世界のマーケットが再び売りに晒されているようです。少し前まで、年末株高をみんなが想像し始めていたところだというのに。その理由は今回は明白で、アメリカ大統領選挙の不透明感が高まっているからだと言うことです。つい先日までクリントンが当選確実と言われていたのに、私用メール問題の捜査が再び再開されたとかで、支持率が急落。マーケットの嫌われ者のトランプ候補が現在はリードしているとも伝わっております。

私などは、中身の見えないメール問題なんかで支持率が逆転するなんてことがあるのだろうかと情報を懐疑的に見ておりますしが、選挙はやはり読みようがないので、トランプ大統領の誕生も想定しなきゃいけないだろうと思います。

私は以前からトランプ大統領になっても大した暴落なんかない! と予想しておりますが、当たるかはもちろん全く分かりませんが、今回は、その理由をもっともらしく示してみたいと思います。

再びNYダウに聞いてみる

イギリスのEU離脱選挙時

アメリカのことは当然ですが、アメリカに聞くのが一番です。株価はすべてを織り込んでいると言います。

今年の6月、世界の株式市場を揺るがす”はず”の歴史上の重大な出来事がありました。それはご存知の、イギリスのEU離脱選挙です。こちらに関しては一年以上も前から、マーケットの一大懸念として挙げられていて、まあ、しかし、イギリス国民は結局離脱なんて選択しないだろうと投資家は考えてきたわけです。

しかし、いざ選挙が近づくにつれても、残留派が特に増えることはなく、拮抗していると伝えられていました。そして、そんな不透明感の中、それを織り込んで暴落するはずのNY株は史上最高値圏をうろうろとしており、選挙が1週間に迫るという中でも、一向に下がる気配を見せませんでした。

当ブログでは、「これでは例え離脱という結果でもダウは下げないと宣言しているようなものではないか」とお伝えしてきました。そして、実際結果は離脱だったわけで、これがネガティブサプライズとなり一時的に急落したもものの、すぐに回復、その後に史上最高値を更新するということになりました。

このころは海外著名投資家を中心に暴落論が叫ばれていましたが、ダウの声から「そのようなことは起きそうにない、むしろ史上最高値を更新しそう」と予想してきました。そして、これが当たってしまったのです。

ここでなぜそれを書いたかというと、当ブログの成果を自慢したいという気持ちも、もちろんありますが(笑)、そんなことよりもその背景にあったことは何か、ということです。

なぜ、海外著名投資家達が一斉に声高に暴落論を叫んでいたのか、ということを考えてみたときに、単純に考えられることはやはり「ポジショントーク」だろうということです。彼らは事前に空売りを仕込み、知名度をいいことにEU離脱選挙後の人々の不安心理に付け込んで史上最高値圏のNYダウの売り崩しを狙ったのではないでしょうか。しかし、結果的に彼れらは失敗した。

この仮説はもちろん単なる私の推測です。しかし、ここから言えるのは、今の相場は不安心理では下がらないということです。NYダウだけではなく、世界の主要国の株価チャートをざっと眺めてみると、どこもかしこも下がらない相場になっているように思います。情けないほどに脆かった日経平均株価でさえ、最近は下落が非常に限られたものになってきています。これがいいことなのかは私にはわかりませんが・・。

 

過去2年の暴落の理由

今の相場は不安心理ではさがらないとすると、直近で下がった場面の理由は何だったというのでしょうか。ここ2年間の間で二度ほどそんな場面がありました。昨年の夏と今年の初めです。過去にもお伝えしてきたので詳細は省きますが、その理由はファンドの機械的な売りと言われております。

昨年の夏はVWワーゲンの不正に絡む欧州のファンド、そして年初は産油国のファンド。彼らは、大人の事情でどうしてもいったん売らなくてはならなかった、事前にその情報を掴んだ筋がそれにうまく乗じたそうです。

これが本当ならば、そのような需給上の特殊要因がなければ今の相場は下がりようがなくなっているということが考えられるかと思います。

 

今回

さて、これを踏まえて今回を見てみましょう。トランプが大統領になれば、世界中が大混乱に陥ると言われています。そして、それを織り込む株式市場は暴落すると・・。しかし、直近のNYダウの値動きはどうでしょう? ダウは4か月ぶりの安値なんだそうですが、史上最高値から700ドル程度、18,000ドルを少し割れた程度で、値動きだけで見るならば、単なる押し目です。

しかし、4か月ぶりという点に注目するならば、それなりのリスクオフ局面ともいえます。まとめますと、今は世界を揺るがすと言われているほどの悪材料でも史上最高値から5パーセント程度しか下げない相場だということです。どちらかが確実視されているならともかく、どう転ぶかわからないと言われている中で、株価がそれを織り込まないというのはあり得ない話です。ですから、トランプ大統領が誕生してもそこからさらに暴落を開始するというのは、普通に考えて想定しづらい、となるのです。

これはイギリスの選挙の時と非常に似ています。

しかし、前述したようにトランプが大統領になったら、機械的に売らなければならない巨大ファンドでもあれば別です。しかし、そんなのあるんでしょうか・・・。

 

そしてもう一つ

そして、私がトランプショックが大したことないだろうと考えている理由があります。それは、トランプという人物そのものへの評価です。私にはあの変なおじさんがそこまでマーケットに影響力を持つ人物には、どうしても見えないのです。「マーケットに影響力を持つ」、ということは非常に希少な能力の持ち主にしかできないことです。それ相応の実力とカリスマ性を備えている必要があるのです。

2745822

「口だけ」そう見透かした時、マーケットは容赦なくシカトします。例え大統領であろうと関係ありません。立場だけでは相場は動きません。そんなに甘くないと思います。

まあ、とはいえ、クリントンが勝つ可能性も十分あるわけでそうなれば、やはり年末株高へ向けて動き出すんではないでしょうか。そして、EU離脱時を参考にするなら、選挙の2、3日前くらいからリスクオフの買い戻しが出てくるような動きが予想できるわけですが、果たしてどうでしょうか。