ドル円は当面の高値を付けた雰囲気

昨日、下のFacebook ページに書いたのですが、ドル円が111円台半ばで当面の高値を付けてしまった感じですね。と言うのも、マーケットがサミット前にも、と期待していた「財政出動」や「衆参同時解散」が結局出てこず、発表されたのが、消費増税の延期のみという状況です。噂になっていた「財政出動」+「追加緩和」のセット技と言う手段が成功すれば、115円くらいは行くのではないかと思っていましたが、何もなければ、このくらいで終わってしまうのも、もっともと言ったところでしょうか。

さて、ここからの動きはどうなるのでしょうか。残念ながら、ドル円と日本株は当面は苦しい局面が続きそう、と判断せざるを得ないのではないでしょうか。なぜなら、ドル円と日本株が上がる理由を見出すことがとても難しくなってしまったからです。

アメリカの利上げに関して

これから数か月先の日本株にも強い影響がありそうなアメリカの利上げですが、この行方を占うことは非常に難しそうです。

米国は6月利上げでも、後が続かない

この記事の中の、FRBとアメリカ財務省の対立構造は、当ブログでも繰り返しお伝えてしてきたことです。

引き締め路線を模索するFRBの金融政策はドル高相場の調整を志向する米財務省の通貨政策に収斂されてくるのではないか。

筆者の唐澤さんが言うように、私もこれを理由にFRBはもう利上げをさせてもらえないのではないか、と考えてきました。しかし、先日のイエレン議長の講演内容は、これを肯定するにはすこし強い内容でした。

「今後数か月以内に利上げを行う可能性」

と言う言葉は、6月に利上げを実施するには弱く、まったくしないにしては、強い内容だと言えるでしょう。イエレン議長は、これまでマーケットに嘘をついたことはありません。やると言ったら、信念でやり遂げる、そんな人に私には見えます。

ですから、彼女の言葉には、利上げを実施できる公算があるのではないか、そんな風にも思えます。今は、必死に政治家を説得しているところなのかもしれません。それが出来るかは5分5分といったところではないでしょうか。

4月の声明でイエレン議長がFRBメンバーの利上げへの見解を打ち消したことがありましたが、これはイエレンの本心ではないだろうと書いてきました。以下の記事には、その証左とも言えるような内容があります。

コラム:米中のドル安・元安戦略、挫折か進化か=高島修氏

過去を振り返っても、両者(声明文と議事録)にここまで大きなギャップが生じることは稀であり、確かに市場参加者の驚きも理解できる。

裏を返せば、FRBは財務省の強い反対を押し切ってまで、利上げを実施したいと言うことになります。それだけ強く、バブルを恐れていると言うことでしょう。

FRBがきっと正しい

FRBと財務省のバトルですが、私は基本的にFRBの見立てが正しいと思っています。

「今の状態では金利は低すぎる」

「利上げは先回りで行わなければ、急激に引き上げざるを得なくなる」

イエレン先生のお言葉です。よく、利上げの開始は早すぎたと言う声を聞きますが、みんながそろそろだろう、と言いだしてからでは遅い、と先生はおっしゃっているわけです。この好悪例が日本のバブル崩壊です。利上げの失敗により、その後の経済がどん底まで落ち込んだと言われています。

それは、「世間が利上げをしてくれ」と迫ってからと言う、遅いにも程があるタイミングだったそうです。「土地が高すぎて、どうにもならないから、なんとかしてくれ」そんな世論にせかされての急激な利上げの末、バブルが崩壊。投資家でもない一般の人から言われてなんて、どんだけ遅いんだよってことですよね。日本に先生が言れば、バブルの崩壊はなかったことでしょう。

 

当面ドル円と日本株が上がる理由はなくなった

アメリカの利上げがFRBの思惑通りに実施できたとしても、ここからさらに円安になっていくと言うことはなさそうですね。財政出動はなくなったわけではなく、秋に先送りだそうですね。政策は期待された時、しかるべきタイミングで出てこないと、その効果が薄れてしまう物ではないでしょうか。マーケットを相手にしているなら尚更です。簡単に言うと、冷めてしまうんですよね。秋の実施時の効果にも不安になってしまいますね。

日銀が、単独で6月に動いたとしても、前回のマイナス金利の時と同じ様になってしまうのではないでしょうか。日銀だけで米財務省に勝てるはずないですからね。それにやるとすれば、政府と一緒に秋口になると言うのが、今は本筋なのでしょう。

とすると、ドル円と日本株がこれから上がっていく理由がほとんど見つけられません。米株が調整以上の暴落にになるイメージはありませんが、ドル安と言う要因が日本株にだけはつらく当たる状況が続きそうです。105.5円の安値を更新する動きがでてもおかしくないように感じます。

安倍首相が言っていないことになった、「リーマン・ショック前に似ている」と言うのは、日本株に限った自虐ネタだったのかもしませんね(笑)。