皆さん、Qアノンを知っていますよね? アメリカで一大センセーションとなっている、陰謀論とその支持者たちのことです。

日本人はこう言う話が、とっても嫌いでほとんど禁忌状態です。彼らに言わせると、その支持者たちは「教育レベルの低い人たち」なんだそうです。

私はその見方は誤っていると思います。そして、これらに対し「触らぬ神に祟りなし」的な態度を取ることは、非常に勿体ないと思っています。

「Qアノン」とは何か

では、Qアノンの本質とはいったい何なのでしょうか。当ブログの読者様であれば、これほど分かり安い話はないのですが、それは当ブログ通称「保守的なグループ」のプロパガンダです。

「保守的なグループ」とは何かということに関しては、もう何度も書いたのでは、ここでは割愛します。

しかし実際、その宣伝効果は非常に高く、それは一つのアメリカの政治勢力として育っているようです。

その存在感はすでに政界にまで広がっている。

8月にジョージア州で行われた共和党の下院予備選で、「Qアノン」を信奉するマージョリー・テイラー・グリーン氏が共和党の主流派に勝利し、当選した。

「Qアノン」とは何なのか? トランプ支持の陰謀論者が勢力を拡大、大統領選にも影響か HUFFPOST

なぜ支持されるのか

Qアノンはなぜそこまで支持を集めるのでしょうか。「賢い人」によると、それは頭の悪いの人々のなせる業なんだそうですが、しかし実際、事はそう単純ではありません。

私の考えるQアノンが支持される本当の理由は、「本当のことを言っているから」だと思います。え? さっきプロパガンダだって言ったんじゃん! まあ、待ってください。

人を騙すのに最も必要な要素はなにかというと、それは「信用」です。それを得るために何が一番手っ取り早いかと言ったら、「真実」を示すことです。

嘘だけでは人は騙せないのです。

一人や二人くらいは、騙せるかもしれませんよ。しかし、選挙で勝てるレベルの数の支持を、嘘八百で獲得できるわけがありません。

ですが一から九まで本当のことを言い、十で嘘をつく、これで十中八九、人は騙せます。例えどんなに賢い人でも、いちころです。なぜなら、油断するからです。良い子は試してはいけませんよ(笑)。

Qアノンがやっているのは、正にそれなのです。

「アメリカは『ディープ・ステート(闇の政府)』によって長年支配されている」

「バラク・オバマ元大統領やヒラリー・クリントン氏などの民主党系政治家、エリート層が小児性愛者向けの人身売買に関与している。トランプ大統領は、政府、企業、メディアを使って彼らとひそかに闘っている救世主である」

これらはQアノンの代表的な主張のようですが、まず「ディープ・ステート」は、その存在が一部の権威において実際に認められています。

ディープステートについてはこれまで、「いかがわしい陰謀論の産物で、実際には存在しない」という見方をされてきた。ところが最近、米国の権威ある新聞ニューヨーク・タイムズがディープステートの存在をほとんど認める記事を掲載し、話題となっている。記事は10月23日付で、『トランプの「ディープステート」に対する戦争は不利な状況』というタイトル。ピーター・ベーカー記者ら5人の共同執筆となっている。

米国、ディープステートとメディアが結託し戦争誘発…NYタイムズが認めて波紋 BUISNESS Journal

さらに小児性愛に関しても、こんな事件が実際にありましたね。

エプスタインの誕生日には、フランスから3人の12歳の少女が彼の下に連れ込まれ、猥褻な行為をされた後、ヨーロッパに帰国した。アメリカ領ヴァージン諸島の検察によって提起された訴訟によると、エプスタインは11歳の少女を人身売買していた。

交友関係にイギリス王室のアンドルー王子など著名人が多数存在し、エプスタイン逮捕後には、彼らにも疑念の目が向けられている。ビル・クリントンやドナルド・トランプとも親交を持っていたほか、クリントンは自家用機で若い女性とともに何度もエプスタインの別荘に出入りしている。

(中略)

エプスタインはビル・クリントン、ジョージ・ステファノプロス、ドナルド・トランプ、ケイティ・クーリック、ウディ・アレン、ハーヴェイ・ワインスタインなどの著名人とパーティーで同席した。彼が交流関係を持つ者にはルパート・マードック、マイケル・ブルームバーグ、リチャード・ブランソン、マイケル・ジャクソン、アレック・ボールドウィン、ケネディ家、ロックフェラー家、ロスチャイルド家、イスラエル首相エフード・バラック、イギリス首相トニー・ブレア、サウジアラビアの王太子ムハンマド・ビン・サルマーンが含まれていた。

「ジェフリー・エプスタイン」 ウィキペディア

これらの事実は私にとっては十分証拠なのですが、「常識人」たちは、彼らのような人たちの弁護人を引き受けるのが得意なので、それでも認めないかもしれません。

つまり、Qアノンの主張のうち、これらは本当の可能性が高いという訳です。だからこそ、「Q」は熱狂的な支持を集めているのです。これがその本当の理由です。

さて、ではそれらの「真実」を元手に、Qアノンが大衆についた「嘘」とは、いったいなんでしょうか。

トランプ大統領は、政府、企業、メディアを使って彼らとひそかに闘っている救世主である」

彼らの「真実の暴露」は、最後にこれを信じさせるためだったのです。

トランプは救世主ではない

サンダース上院議員は、「トランプ大統領は憲法を無視し、民間人を爆撃する野蛮な独裁政権サウジアラビアを支援する考えだ」と非難しました。

サンダース氏はツイッターに、「トランプ大統領は米国を戦争から遠ざけたいと発言したが、これは嘘だ」と書き込みました。

さらに、「イエメン空爆を行なうサウジへの違法な支援を終了させるために超党派法案を可決した。だが、トランプ大統領はこの法案の承認を拒否した」と記しました。

また、「西アジアで平和に貢献するということは、現在イスラエルに存在する、人種差別主義の過激な政府を支援しなければならないという意味ではない」とし、「ガザで起こっていることを見るがいい。人々はそこを離れることさえできない」と続けています。

サンダース上院議員が、トランプ氏によるサウジ支持を強く批判 ParsToday

「ガザを見ればいい」

サンダース議員のこの言葉の通り、トランプが正義の使者でないことは、十分明るみに晒されています。彼を取り巻く勢力は、世界最悪の暴力的な政治グループです。それらを当ブログでは「保守的なグループ」と呼んでいるのです。

しかし「Q」の熱狂的な信者となった人々には、それらは決して見えなくなるのです。それはまさにカルトで、そこには「真実の暴露」によって信用させる典型的な手法が用いられていました。

この手法を用いて大きな支持を得たカルト教団が、日本にも嘗て存在しました。

こうしたとき、筆者がどうしても想起せざるを得ないのが「オウム真理教」の不安を煽る情宣と、反撃の救世行為として自陣営の暴力も正当化される「論理」ならざる「暴理」です。

オウム真理教に酷似してきた米共和党支持組織 JBPress

オウムとQアノンは似ている、私もそう思います。つまり、彼らは「本当のこと」を言って信者を集めたのだ、ということです。

選挙に敗れるとオウム真理教団は「選挙戦敗北は国家の陰謀だ」「宗教弾圧だ」などといった被害者意識を信徒たちに煽り始めます。

 やがて、富士山総本部など教団施設が「国家」あるいは「アメリカ」からVXガスやサリン、ボツリヌス菌で攻撃を受けているなどと主張して、被害者感を増幅させます。

さて、彼らの撒いた「餌」、真実とはいったい何だったのでしょうか? 真実を暴露されては困る勢力が彼らを潰した、と私は見ているのですけどね。オウムはよくテレビに出ていましたからね。「公安がやったんだ」・・コウアン・・実はコウアノンだったりして・・

もちろん、オウムが正義だったなんて、頭のおかしいことを言っている訳ではないですよ。ただカルトだからって、その主張の全てが「嘘」だと考えるのは、もったいないと言っているのです。

それはQアノンと同じです。

だから、それへの私たちの正しい接し方は、「本当の情報」だけを抜き取り、決して心は渡さない、になるでしょう。

そうすれば彼らは与え損、私たちの勝ちです。

余談 もう一つのカルト手法

最後に余談として、もう一つの典型的カルト手法をご紹介しましょう。先程、嘘八百では人は騙せないと書きましたが、それでも成功する方法があります。それは恐怖を利用することです。

人は恐怖に陥った時、誰かにすがるために判断力を失い、一から十まで嘘であっても信じてしまうことがあります。つい最近、実際にその手法を用いた人が身近にいたんですね。

ありもしないことを言って、相手を脅す。強迫の構図で相手の心を奪ってコントロールする。それはいわゆるカルト宗教の手法と同じだ。

(中略)

「ロックダウン」発言をした小池都知事は、統治者というよりも、むしろ、数多あるカルト系新興宗教の教祖様に近い。

なぜ都知事はできない「ロックダウン」を口にしたか JBPRESS

大丈夫だったでしょうか?