敗北宣言

先日、ドル円相場が105円台に突っ込みまして、当ブログでは予てから、115円くらいを底に、135円を目指すのではないかと予想してきましたので、今年に関しては完全に敗北を認めなければならない状況となりました。さて、早くも今年の反省会を開きまして(笑)、これから先、どのような動きになっていくのかを改めて考えてみたいと思いました。ぜひ、お付き合いください。

2016年の円高説は根拠薄弱?

コラム:円高説は根拠薄弱、来年ドル130円も=村田雅志氏

色々と見ていると、こんな記事を見つけました。ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田雅志さんの昨年末の予想なのですが、失礼ながら、この方は私と同じ過ちを犯しています(笑)。私も、村田さんと同じように、円高説には説得力がないようにずっと感じていました。

「こんなに円安が続いたのだから、そろそろ円高だろう」

そう言われている気がして、そして、そう言う専門家の方が多く、私は村田さんの言うように、自然と円安ドル高が続くはずだと思っていました。

また、「購買力平価が105円だから、そこに戻る」

こういう解説もありましたが、過去に例を見ない異次元の金融緩和をしているのだから、そんな過去の普通になんてなりっこない、などと思っていました。

 

そして、とうとう110円割れを見せられても、予想が当たっている方の解説を読んでも、全然納得できる理由が見つけらず、円高説は正に「根拠薄弱」と、だから、きっかけで急速に戻るだろうと思い続けてしまったのです。

しかし、つい先月末、

「アメリカの財務省が、為替政策の監視リストに日本を指定した」

このニュースを聞いた時、私は「アッ!」と声をあげんばかりでした。

 

円高の本当の理由

【連載コラム】それでも今年円安基調が続く理由

別の方の書いたコラムですが、この筆者の方も誤っているのですが、ここに今年の円高の理由を掴む重要なことが書かれていると言う気がします。

というのは、通貨の価値は政治力で決まると考えるからです。政治は相場変動要因の1つにすぎませんが、為替レートは貿易収支などの経済情勢よりも国家間の 力関係を最優先する側面があります。1995年に79円75銭まで円高が進み、その後の90年代後半には一転して円安方向に振れた値動きは、日米関係を象 徴するものです。米国が時の政権下で自国経済のために相場の方向性を思惑通りにするなど本来おかしいことですが、それが現実の日米関係なのです。

いかがでしょうか。為替レートは経済情勢より、国家間の力関係を最優先する側面があります、と書かれています。正にその通りと言う感じがします。以下、私の文で恐縮ですが、

世界のリーダーのアメリカがドル安を本当に求め始めたのだとしたら、投資家はそれについていかざるを得ず、これまでの円安トレンドは完全に終焉し、これか ら怒涛の円高がやって来るでしょう

日本株だけ下落は「アベノミクス相場」のいつものこと? ~米「利上げ」も日本株も結局ドル円次第~

はい、その通りになりました(笑)。

「アメリカが本格的にドル安志向へ転換した」これが、今年の円高の本当の理由であることに疑いの余地はないんじゃないでしょうか。

 

アメリカを軸に考えれば、全ては納得がいく

なぜ、日銀が史上初のマイナス金利を導入したのに、3日間しか持たず、早々に怒涛の円高がやってきたのでしょうか? 日銀限界説、「追加緩和は麻薬の様に効き目が無くなった」、なんておっしゃる方もいました。

これも私にはさっぱりわかりませんでしたが、アメリカのドル安圧力が始まったばかりの値位置だったことを鑑みれば、当然そうなっちゃうだろうと今なら思います。黒田バズーカでアメリカの核兵器に適うはずがありません(笑)。

すべてはやはり力関係です。そう考えると、アベノミクス初期の成功、円安もたまたま、アメリカがドル高政策を取ったところに運よく、はまっただけだったとも言えますね。アメリカはアベノミクスの開始以来、目立った円安牽制は行いませんでした。当時、90円以上は容認しないんじゃないか、いや100円だろう。そんなことが囁かれていましたが、120円までは素通りだったんですよね。なぜかは分かりません。裏はなく、単に景気が回復期だったからかもしれません。

そんなことはすっかり忘れてしまっていましたが、やはり、結局悲しいかな、日本独自の力でなんて所詮幻想なのですね。

外国人投資家が、年初から5兆円売った理由もこれではっきりしたんじゃないでしょうか。アベノミクスへの失望、これはおそらく的外れでしょう。アベノミクスが金融政策以外では全く期待外れであるこは、2年も前から分かっていたことです。それでも、彼らは昨年は大きく買ってきたのです。それが今更失望なんて、話がおかしいです。

それより、アメリカの方針転換で大幅な円高に振れることを察知して売って来た、と考えた方が自然ではないでしょうか。リスクオフの後、昨年の様に急激な戻りを見せない理由も、彼らががこれ以上円安にならないことを知っていたからでしょう。それは原油以上の理由だったとも考えられます。原油が主因だったら、もうある程度戻ってなければおかしいはずです。

 

反省を元に今後を占う

肝心の米当局者が「ハト派」寄りだとドル高・円安論は根底から崩れてしまいます。

先ほどのコラム筆者の方がこうおっしゃる通りに私も思ってきました。「FRBはドル安を求めていない」、それは今なお間違っていないんじゃないかと考えているのですが、FRB以上の力を持ったアメリカの政治がドル安を求めていることも、間違いないようです。

私はこのことに気が付くのが遅れ、いずれ急速に戻るだろうと思い続けてきました。しかし、この状況がはっきりした今、それは難しそうですね。日銀は、4月の緩和を止めて結果的にはよかったのではないでしょうか。この中で行ったとしても、マイナス金利の時の二の舞になった可能性は高かったと想像できます。

 

では、ここから更にどんどん円高になるのでしょうか。さすがにそうとも思えません。

「日本は為替政策について国際的約束を守っている」

ルー財務長官がこう発言し、その後に安倍首相が円高牽制発言を行っています。安倍首相が牽制発言を行った意味は大きいと思います。首相が自ら国際の面前で行ったということは、とりあえず許された可能性があるのではないでしょうか。これを根拠に、いったん105.5円で底を打ったのではないか、と一昨日こそっと一番下のFacebookページに書きました。なんとか当たってもらって、一矢報いたいです(笑)。

 

これから財政出動に関する政策が発表になり、追加緩和もあるかもしれません。しかし、何よりも先に重要なのは、アメリカに円安を容認してもらうことでしょう。そうすれば、115円くらいは戻るかもしれません。そして、更にその先となると、アメリカのドル高政策への回帰が必須条件かと思います。そのカギを握るのは、やはりインフレ動向ではないでしょうか。

ドル安政策が功を奏し、アメリカでインフレが加速する兆候が見えれば、アメリカは自然とドル高政策へ戻るはずです。もし、トランプが大統領だったとしても、そうするでしょう。そして、そんなドル高への転換期に於いて、日本株が急激に買われる動きが起きていたのは、何度かお伝えした通りです。

逆にインフレが全然起こらずに、再びデフレに向かってしまうと、ドル安政策は、より強く長引くことになると考えられるため、長期的には100円を割れて、80円台とかの可能性も出てきてしまいます。

私はインフレになると思います。皆さまはどうでしょうか?