アメリカの財務省が、為替政策の監視リストに日本を指定した。と言うニュースが流れました。これには、正直私も驚きましたが、相場の動きを見ていると、却って合点が言ったような気もしました。お陰様で、日本のマーケットは想像以上に、酷い動きになってきてしまっています。

 

昨年のECBと日銀のなぜ

昨年末に、ECBと日銀が追加緩和を行った際に、内容がマーケットの期待に届かず、暴落に繋がってしまったことがありました。ECBの政策は、山本伸さんに、「納得がいかない」と言わせる物でしたし、日銀に至っては「補完措置」という訳の分からない物でした。

そもそも、ECBのドラギ総裁は、マーケットの期待が分からないような人物ではありませんし、黒田総裁も、とにかく躊躇なくぶっ放す人であることはご周知の通りなのです。この二人がそんな中途半端な行動しかできなかったと言うことに関して、当ブログでは、「アメリカへの配慮、もしくは圧力」の可能性があるのではないか、としてきました。

それが、今回このような内容が出てきたことによって、それは配慮と言う生易しいものではなく、強い圧力だった可能性が高いと考えられるのではないでしょうか。120円を超える円安の場面で、浜田内閣官房参与が、しきりに円安けん制をしていたことや、黒田総裁が、

「これ以上円安にはなりそうにない」

との発言で、円安株高を自ら止めた理由は、当時よく言われていた中小企業への配慮などでは決してなかったと言うことでしょう。

 

突如キレたアメリカ様

今回の記事をみて、正直そこまでの強い力が働いているとは予想外でした。なにせ、アメリカはアベノミクスに於いて、70円台から駆け上がってきたドル円に関して、そこまで強い牽制を行ったことは、一度もなかったからです。今回の記事を見る限り、その容認姿勢に大きな変化があることは間違いがないことでしょう。

 

きっかけは間違いなく利上げだと思うが・・

アメリカがドル高を容認しなくなった、その大きな理由は、利上げの開始であることは間違いがないと思います。しかし、どうにも個人的に臭いと思うのは・・、甘利大臣のスキャンダル事件です。誰の目にも嵌められたのは間違いないと映ると思いますが、私の妄想と笑い飛ばしていただいて構いませんが、彼はTPP交渉に於いて、フロマン通称を唸らせる「タフネゴシエーター」と言われていたようです。この辺りが、アメリカ様のどなた様かのご機嫌を大きく損ねた可能性・・まあ、妄想です(笑)。

 

ドイツのなぜ?

それに、リストにドイツが入っている様なんでですが、これはなぜなんでしょうか? ドイツはECBの緩和政策にはどちらかと言うと、反対の立場だったと思うのですが・・。まさか、毎度大揉めのEU離脱関連の問題で強硬な姿勢を貫くドイツは、結果的にユーロ安に誘導しているという風にも見えますが・・。そのことじゃないですよね? どうなんでしょう。昨年のVWの問題はアメリカが暴露したと言われてますから、まあ、ドイツに対してもいい感じを抱いていないのは、間違いなさそうですね。

 

ドル円はどこまで下がっちゃうのか?

これは、もう全然わかりませんね。105円までは円高になる、と言う声が多いようですが、これは当たりそうですね。さらにその先もと言われると、それもあるかもしれないと思います。逆に、こんなニュースが出たことで、反転に向かう可能性もあるかもしれませんが、いったんは、5月SQに向けて、やはり下落を探るべきでしょうか。

相場は秘密裏に政治圧力が入ると、まったく読みが効かなくなってしまうものではないでしょうか。色々な方の解説を見ていますが、今年に関しては、私が外しまくっているのはともかく(笑)、的確に当たっている方と言うのは、なかなかいません。かの山本伸先生でさえ、「誤算だった」という内容の記事が、昨年の末くらいから増えたように思います。今年は難しいと言う声もよく聞かれます。それは政治圧力が大きなゆがみを作って、自然な動きじゃなくなっちゃっていると言うことでしょう。

 

黒田総裁の渋面の理由? 緩和はもう出来ないのか?

今回の会合で日銀は、ゼロ回答となり、株価は暴落しました。投資家を惑わした例の「日銀関係者のお話し」ですが、これはヘッジファンドの陰謀と言う感じではないように思います。これにより不必要な買い戻しを迫られたのは、なにより彼ら自身ですし、マーケットは今回本気で日銀を、追加緩和を信じていたのではないでしょうか。

この様な動きになぜなるのでしょうか。売り方が死んだふりして攻撃タイミングを狙っていたのでしょうか。「日銀政策決定会合の結果がどう出ようとも売り予 定だった」と言うのは後講釈です。少なくとも筆者の取材した範囲では、売り方にそんな余裕はありませんでした。もし黒田総裁が、あんな今のマーケット事情 をまったく無視したゼロ回答をしなければ、彼らが窮地に立ったと思います。

~ 平野憲一の株のお話 ~

アナリストの平野憲一さんもこうおっしゃっています。

黒田総裁の渋面の理由は、ここにあるかもしれません。彼は、自分の政策で株価が上がったときは、本当にうれしそうな顔をするのです。政府、日銀は現在、追加緩和してくも出来ない状態にあるかもしれません。それがいつ解消されるか、されないのか、その答えはやはり伊勢志摩サミット前辺りに出るのではないでしょうか。

ヘッジファンドを含めた投資家は、アメリカ様の意向をただただ気にするしか今は手がない、と言う状態ではないでしょうか。