私はこれまで経済学を真面目に勉強したことは一度もありません。しかし、それでも一度は聞いたことのある「マルクス経済学」をちらりと覗いてみたとき、こう思いました。
これ、あってるよね?
マルクス経済学を覗く
まず、私と同じで経済学なんて知らないと言う方のために、最適な記事を見つけたので、ご紹介しましょう。
経済思想とは、経済現象や経済行為の背景にある考え方のことだ。政治思想と裏腹の関係にある。大きな柱は、18世紀後半から100年続いた古典派経済学を経て誕生した新古典派経済学、マルクス経済学、ケインズ経済学のたった3本だ(図参照)。
5分でわかる!経済学三大思想「新古典派、ケインズ、マルクス」の流れ ダイヤモンド・オンライン
マルクス先生の胡散臭いルックスはともかくとして、彼の主張って、今見ても全然おかしくないですよね。むしろ、資本主義の本質をついているように私には思えます。
マルクス主義の本当
しかし、この「マルクス主義」特に私たちおっさん世代のイメージは悪いですよね。極端な話、悪の理論という感覚さえあると思います。
広義には共産主義や社会主義全体への反対だが、狭義には共産主義内部を含めた特にマルクス主義やレーニン主義(マルクス・レーニン主義)や共産党などへの反対を指す。反動や保守主義はフランス革命から見られたが、反共産主義の組織的な発達は共産主義の台頭の反動によるもので、特に1917年にロシアで共産主義者のボリシェヴィキが権力を奪取した十月革命以降である。
「反共主義」 ウィキペディア
それは独裁政権、特に人類史上最大の失敗の歴史となっている「共産主義」の思想の礎となっているからですね。
でも、実は違うみたいですよ。
また、カール・マルクス自身もフランス労働党に対して「私はマルクス主義者ではない」とのべたことがある。
「マルクス主義批判」 ウィキペディア
なんたって、マルクスさん本人が、「私はマルクス主義者じゃない」と言っています。
マルクスの『資本論』はあくまでも資本主義社会の分析を行っているに過ぎず、共産主義社会の分析を行っているわけではない。共産主義が資本主義よりも優れているという考察や証明は行われていない。
ほらね、毎度のことですけど、話がおかしくなってきました。常連の当ブログ読者の方は、もしかすると、もうピンと来ているかもしれません。
冷戦ってそのために起こされたんじゃね?
マルクス経済学を没落させるために、です。彼らは三大経済学を二大経済学にする必要があったのです。
共産主義の扇動者たち
米ソ冷戦の結果ソ連が崩壊、社会主義それは人類史上最大の失敗で、資本主義が人類の理想のシステムであるというということを、歴史上の一事件の中で私たちはまざまざと見せつけれられました。
おまけに核戦争の手前まで行ったことにより、共産主義を潰さなければ、人類が滅びてしまうという恐怖心からくる正義さえ熟成されました。
共産主義はこの時、「悪の思想」になったのです。
しかし、もう少し深く見てみれば、共産主義を作り上げたのは、資本主義の支配勢力だという事実を知ることが出来ます。つまり、米ソ冷戦はヤラセだったのではないかという訳です。
ブッシュ政権内で力を持っていたネオコンであるが、その元祖的存在であるアーヴィング・クリストルらは、かつてニューヨークでトロツキストとして活動していた。トロツキーはロシア革命に参加する前はニューヨークに滞在しており、ソ連の初代の外務大臣になって国際共産主義運動を指揮し、中国などへの共産主義革命の拡大を図った。トロツキーらはニューヨークの資本家から支援され、国家資本主義の効率をさらに上げるための世界革命を起こそうとした疑いがある。
『田中宇の国際ニュース解説』
それにしても、なぜ彼ら資本主義の支配者たちは、こんな面倒なことをわざわざしなければならなかったのでしょうか? ネットではよくこう説明されます。
「お金儲け」つまり商売のためです、と。
しかし、私はその見方はしっくりきません。だって、どう見てもコストの方が高いよね? それにこのレベルの方々にとっては、もはや商売なんてどうでもいいのでは? と思います。なぜなら彼らは強盗団であって、お金を作る権利すら持っているのですから。
軍産は支配勢力ではなく、単なる提灯持ちですね。
では彼らが、なぜわざわざ大赤字のワールドプロレス大興行をやる羽目になったのか、その本当の動機はというとズバリ、
私たちが怖かったからではなでしょうか。
何を隠そう、彼らの最大の敵は他でもない我々なのです。
歴史は繰り返す
マルクス経済学といえば、社会主義体制の樹立を目指す労働者階級の革命を導いた経済思想だが、社会主義思想それ自体はマルクス経済学が登場する前からすでに欧州では広がっていた。貧富の格差が拡大し、貧困や過酷な工場労働にあえぐ人が増えていたからだ。
カール・マルクスは、古典派の労働価値説を継承しつつ、古典派を批判的に検討し、資本主義の運動法則を解明したと主張した。いわく、資本主義市場経済は放っておくと不安定になり、やがて崩壊するという。
資本家が、労働者が賃金以上に働くことで生み出した剰余価値を生産手段に投資していくと、傾向的に利潤率が低下するという利潤率低下法則がその根拠だ。
現代社会とは距離があるが、19世紀は各国で恐慌が繰り返されていただけに、古典派や新古典派よりもリアリティがあったのかもしれない。経済学としては、欧州や日本でかなり普及することになる
5分でわかる!経済学三大思想「新古典派、ケインズ、マルクス」の流れ ダイヤモンド・オンライン
19世紀、資本主義の弊害により格差が拡大、民はその体制に疑問を持ち始めていたと言います。そんな彼らの理論的主柱が、マルクス経済学だったのです。
彼らが最も恐れているのは、民衆の団結と蜂起です。資本主義の支配者達は、それを断つ必要に迫られたのではないでしょうか。民が一つになって彼らに牙をむく時、それが破滅の時であると彼らは誰よりも知っています。
20世紀に入って世界的に広がりつつあった民衆による本物の社会運動を潰すため、彼らは米ソ冷戦と言う壮大な茶番劇をやらざる得なかったのではないでしょうか。
そして、その結果は・・・大成功!
彼らは、民主運動を暴力的に弾圧する確実な口実を手にしたのです。
なぜなら、それは悪魔の運動になったからです。
米ソ冷戦は民主運動を破壊するための、世界的なプロパガンダだったと言うのが私の結論です。彼らはそれを実行する時に大義名分を用意する必要は無くなり、替わりに一言こう言えばよくなりました。
「アカだ」
ロンドンのハイゲイト墓地にある経済学者カール・マルクスの墓碑に、「憎悪の教え」「集団虐殺の立案者」などと赤いペンキで落書きされているのが2月16日に見つかった。この墓碑が荒らされるのは、今月2度目。墓地のツイッターが落書きされた画像を、Twitterで公開した。
マルクスのお墓が荒らされる 「憎悪の教え」と赤ペンキで落書き HUFFPOST
私はつい最近まで「社会主義はヤバイ」と盲目的に信じていましたし、特に私と同性代から上の方は、今でもそう思っている人が大多数のはずです。
しかし、時代はいつまでも彼らの嘘を隠しませんでした。
私は米国のサンダース旋風を見たとき、それは本物だと思いました。
――2016年の米大統領選挙に向けた民主党予備選では、「民主社会主義者」を自称するバーニー・サンダース候補が若年層を中心に事前予想以上の支持を集めました。
「若年層の多くは旧ソ連崩壊後の生まれで、そのショックを知りません。むしろ、トマ・ピケティ氏による格差拡大の指摘や、サブプライム危機での銀行救済への抗議行動に共感する傾向を示しています。欧州では、緊縮財政に対する不満も増しています」
――マルクス経済学は現代経済の課題に対して有効な処方箋を示せるでしょうか。
「(現在の主流派である)新古典派経済学の枠組みだけでは、現代経済の複雑な『多重危機』を解明するには狭すぎます。資本主義・市場経済を自然な秩序とみる発想が、(実態解明の)妨げとなるからです。マルクス経済学による大きな『人類的観点』に立った考察と、これからの社会への多様な展望が求められており、世界でも日本でもマルクス経済学への関心が高まりつつあります」
行き詰まる資本主義救う? マルクス、生誕200年で脚光 NIKKEI STYLE
一度は資本家らに消されたその火が、今よみがえろうとしています。資本主義の最大の負である「格差の拡大」に再び脚光が当たり、新しい政治ムーブメントが世界的に広がっています。
当然ながら、支配者たちにとってこれは脅威ですが、彼らはここ80年余りで目に見えて衰えており、世界的な茶番劇を再び私たちに披露する余力がないばかりか、その不満の受け皿となる偽の政治運動さえ、まともに作ることが出来ていません。
彼らのシナリオを演じる役者(政治家)の質は、目も当てられないほど劣化し、例えばトランプやバイデンはその役割を全く果たせないばかりか、リング場で本気の喧嘩を始めた上、台本の暴露をやり出しています。
その隙をつく形で、本物の民主社会運動が大きな力を持ちつつあります。支配層お得意の分割統治は、まったく機能しておりません。私たちはメディアが宣伝している二極化をしておらず、三極化もしくはそれ以上となっていますので、これは彼らの大失敗をそのまま表すでしょう。
さて、今回は長くなるので、続きを次回に書きます。二つに分けます。次回は未来の話にします。予告はこれ。
「利己的な遺伝子」などのメタファーがもたらした行き過ぎた競争社会
人間は何を取り戻せばよいのか
生物や進化を考えずに、政治や経済は語れない
なぜなら社会は人間から成り、人間は生物として進化の歴史の上にあるのだから・・・・そして「共感」にも長い進化の歴史と言う裏付けがある
今時、強欲は流行らない。世は共感の時代を迎えたのだ。
『共感の時代へ』 フランス・ドゥ・ヴァール