三菱東京UFJ銀行が、国債市場でのプライマリーディーラー資格返上を検討していると言うニュースが日本経済新聞の1面を飾ったそうですね。プライマリーディーラー資格とは、

国債入札への積極的な参加など、国債管理政策上重要な責任を果たす一定の入札参加者に対し、国債発行当局が「国債市場特別参加者」として特別な資格を付与することにより、国債の安定的な消化の促進、国債市場の流動性の維持・向上等を図ることを目的としています

財務省

だそうです。財務省に意見を言える権利を持つ代わりに、一定以上の国債の入札に応じなければ、ならない義務を負うということのようです。

これを、三菱UFJ銀行が放棄したと言うことは、国債の固定的な買い手を一社失ったと言うことになります。そして、この「国債市場特別参加者」を有する機関は、現在22社と言うことですが、もし、これに追随するところが出て来るようだと、とうとう極限まで買われている国債市場にも異変が起きる、と言うことも想像されるようです。

あまりネガティブなことは書きたくないのですが、これはやはりどうにも気になるのです。

将来の国債暴落、そのきっかけは財政破綻ではない

日銀の異次元金融緩和には出口がなく、将来の国債の暴落は避けようがなく、異次元の円安が到来する、これを私に教えてくれたのは、経済評論家の朝倉慶さんです。私は金融に関して深い知識を持っているわけではないので、分からないことも多いのですが、しかし、感覚的にこのことを理解しているつもりです。

今のまま日銀が国債を購入し続けると、2018年にはすべての国債の半分も買い占めることになるそうです。そして、投資家は日銀がより高値で買ってくれることが分かっているため、恐ろしいほどの高値を更に買い付けているという構図です。

株式市場と比べると、これがどれだけ異常なことかわかります。「財政破綻するから、国債が暴落する」、学者の方は、こうおっしゃるようです。また、「財政破綻しないから国債は暴落しない」そうおっしゃる方もいます。消費増税の記事でも書きましたが、私は、多分”そのままであれば”、財政破綻はしないと思っています。

ですから、それは国債暴落のきっかけにはなりません。それが理由になるならば、既にそれは起こっているはずです。

そうではなく、

「日銀がそろそろ緩和を終了するのではないか」

そのトリガーははこれではないでしょうか。

永久に買い続けることは出来ないため、いずれその時は必ずやってきます。そして実際に日銀が「もう買うのを止める」と言ったら、どうなっちゃんうんでしょう・・? これは理屈じゃないです。今年の初めに、「産油国の売りが出る」という噂で、世界の株式市場が暴落しましたが、日銀が持っているそれは、産油国の持つ株式の比ではありません。

「財政破綻するから」と言う理論的理由ではなく、”市場の半分も持っていて、いつでも高値で買ってくれる投資家”が、「もう買うのを止める、これから売りを出す」と言う噂で、国債は暴落する、のではないでしょうか。

それは極めて相場的な理由であり、投資家にとっては当たり前のこと、と言う感覚だと私は思うのですが、そうでない人にとっては理解しにくいことなのでしょうか・・。

では、国債が暴落したらどうなるのか、それは所謂トリプル安、「円安」、「株安」、「債券安」がやって来るのですね。そして、その先の財政破綻です。つまり、財政が破綻するから国債が売られるのではなく、国債が売られるので、財政が破綻してしまうのです。原因と結果が逆になる、と言うことではないでしょうか。これは避けられない運命と言うかっこいいものではなく、単なる、規定、必然です。

異次元緩和を止める、と言ったら、円高になりそうですが、その逆で、その瞬間から猛烈な円安がやって来る、と言うことかもしれません。

「リーマン・ショック」から8年が経つが・・

直近で起きた世界的な大規模な金融ショックと言えば、誰もが知る「リーマン・ショック」ですが、あれからもう8年が経過します。そろそろ、次の金融ショックが起こる頃であり、それは世界各国の中央銀行の大規模な金融緩和に端を発したものではないか、とささやかれていたりします。それは、やっぱりアメリカ発? ダウは半値くらいになる、と語る著名な投資家の方もいるようです。

しかし、私はアメリカ発はないのではないか、そんな気がしています。イエレンのようなマーケットに対して丁寧で優しい対応をする人がリーダーである限り、きっと金融ショックは起きないと、

では、そのマーケットに対して、乱暴で傍若無人な対応をしているのは、どこの国でしょうか。それは、日本と中国です。程度の差こそあれ、マーケットに対する態度は基本的には似たようなものだと私は思っています。そして、中国は実際に、昨年夏に世界のマーケットをを揺るがしました。しかし、山本伸先生曰く、中国の金融システムは世界とは切り離されているため、根本的には世界的な金融システムショックには繋がらないということです。

では、日本はどうなんでしょう? もし、国債の大暴落から起きる日本初の金融ショックが起こったら、世界に波及して大きな混乱になる可能性は十分ではないでしょうか。日本は、世界3位の経済大国なのですからね・・。

それを防ぐ手立ては今のところ皆無で、これから先も見つかる可能性はかなり低いのではないでしょうか・・。

とは言え、その前にはやはりバブルか?

不穏なことを書いてしまいましたが、しかし、それはまだまだ先の未来のことと思われます。その前には、やはり朝倉慶さんや平野憲一さんの言う、異次元バブルがやって来るのだと私は思っています。一時の明るい時間をこれからの私たちは味わえるでしょうか。

そして今はまだ、しばらくは円高を心配しておけばいいのでしょうね。