北朝鮮の暴走が止まりませんね。先日も突然、夜中にミサイルをぶっぱなし、世界を驚かせました。技術的にも相当高まってきている様子で、隣国であり、敵国と名指しされるわれらが日本も気が気でなりません。果たして、いつミサイルが飛んできて、いつ戦争が始まるのか・・。
「米国と手をとり、断固とした対応を取る」
と強い非難を繰り返されても、まったく安心できません。何より、頼りの米国が北朝鮮に翻弄されているではないですか。
さて、前回少々非常識な見解を披露してしまった当ブログは、今回、妄想はいったん封印し、あくまで常識的にこの問題を考察してみたいと思いました。いい答えが出せるか、私自身楽しみにしているのですが。
4月からの流れを追う
まずは、この問題が大きくなり始めた今年4月からの流れをおさらいしてみたいと思います。ちょうどいい解説があったので、ご紹介です。
~ wedge infinithy ~
北朝鮮危機が突如高まり始めたのは、今年の春ころからだと認識しています。
「あらゆる選択肢を排除せず、北朝鮮に核開発を止めさせる」
こう息まくトランプ大統領は、空母カールビンソンを北朝鮮を攻撃できる位置に配備、戦争が始めるのではないか、という危機意識を世界中に呼び起こしました。これに関して、こちらの記事にはこう記述があります。
今年春の緊張状態はトランプ政権が作り出したものだった
米朝どちらが「尋常でなかったか」と言えば、それは明らかに米国である
この時の米国の反応は過剰だったと解説されています。これを常識的に捉えるとすると、こういうことでしょうか。
北朝鮮は危険な国であり、米国はいつでも戦うための用意があると、国際社会にアピールするための行動だったと。
では、5月になるとどうでしょう。この米国の姿勢に変化が出てきます。
ところがトランプ政権は5月に入ってから急に北朝鮮攻撃に消極的な姿勢を見せ始める
あらゆる手を使うと言っていたのに、やっぱり軍事的な行動は起こさない、というような発言を政府高官が行うようになっています。
これはどう考えたらいいのでしょう。私は最初頭を悩ませましたが、根拠になりそうな話を見つけました。それは中国との「100日猶予」と呼ばれるものです。これは、4月の米中首脳会談で、習近平さんがトランプさんと結んだとされる、約束です。
内容は、「中国は、北朝鮮への制裁で100日頑張るから、その間は米国は手を出さないでくれ」、というものです。
これなら、さっきの弱気の説明の理由が付きますね。アメリカは中国が何とかしてくれる、と信じて、様子見の約束を頑なに守っていたということになります。
更に進めましょう。そんな中、北朝鮮は7月4日に、ICBMと見られるミサイルを発射しました。これを受けて、トランプ大統領はこう言いました。
「中国は期待外れだ!」
その怒りは北朝鮮そのものよりも、100日猶予で何とかしてくれるはずだった中国に向かいました。そして、中国は北朝鮮を支援しているとして制裁を強化し始めています。7月29日、今度は夜中にICBMと見られるミサイルを再び発射しました。これでトランプさんは、
「中国には大変失望した!」と、相変わらず中国を責めています。
CIA長官の謎
さて、これ以外に北朝鮮絡みで気になったニュースがあります。それは、アメリカの諜報機関、CIAのポンペオ長官が、「秘密作戦を実行し、金正恩の排除に動くかもしれない」というような発言を一部マスコミに行っていたことです。
戦争したら大きな犠牲が出るから、秘密作戦で金正恩さんの排除をすると、なるほど、これは確かに合理的です。でも、あれ? 秘密作戦ですよね・・。なんでこれからやるかもって長官がテレビで言っちゃうんでしょうか? 彼は極度の目立ちたがり屋なんでしょうか。いやいや、そういう問題じゃなくて、甚だ非常識、普通なら大問題? でも、スルーされてますね。
これを今回のテーマの常識的に捉えるにはどうしたら、いいんでしょうか。ヤフーニュースのコメントなどを見ていると、「こんなことを言うからには、本当はやる気がないんだ」という意見が多かったようです。でも、本当はやる気がないことをテレビでわざわざ言う理由って何なんでしょうか? 「何もやっていないという批判をかわす為」、「CIAがいるから頼もしいと、国民に安心を与えるため」、私には、これくらいしか思い浮かびませんでした・・。他に何かありますでしょうか・・?
常識的まとめ
さて、今回の北朝鮮問題を今回のテーマに則って、常識的にまとめてみたいと思います。今回の一連の流れに対する一般的な見方は以下でしょうか。
①米国、トランプさんは、中国、習近平さんがもっとうまく、積極的にやってくれると思っていたのに、騙されたと怒っている。
②米国は、北朝鮮の核開発に対して成す術がない。
ここから考えると、アメリカの脅しにも屈せず、大胆にミサイルをぶっぱなす金正恩さんは、①と②を読み切っていた、ということになりますかね。中国は何もしないし、中国の協力がない、アメリカは何も出来ない、当然、軍事行動を起こす可能性はない、と踏んでいる、ということでしょうか。
これが本当なら、金正恩さんとはなんて、男前なんでしょう。あの若さで、たった一人で、あのアメリカを手玉に取っている。私のようなチキンには到底出来かねる偉業です。
さっきのwedgeの記事に戻ります。
「おそらく北朝鮮を非核化しようという試みに見込みはない」と公開の場で述べた。クラッパー氏は、北朝鮮が「(核兵器を)生き残りのチケット」だと考えているから
とありますね。この内容には誰も疑問を持たなかったと。まあ、確かにそうですね。止めろと言われて、止めるはずはありません。でも、どうも変ですね、リビアのカダフィみたいになりたくないから、核を開発すると金さんは言っていたはず。つまり、核開発の理由は米国が怖いからだと。
すると、そもそも②の米国は成す術はない、とは思っていないということになります。じゃあ、なぜ、実際あんなに大胆な行動に出られるのでしょうか。今にも欧米に捕まって殺されるかもしれないという恐怖に囚われているというのに・・?
さて、次にトランプさん側から考えてみましょう。トランプさんは、期待していたわけです。中国が賢明に北朝鮮を抑えてくれると。それに対し、こんな見解があります。
中国については、これまで習近平主席を持ち上げてきましたが、中国は北朝鮮の崩壊を恐れて本気で圧力を掛けないということはワシントンの外交筋でも常識でした。トランプ大統領は今更ながら気付いたのか、習主席にだまされたというような冷ややかな指摘も出ています
中国が本気で北朝鮮に圧力をかけないことは、常識だった。まあ、私ですらそう思いましたからね。でも、トランプさん、米国は本気で信じていた? これは本当なんでしょうか・・?
さて、長くなってきたので、そろそろ本当にまとめましょう。
今回の問題を今までの内容でまとめるには、以下の3つのうちのどれかの事実が必要です。
- 金正恩さんは、米国が何も出来ないことを読み切っており、余裕しゃくしゃくでミサイルを発射している
- 金さんは、米国は軍事行動を含め、あらゆる手を使ってくる可能性を持っていることを承知しているが、その場合、彼らと戦って散る覚悟が出来ている
- トランプさんと金さんは、そのどちらか、もしくは両方が、単なる馬鹿である
つまり、金さんは凄まじい能力を持った北朝鮮にとっての本物のヒーローか馬鹿か、このどちらかでないと、現状は成立しない、ということになりますね。
私は今回、この記事を書いて、この問題はやはり常識で捉えることは難しいと改めて思いました。なぜなら、私はこの1、2、3の一つも信じることが出来ないからです。
今回、何が言いたいかというと、もし、金委員長が合理的な人間だと仮定すると、今、普通に伝わってくるニュースは成立しない、という事実です。