨日のNY株式市場は再び騰勢を強め、ダウは再び2万ドルを超え、ナスダックは史上最高値を更新してきました。今でこそ、株式市場を強気にみている方が多くなりましたが、はっきり言って半年前にはほぼすべての方が、「アメリカ株は大きな下落局面を迎える」と言っていたのです。

しかし、そんな中、当ブログは昨年の6月以降、「アメリカ株はさらにバブル化する」と明言してきました。結果は、ご覧の通りなのですが、なぜそんな大胆予想を当てることが出来たのかというと、それはFRBの「利上げの真意」に着目したからです。

利上げの加速は、FRBの願望

ひとつ前の記事でもお伝えしましたが、驚きをもって迎えられた「FRBは今年、利上げを加速する」という見解ですが、当ブログではそれが指し示されることは、昨年秋以降から完全に想定内だったのです。なぜなら、彼らのインタビュー記事や講演での発言などから、FRBが「利上げを加速させたい」という、目標もしくは願望を持っていることは容易に察することが出来たからです。

2016年、彼らは本当はもうちょっと利上げしたかったのです。しかし、様々な要因により(私は大統領選挙に絡む政治圧力だと思いますが)、それを実行に移すことはできなかった。だから、今年利上げの実行に意気込んでくることは、当然のことなのです。

しかし、なぜFRBはそんなに利上げの願望を持っているのでしょうか。これも昨年お伝えしてきたことなのですが、これは端的に「株が高すぎるから」です。なぜ、これが断言できるかというと、昨年FRBのダドリーさん自ら、ぶっちゃけトークを展開したからです。

昨年は、年初から世界の株式市場は大荒れとなったのは記憶に新しいところですが、そんな世界のマーケットをしり目に彼は、

「全く想定内。だってそれが目的なんだから」

とおっしゃったのです。私は、その前から、FRBは更なる株高阻止のために、利上げを急いでいるのではないか、疑っていたので、これはドンピシャでした。

だって、そうなのです。経済指標を見渡しても、経済が加速していってしまう状況にあるとは思えません。「利上げは遅れていない」FRBはそう言いますが、これは経済状況を見ればその通りなのです。しかし、株式市場に目を向ければ、利上げは遅れているのです。イエレン議長は、ダウがまだ16,000ドルくらいだった時に、「株は高すぎる」と言ったのですから・・。

その時から経済が劇的に変わった感じはありません。少々よくなったかな、という程度です。でも、株価の騰勢は一向に収まる気配はありません。

 

確実にバブルのアメリカ株

少々、個人的なお話をさせていただきますが、昨年の秋頃、久しぶりに欲しいなと思うアメリカ株がありました。記事にも書いてます通り、「ドル円は100円くらいで底値だろう」という読みがありましたので、少額買ってみることにしました。

しかし、これが全然買えないのです。なぜかというと、指値まで下がってこないのです。何度も追っかけて注文を入れなおしても、買えないので、三日目にはとうとう根負けして高値をなんとか買い付けました。まるでオークションかという感じです。日本株でこんなことをしようものなら、塩漬けまっしぐらコースで間違いありませんが、結果からいうと、その株はそのまま右肩上がりで1.5倍くらいになりました。

途中で、買い増しをしようと思ったのですが、それも指値に引っかからず出来ませんでした。株ってこんなに簡単だったか・・?という感想です。だって、高値を買い付けて、そのまま放置しているだけです。買っている額は大したことないので、儲けも大したことはありませんが・・。ちなみに日本株の方は含み損ばっかりです。いや、これから騰がります(笑)。

 

アメリカ株は確実にバブルです。当ブログでは昨年の夏以降、余りにおかしな動きとなったダウをずっと「変」と表現してきました。とにかく大きな下落がまったくないのです。あっても、一瞬ですぐに元に戻っています。株価としては、異様な動きでとても健全とは言えないでしょう。チャートを見ればダウの変態ぶりは誰の目にも明らかでしょう。この状態ではFRBが夜も眠れないのも無理はないのです。

 

願望だけで終わってしまう可能性も・・?

先日発表になったFOMC議事録、そして最近のFRBメンバーの発言を聞いていると、どうも昨年末の気合がトーンダウンした印象を受けます。

「中央銀行は独立性を保つ」

イエレン議長は力強くそう語ってくれましたが、現実的には、これは難しいことではないでしょうか。FRB議長は指名権がアメリカ大統領にあるそうですし、政府が本気で圧力をかければ対抗できる術は少ないと思います。利上げのトーンダウンが政治への配慮かどうかは分かりませんが、この場面でダウンするのは少々不自然です。

トランプ政権は大胆な経済政策掲げています。その成功のためにも、実体経済を抑える効果のある利上げは極力控えてほしいというのは、当然あるでしょう。そんな中、FRBが自らの一大方針を貫き通せるのかどうか、ということは今後の重大なポイントではないでしょうか。

もし、難しいということであれば、アメリカ株は更に勢い強く、バブル化していくことは必至です。なんにもしなくて下がってくれるなら、周囲の反対を押し切ってまで、FRBが利上げを急ぐ理由など全くないのです。

ゆっくりと回復する実体経済とのギャップは確実に更に開いていくでしょう。例えトランプ政権が圧力をかけなかったとしても、FRBは実体経済に最大限配慮して利上げを進めるでしょうから、どちらにしろ、結局株価は高くなるしかないでしょう。

 

暴落のリスク

では、逆に暴落のリスクは何でしょうか。今年は政治的なリスクは高いと思います。今の流れを見ていると、欧州選挙で株式市場が嫌う右派政権が軒並み躍進する可能性があると思います。マーケット的に想定される最悪は、ドイツの総選挙でのメルケルの敗北でしょう。

しかし、もし、仮にそうなったとしても、株式市場は一時的な急落を経て復活してくるでしょう。昨年のイギリスのEU離脱という事態をもってしても、NYダウは史上最高値圏から1,000ドル程度しか調整せず、その後に再び史上最高値を更新した事実は強烈です。見えている、想定される材料では下げない相場になっているのです。

怖いのは、一昨年の8月や昨年の初めのような、目に見えない需給変化が突然起こることです。突然の意味不明の暴落の理由が一般人には分かるのは、もうそれが底値に到達しようという頃です。これは値動きから察するしかないというが、過去二回の経験で得た教訓です。

 

グレート・ローテーションはまだ始まったばかり

しかし、いつどのように起こるのかわからない、目に見えない材料を心配していてもしようがありません。グレート・ローテーションはまだまだ始まったばかりです。アメリカ株は常識では測れない途方もない水準まで騰がっていく可能性を秘めていると思います。

私は個人的には、圧力などかけずにFRBに任せるべきだと思います。なぜなら、イエレン議長率いる現FRBの能力は相当高いように見受けられるからです。なにより、彼らは現状を正しく認識しているように思います。そして、実体経済と株価のギャップという時代の大きな矛盾に直面し苦悩し、それと戦っているのです。元々は自らのまいた種とは言え・・。

 

日本株は?

アメリカ株の更なるバブル化は必至、私はそのように思いますが、日本株はどうなるのでしょうか。これも当然高くなると思います。トランプがドル安けん制を行ったことにより、円高が進んで現在は軟調ですが、今年に関しては昨年のように極端な円高が進んでいく理由はないように思いますし、ダウが好調を維持していくのであれば、当然日本株も恩恵を受けます。

それにアメリカ株がそんな状態で、円高ドル安だってそうそう続くはずがないと思います。これでドル安も進んじゃったら、米株はどうなっちゃうんです? ヤバい状態まで飛んで行ってしまいます。FRBのトーンダウンは少々気になりますが、例え実行に移せなかったとしても、イエレン先生は厳しい眼差しを株式市場に送り、その言葉できっとそう安々には通貨安を許さないでしょう。トランプの言いなりでは、それこそ、FRBが最も恐れる悪いインフレが暴発してしまいます。

「トランプ政権の経済政策は、私の判断では必要ない」

イエレンのこの言葉は、やはり軽視すべきではないでしょう。誰もあまり注目しないこの言葉ですが、当ブログに於いては最高レベルの情報です。だって、わざわざなぜこんなことを言うのって考えたときに、単にトランプが嫌いだからってことはないでしょう。世界最高の分析官が必要ないって言っている経済政策をこれからやろうと言うんです。それでどうして株価が安くなるんでしょうか。

私の予想ということではなくて、高くなるのは当然と考えるのは全く普通ということにならないでしょうか。

そんなわけで、ドル円に関しては、先日の112円ジャストくらいが底としていいところでは、ないかと私は思ってみているのですが、はたしてどうでしょうか。こちらは私の予想なので、外れる可能性も十分あるでしょう(笑)。