8月7日、アメリカのトランプ政権は、中国の知的財産権侵害に対する制裁関税の第2弾を23日に発動すると発表しました。「選挙へのキャンペーンだ」などといらぬ知ったかぶりを披露していた経済アナリストの顔も、さすがに青くなってきたかもしれません。
とは言え、そんな情勢を受けてもNYダウは、連日上昇、いつでも史上最高値を伺える値位置にいます。日経平均株価の方も、騰がりこそしないものの、非常に底堅い動きで、株式市場はもう下がらない、そんなコンセンサスも形成されつつあるようです。
そんな中、当ブログは今年の2月以降、弱気に転換、「暴落もある」と書き、その方針を現在も貫いております。意地ではありません(笑)。今の空気からすれば、それはあまのじゃくと言えそうですが、ただ、私は2年前の夏、ほぼすべてのアナリストが「暴落する」と言う中、「暴騰する」と言っていた根っからの変態でもあるのです。
という訳で今回は、3カ月後に起こる、かもしれない弱気の虫、政治上の巨大なリスクのお話になります。
米国の対中姿勢の本質
冒頭でお伝えしました通り、アメリカの対中強硬姿勢が際立ってきました。連日ニュースを賑わしていますが、当ブログでは、トランプ政権発足直後に、「この政権は中国を倒すために作られた」、「トランプはそのために大統領に選ばれた」と豪語、米中対立の本質を暴いてきたつもりです。
もはや結果が出ていますので、その説は正しかったこととして、話を進めさせて頂きます。
「トランプ政権は中国を倒すために作られた」
「トランプはそのために大統領に選ばれた」
こう書きましたが、今日初めて当ブログを訪れた方には、きっとこんな疑問が浮かぶことと思います。
「いったい誰が?」
もちろん、一般の米国民ではありません。それは資本家だと明言しています。資本家って何? っと思った方は、検索などして頂くとして、当ブログ的には簡潔に、こう答えておきたいと思います。
資本主義において、最も力をもった勢力である、と。
故立川談志師匠は、こう言いました。
「病院は医者のためにある」
見事に本質をついた名言だと思います。何の話? つまりは、こういうことです。
資本主義社会は資本家のためにある
だから、私たちの社会の最高権力者は資本家である、と言うことは陰謀論などではなく、極めて当然のお話なのです。
例えばこんな事実はどうでしょう。
高嶋)アデルソンさんのように、イスラエルを応援する大金持ちというのはいっぱいいるのですか?
高橋)「いかにお金を儲けたか」ではなくて、「いかにイスラエルのために尽くしたか」というのがユダヤ人コミュニティでは勲章みたいなものなのですね。ですからイスラエルに行くと、この大学は誰が寄付したとか、有名なユダヤ系の方の寄付の場所が沢山あります。この方はイスラエルでは今のネタニヤフ首相の支援者として知られて、アメリカではトランプさんを支持していて、トランプさんの就任式かかった500万ドルは彼が持ったと言われています。
高嶋)途方もない大金持ちですね
~ ニッポン放送 ~
対する中国の習近平さんは、独裁者です。彼は資本家達に取って代わり、世界の支配者になることを目論んでいるとみられます。だから、資本家に尽くされたイスラエルに支援されたアメリカが、中国を本気で潰しにかかるのは、サルでもわかる単純明快な話、と言うことになるのです。
米国の対EU戦略
少し話が反れたようですが、ここまでの理解が重要になります。さて、本題のEUに焦点を当てましょう。「アメリカはEUを崩壊に導くつもりだ」と言う事実をご存知でしたでしょうか。こう書くと、またまた陰謀論臭いと言うことになりそうなのですが、こちらの記事を読んで頂くとそうではないことが分かります。
実は、そんな隠された米国の意図に沿った現実が着々と近づいて来ているのです。
米中貿易戦争がEUや日本を巻き込み拡大するなかで、英国のEU離脱(Brexit、ブレグジット)が世界のもう一つの巨大リスクになりかねない様相だ。
EUとの協調を重視する「ソフト離脱」にかじを切ったメイ首相の新方針に、「強硬離脱」派の閣僚が反旗を翻し相次いで辞任した。EUとの離脱交渉の残された期限は実質あと3ヵ月しかない。
メイ首相の国内での求心力低下が改めてあらわとなる中で、図らずも「交渉なし離脱」の可能性が高まる
~ ダイヤモンド・オンライン ~
さて、私がこの記事を読んだ時に非常に気になったのは、この部分。「図らずも交渉なし離脱」、本当に図らずも、なのだろうか・・と。
ご存知、2016年にEU離脱を問う国民投票があったわけですが、ここで敗れて失脚したキャメロンは、親中姿勢が鮮明だったのです。そして、勝った保守党、メイ首相はなんと! 親トランプでしたという・・。
メイ氏は「米国第一主義」を掲げ大統領選に勝利したトランプ氏を「米国に力強さ、偉大さとより大きな自信を与える」と称賛
~ 毎日新聞 ~
この辺りを勘案しますと、メイさんは、初めから交渉なし離脱を目論んでいるように見えてしょうがないのです。トランプさん自身も、「穏健離脱などせず、EUを訴えろ!」などとおっしゃっています。
米英の特別な関係
そして、彼らの演説に度々、「米英は特別な関係」と言う言葉が出てきます。これってどういう意味でしょう。少々、拡大解釈と言われそうですが、私は同じ系統の資本家が力を持っている国、と言う意味だと思っています。
現在の米国の対中姿勢、対EU姿勢から遡って見てみると、イギリスの離脱選挙ってなんか変ですよね、やっぱり。アメリカ大統領選と同じで、誰かの都合に沿うかのように話が出来過ぎているのです。
もし、メイ首相個人の計りではなかったとしても、「交渉なし離脱シナリオ」への何らかの大きな力が働いている様を感じ取ることが出来ないでしょうか? 普通はこんなことは起きないですよ。先程の記事にもこれは最悪シナリオだと書いてあります。なんでわざわざ最悪を選ぶんです? 理由はこれしか見当たりません。
EUを崩壊に導くため
これが図らずも偶然に起こりそう? 「そんな馬鹿な!」私もそう思います。しかし、現在世界に起こっていることは、常識では考えられない普通では考えられないことばかりである、と言うことも事実ではないでしょうか。
海外勢の史上最大の「売り」の理由?
そんな心配はあざ笑うかのように、株、特に米株は強いです。しかし、私は最近、こんな気がし始めています。今年の日本株に対する過去最大規模の売りのターゲットはここではないか、と・・。
世界情勢を敏感に表しているのは、実は日本株の方なのです。なぜなら、海外投資家の売買比率が高く、彼らの意向を最も綺麗に映している鏡だからです。NY株は、もはや半債権化しており、鈍感すぎて全く参考になりません。
過去を遡って見ますと、海外投資家が日本株に対し、このレベルの売りを出した年には、世間一般をも震撼させるような材料が出てきていることが多いのです。しかし、今年は「最大規模の売り」に見合った材料がいまだ見えません。
これはそもそも、そんな材料が存在しないのか、それとも、まだ出てきていないだけなのか、どう思いますか? そして、もしそれが、「合意なき離脱」だった場合は、どうなると思いますか?
2016年の選挙の後の様にはいかないでしょう。なぜなら、こんなアホゥな結末に備えている普通の投資家なんて、一人だっているはずないからです。
投資家は警戒を強めた方がいい、私は今まで繰り返してきて、そして自分でも一度は疑ったこの警告を再度発したいと思います。それが当ブログが「今、世界で何が起きているか」を全力で分析した結果なのです。