中国の習近平国家主席が、周辺国との関係強化に邁進しています。6月5~6日にロシアを訪れ、プーチンさんと会談。6月20日には、北朝鮮に出向き、金正恩さんと固い握手を交わしました。そして昨日、中国は、習さんが来年の春にも来日する可能性を示唆しました。
北朝鮮を公式訪問したのは、15年振りのことで、来日も実現すれば、9年振りのこととなります。
これらの一連の習さんの行動には大きな意味があると私は思います。
行動は雄弁である
『コリオレイナス』 ウィリアム・シェイクスピア
彼らも、とうとう、アメリカと戦うことを決意したのではないでしょうか。
目次
日本と北朝鮮とは仲が悪かった
「行動は雄弁である」、このシェイクスピアの明言は、実に多くのことを私たちに教えてくれます。習近平の北朝鮮への訪問は、15年振り、日本への訪問は(実現すれば)9年振り。この意味するところは、とても単純です。
習さんは、行きたくなかったから、行かなかったのです。行きたくてもいけない、ということもあるでしょうけど、10年間一度も行けなかったということはないですね。
気になる人を食事に誘って、「ごめん、その日は用事があって・・」と言われたら、2回くらいは本当かもしれませんけど、10年間一度も応じてくれない、と言うことであれば、どんな鈍感な人でもさすがに「嫌われているんだな」と気づかないといけません(笑)。
という訳で、習近平さんは、日本と北朝鮮が大嫌いだったことは疑いようのない事実なのです。彼らがいくら口で「自分たちの関係は良好だ」とアピールしようが、それは明らかな嘘なのです。
それがシェイクスピアの教えてくれることです。
なぜ習さんは心変わりしたのか
そして、もう一つ、なぜここに来て、習近平さんは、大嫌いだった北朝鮮と日本に歩み寄る気になったのか、です。先程の例え話に戻りますが、10年無視し続けた気になる人が、急に「食事に行こうよ」と連絡してきたら、「何か裏がある」と考えるのは、当然のことですよね?
嫌いだと思っていたけど、急に見直して、やっぱり好きになった、そんな可能性はゼロではないかもしれませんが、限りなく低いというのは、誰でも知っていますね。
では、なぜ彼は行動してきたのか、その答えは必要に迫られたから、以外に考えられないですよね。
アメリカが習近平を追い詰めた
中国が周辺国との関係改善を急がなければならなくなった理由は明白です。アメリカの対中国姿勢が、彼らを叩き潰すと言うレベルにまで強硬になっているからです。そして、中国側もそのことにやっと気が付いたのです。
ドラゴンボール作戦
フリーザを倒すためには、敵のベジータとも仲間になる、名付けてドラゴンボール作戦。過去記事で私はこのような例えを用いましたが、この通り、習さんは、敵である我々とも仲間になる必要に迫られたのです。
そして同時に、この行動からはこうも言えます。
ついに習近平はアメリカと戦う覚悟を決めたのだと。
弱いリーダーは存続できない
いや、習さんが本音でアメリカと戦いたいと思っているかは、分かりません。普通に考えるなら、そんなことしたくないんじゃないですか? いやでしょう、誰でも。でも、会社組織などに所属したことのある人なら分かると思うのですが、しかるべき時に毅然とした態度を取れないリーダーと言うのは、一切の信用を獲得することが出来ないですよね。
ですから、この場面で彼がアメリカに弱腰と言うのは、あり得ません。なにせ、相手は交渉に応じる気がないのが、明白ですから、戦う以外に道はないのです。
遅すぎた習近平
アメリカと戦うために周辺国を取り込む、これは実に合理的な作戦だと私は思いますが、しかし、いかんせん遅すぎたのではないか、という印象はぬぐえません。
なぜなら、この「ドラゴンボール作戦」アメリカは、数年先行して実行済みだと考えられるからです。
実際に、ピーター・ナバロ大統領補佐官が執筆、2015年に刊行された『米中もし戦わば』には、ロシアとの関係を改善すべきで、日本は最重要同盟国であり続けるべき、と書かれています。
更に注目すべきことは、北朝鮮の金正恩の命令系統は直ちに立ち切るべきだ、と書かれていることです。
まあ、私はすでにこれは、成功済みだと見ているわけですが、それは無理な話では?というのが、世間の常識であることも理解しています。
彼(金正恩)を排除し、容赦なくそして速やかに、彼を抹殺しなければならない。
『米中もし戦わば』 ピーター・ナバロ
しかし、実際に金正恩を抹殺したかどうかはともかくとして、金正恩の命令系統を断ち切ることに関して無理だ、と考える根拠は薄弱だと私は思います。そう思う人は、アメリカと言う国家の本質を見逃しているかもしれません。
アメリカと言う国家の本質
デビッド氏は絶大な経済力と国際的な人脈を武器に、米国政治に影響力を及ぼした。ジョン・F・ケネディ大統領(民主党)とは経済問題を話し合う間柄となり、1963年11月の同大統領暗殺を受け就任したリンドン・ジョンソン大統領(同)とは、政策について最も頻繁に意見を交わす銀行家になった。
ジョンソン政権の下で、米国はベトナム戦争に本格介入する。その背景にはロックフェラー家をはじめとする有力銀行家の支持があった。
BUSINESS JOURNAL
その事実が、この記事に如実に表れています。これは学校で教えてくれない紛いない歴史です。なぜ私たちのほとんどが、この重大な歴史を学ぶことが出来ないのか、その答えはこの一点に尽きます。彼らがそれを望まないから。
ベトナム戦争を主導した、「世界皇帝」と呼ばれたデビット・ロックフェラーは、もうこの世にいませんが、現在のトランプ政権を動かしているのは、彼と同じような巨大な銀行家、それはロックフェラーの更なる上位の存在だと見て間違いはないでしょう。
そもそも、ロックフェラーは彼らの支援を受け、石油王としてアメリカに君臨したのです。その華麗なる一族は、その昔、イギリスを動かし、イスラエルを建国しました。これも多くの人が知らない、知るのを望まれない正しい歴史なのです。
実際にトランプさんは、イスラエルとの関係を何より重要視していますね。
彼らはアメリカ、ではありませんし、その気になれば、米大統領も暗殺できる。金正恩の首をひねることなど、赤子の手をひねるも同然、は言い過ぎかもしれませんが・・。
ちなみに、アメリカが韓国を手放すような論調が目立ちますが、これも米国の軍事戦略上、全くあり得ない話です。これから一戦交えようと言う時に、なんで自分の駒を相手に差し出すんです? 文大統領が嫌いだから? 彼が本当にアメリカの言うことを聞かないのだったら、さっさと失脚させればいいし、もっと言うなら、殺してしまえばいいだけです。
日本や韓国の首相、大統領など、彼らにとっては、その程度の存在でしかないはずです。アメリカが韓国を中国側に渡す、この話には合理性が全くありません。
習近平は本当の敵を分かっているのか?
これらから言えること、中国、習近平が戦うべき本当の敵は、アメリカではなく、アメリカ、強いては世界を支配する巨大銀行家たちだ、と言うことです。果たして習近平さんはこのことに気が付いておられますでしょうか?