少し前のこととなりますが、7月4日に北朝鮮がICBMと見られるミサイルを発射しました。これを受けて、「とうとう北朝鮮はアメリカのレッドラインを超えた」、「ついに戦争が始まるのではないか」、危機を感じさせるニュースが次々に伝わってきました。

しかし今回、実際のアメリカの反応を見てみると、意外なほどさらっとした内容だった、ということが言えるのではないでしょうか。マティス国防長官は、今回のことで戦争が近づくということはない、と言っていましたし、トランプ大統領に至っては、

「日中韓はこれを許さないだろう」

などと、まるで当事者ではないかのようなコメントを出していて、NHKニュースウォッチ9の桑子さんは、「なんだか他人事みたいですねえ」と言っていました。

果たして米国の言う、「レッドライン」とは何だったのでしょうか? 今回がそれに当たらないのだとすると、それはいったいどこにあるというのでしょうか? そもそも本当に彼らは本気で北朝鮮と戦う気があるのでしょうか? そんなことを疑ってみてみると、今回、怖いほど意外な、常識外れの見解にたどり着いたのです。今回はそんなお話を書いてみたいと思います。

 

金正恩に米国を本気で怒らせることは出来ない

まず、最初にこのお話は多くの推論と個人的見解をを含むことをお断りしておきます。そして、それが世間一般的な常識とは大きくかけ離れたものであることも。しかし、私自身はこれをあくまで本当のところに迫りたい、という思いで書いており、単に面白おかしければいい、とは思っておりません。

さて、本題に入ります。今回、北朝鮮が突然のICBMと見られるミサイルを発射したことに関して、私が感じたある大きな違和感ですが、それは「金正恩さんは、随分大胆な行動に出たものだな」というものでした。私は元々、北朝鮮は米国を本気にさせるようなことは決して出来ない、という確信に似た感覚を持っていました。そして、それはある程度当たっていて、最近の度重なるミサイルの発射失敗はその兆候だと考えていました。

なぜ、北朝鮮は米国を本気で怒らせることが出来ないか、と言いますと、それは単純に金政権の破滅を意味するからです。ですから、そんなことをする覚悟が彼らにあるはずがない、と私は踏んでいた。「自分が彼ならば絶対にやらない」からです。これは私だけ?でしょうか。あなたが金さんならどうでしょうか。わざわざアメリカを相手に戦争をおっぱじめるリスクを負うでしょうか。いったい何のため?

少し考えてみると、彼らには米国相手に戦争を始める動機など、まったくないことが分かります。動機がないのに行動を起こす人間はいません。それは金さんも一緒です。では、日本のマスコミはなぜ、北朝鮮が戦争を仕掛けてくるような論調を展開しているのでしょうか。その方が雑誌が売れるから、という下世話な話は置いて於いて、「金正恩は狂人で、追い詰められたら何をするか分からない」というのが大きな理由になっているようですね。

まるでテロリストがテロを起こすかのように戦争を仕掛けると。しかし、彼ら特権階級は国民から富を吸い上げかなり贅沢な生活をしていると言いますし、そんな彼らが今の不自由ない生活、命を投げ出してわざわざテロを仕掛けるでしょうか? テロの大きな原因は貧困だと言われますが、彼は全然貧困ではありません(国家全体は貧困ですが)。

それに、ティラーソン国務長官は、「金正恩は狂人ではない」と、諜報機関の報告から、そう結論付けているようです。

では、北朝鮮がなぜ、国際社会に止めろと言われている核開発を進めているのか、という部分に関しては、これも彼ら自身がきちんと答えています。

「核を持たないとアメリカが何をするか分からないから」

つまり、アメリカが怖いので核を持ちますと言っています。これは、いい悪いではなく、私には極めて合理的な考えのように思えます。

しかし今回、そんな彼らは事実、ICBMと見られるミサイルを発射しました。これで米国が攻めてくるということならば、なんと不合理な行動を起こしたのでしょうか。彼らは、ミサイル発射一発のために、死を選んだ、ということになるのですから。

 

金正恩はアメリカンジョークを言わないはずだが・・

「アメリカは私たちからの独立記念日のプレゼントが気に入らないだろうが、今後退屈しないよう大小のプレゼントを頻繁に贈ってやろう」

これは、金正恩さんがミサイルの発射の次の日に語ったとされる言葉です。私が大いに違和感を感じた2番目がこれです。金正恩さんは、元々こんな人を小ばかにしたような皮肉めいたセリフを言うようなキャラでしたでしょうか? これは面白くもなんともない、まるでアメリカンジョークのようですが・・。

私が知っている金正恩の挑発の言葉は極めてストレートで、表情をイメージするならば、恫喝するような顔で、というような言葉ばかりだったはずです。

でも、今回はまるで高笑いしながら、というようなセリフに変わってしまっています。なぜ、彼は急にこの場面でイメチェンしてきたんでしょうか? このセリフは金さんより、むしろトランプさんが言いそうじゃないですか?

 

北朝鮮はミサイルを打っても大丈夫と知っていた?

さて、そんな大きな違和感を二つも抱えたため、私は色々と探ってみました。すると、こんな見解を見つけたのです。

北朝鮮の核はアメリカ公認? トランプが軍事行動に出ない真の理由=斎藤満

一般的な受け止めは、米国が北朝鮮に対して、これ以上核ミサイル開発を進めれば、米国が軍事行動も辞さない、との警告と受け止められていますが、北朝鮮はこれを全く意に介していません

これはトランプ政権にはそれだけの行動力がないと「足元を見られているため」との見方もありますが、米国が北朝鮮の核ミサイル開発に協力しているので、米国自身が軍事行動に出ることを咎め、北朝鮮は「米国が軍事行動に出ることはない」と承知しているからではないかと見られています

~ MONEY VOICE ~

どうでしょうか。ここに書いてあることは、一般的には馬鹿げている内容で、非常識なものだ、ということになるでしょう。しかし、当ブログがこれまでこの問題について書いてきたことと整合性があり、一気に注目したわけです。私が今回感じた大きな違和感も、これで難なく解決されてしまいます。

4月29日に北朝鮮がミサイルの発射を行い、結果失敗だったにも関わらず、東京メトロが列車を緊急停止させ、韓国のマスコミなどから、過剰反応だと批判を浴びたことがありました。また、日本政府がHPにミサイルが飛んで来た時の対処法を掲げるなどしたことを受けて、私はFacebookページに、「北朝鮮危機を煽っているのは、米国政府と日本政府で、メトロのお偉いさんはアレルギーがあるのか」などと、明らかな過剰反応への違和感を書かせて頂いたところ、読まれた方から反応がありました。同じように感じた方がいらっしゃったと解釈しています。

そして、次の日に安倍首相が憲法改正の草案を発表するという、なんともこれ見よがしな風体で、さらに驚いたというわけです。「なぜこのタイミングなんだ」と野党やマスコミは戸惑っていたそうですが、なぜってねえ・・。

 

北朝鮮危機は米国の対中国戦略の一部か

当ブログでは、トランプ政権の本質は、対ドイツ(EU)、その先の対中国軍事戦略である、と繰り返しお伝えしてきました。そして、疑惑、ということになっているロシアとの関係改善もそのための一貫した戦略であると。

北朝鮮危機は対中国戦略のための口実である可能性が十分考えられはしないでしょうか。北朝鮮危機はトランプ政権のフェイクニュースではないか、ということです。

「北朝鮮への制裁をきちんと行わないなら、米国は中国に厳しく接しざるを得ない」

これが今のトランプ政権の言い分です。しかし、米国が中国叩きを強める本当の理由がそれであるはずがありません。いつもの米国のやり方です。彼らは原因と結果を逆にするのです。責める(攻める)理由はいつも作られるのです。当然ですが、中国政府はこれに対し、大きな不満を表しています。

北朝鮮問題の「中国責任論」は大げさ、中国政府が異例の反論

  ~ ロイター ~

私は以前より記事にも書いていますが、北朝鮮とISが米国の脅威という考えには疑問を持ってきました。みんなが脅威だというから、そうなのかな、と思う程度です。私の今回伝えた話を信じてくれとは言いませんが、国際情勢の本当のところは、ニュースをただ見ているだけでは、ほとんど掴むことはできません。

日本のニュースでは、「トランプはただの下品な馬鹿なおやじ」という風にしか伝えられておりません。しかし、実際、トランプ政権は軍やゴールドマンサックスの出身者などで固められており、そんな生易しい政権ではないことは明らかです(私もトランプは品がないとは思いますが・・)。

また、ブレーンと言われるピーター・ナヴァロ国家通商会議委員長は、『米中もし戦わば』という本の中で、対中国戦略の重要性を語っています。トランプ政権の経済政策はその名を貸りた軍事戦略だと言ってもいいくらいです。

そんな非常識な政権の動向を探るには、時に非常識な考えも必要、ということがあるかもしれません。