株式市場が「米方」コロナウィルス、いや失礼「新型」コロナウィルスの世界的な蔓延で暴落していますね。とは言え、角度こそ急ですが、NYダウはまだ高値から10%も下がっておらず、ちょうどいい調整の範囲です。 今後、下落が続き、このまま奈落の底まで行ってしまうのでしょうか? それとも?
そんな中、これから「最後のバブル相場がやって来る」と予想する人もいます。それは吉田恒さん。彼は私が最も信頼できるアナリストと思っている方です。
吉田恒さんの予想とアナリストコンセンサス
2月6日付けのレポートでも書いたように、私は、2020年の米国株は1999年に似た展開になる可能性があると考えている。その1999年とは、2000年のITバブル破裂の前年、つまりITバブルの株高がクライマックスに向かった年だった。
ただそんな1999年は、新年スタート早々から株高となったわけではなかった。むしろ下落傾向が続いていたNYダウが安値を極め、勢いよく一段高に向かったのは2月中旬からだった(図表参照)。
続・1999年との類似と米ドル/円「未来シナリオ」 マネクリ
今のNY市場の状況は、ITバブル前と似ており、株式市場がとうとうクライマックスを迎える年になる可能性があるというのです。私は、初めて吉田さんの見方に触れた当初、それに対して否定的でした。なぜかというと、アナリストのコンセンサスが総強気だったからです。
高値の予測の平均は「2万5600円」、安値の予測の平均は
ダイヤモンド・ザイ
「2万1500円」! 値動きが激しい見通しなので機敏な売買を!
彼らが強気になると、本当にろくなことがないのです。以下は、私の感覚値でしかありませんが、直近でもこんな感じです。
2016年 アナリスト 総弱気 → 底打ち
2017年 アナリスト 弱気 → 大幅上昇
2018年 アナリスト 総強気 → 天井、暴落
2019年 アナリスト 弱気 → 上昇
2020年 アナリスト 強気 → 今
特に2018年が酷かったです。2017年末は私も来年の強気予想を掲げていました。経済も先行きは順風満帆、株式市場に死角はないように思われました。しかし、当時の記事にも書いていたのですが、その中の唯一の不安が、彼らが総強気ということだったのです。
ですが、最近のコロナ騒動で、彼らの強気は一掃されたように思いませんか? とすると、これはやはり上昇を見なければならなくなるのです。
海外勢はなぜ一度買い戻したのか
1カ月前に「新型コロナ」が騒がれ始めたときも、海外勢は売りを仕掛けてきましたが、日経平均で22,500円近辺で一度撤退し、大きく買い戻してきています。彼らは出来るならば、そのまま真っすぐ下に叩いて値幅を作った方が儲かったと思うんですが、わざわざ一度引き返したのは、一方向にはできなかったからだ、と考えた方が自然だと思うのです。
ドル円のなぜ
そして、もう一つの「なぜ」はドル円が長かったもみ合いゾーンを離れて一つ上のステージへ上がったことです。株式が追随しなかったため、「日本売りか?」なんて言われ、私も一瞬そうかと思いましたが、今はしっかり円高になっていますから、それは勘違いで間違いなさそうです。
では、なぜドル円は一段、階段を上ったのでしょうか。それはこうは、考えられないでしょうか? リスクオンを先取りした、と。株とドルは時間軸がずれているだけで、株式市場は今の調整を終えた後、ドル円に追随する可能性があるのではないでしょうか。
もし・・の後
そして、もし、吉田恒さんの予想が当たった場合、それは株式市場バブルのクライマックスになる、ということですね。
私は2018年以来、弱気に転換、2018年の日経平均、下値19,000円予想を運よく当てることが出来ました。その後も弱気を維持しておりましたが、それはイギリスの「合意なき離脱」を恐れたからでした。それはいったんなくなった、ということになっています。
しかし、それは偽りの可能性があります。ジョンソン首相は、「EUとの交渉を打ち切る」とさえ言っており、そのことはこれからも相場の最大のリスクであり続けるでしょう。
英国と欧州連合(EU)による将来の貿易関係を巡る攻防が3日に始まる。通商協定で合意できないまま11カ月間の移行期間が年末に終了すれば経済的な打撃を受けることになる。
ジョンソン英首相は3日のロンドンでの演説で、EUとの通商交渉について、自らが望む内容を得られなければ交渉を打ち切る用意があると表明する予定だ。
ブルームバーグ
この問題は、経済の減速のみならず、金融ショックを引き起こす可能性があります。それは投資家にとって、経済の減速よりはるかに怖いもののはずです。期限は年末です。 投資家は決してこれを忘れてはならないでしょう。 その時、私は再び弱気に転換している気がしております。