日本にとって、先の大戦とはいったい何だったのでしょうか、と問われたのなら、それは巷で言われるような帝国主義日本の悪魔の所業でも、アジアを開放するための聖戦でもなく、初めから負けの決まっていた、いや、決められていた、つまりは「仕組まれた敗北」に進んだだけだったと言うのが現実ですと答えます。

そして、今、日本は当時と瓜二つの状況に置かれています。

いつか見た光景

下の記事で、日本が「仕組まれた破滅」に突き進んだ大きな流れを掴むことが出来ると思います。

しかしこのとき昭和天皇は武力行使を認めず、ゆえに大本営も許可していなかった。なのに勝手に動いたわけだ。このように関東軍をはじめ海外の大陸や半島に駐屯する日本陸軍は暴走する傾向が強く、これが結果として日本を破滅に追い込む一因となる。

日本人が「あまりに無謀な戦争」を仕掛けた真因 歴史のターニングポイントは「ノモンハン事件」 東洋経済オンライン

恐らく当ブログ読者様には、イメージしやすいのではないかと思いますが、もちろんそれに抵抗した人もいたのですが、その一人が、昭和天皇だったのですね。

当然、ですよね。日本の支配者は、それが破滅に繋がることを知っていました。しかし、天皇は絶対的な存在ではなく、弱い支配者だった。だからこそ、世界史上唯一、最古の皇帝として存続できたのではないか、と思います。それは置いておいて、対して、破滅を後押ししたのは誰かと言うと・・

こうして始まった満州事変だが、若槻礼次郎内閣は不拡大方針を公表した。

ところが関東軍はこれを無視して行動を拡大、朝鮮に駐留していた林銑十郎率いる朝鮮(駐箚)軍も勝手に越境して関東軍の支援を始めた。すると軍中央も関東軍の行動を追認。事態を収拾できないと考えた若槻内閣は総辞職した。

一方、不況に苦しむ国民の多くは、関東軍の行動を熱狂的に支持した。

ああ・・変わらんなあ。

これ、現在とクリソツじゃないですか? 政府が戦争に反対し、国民が支持する。表向きはそうはなっていないし、もちろん国民はそうは思っていないでしょう。敵が、ありのままの姿を見せてくれるはずがないですからね。ただ、現実的にそう言う構図です。

石油が止まって戦争に

米国の対日石油禁輸が、太平洋戦争のきっかけとなったことは広く知られていますが、ようは、この時の「米」が「中露」に変わっただけなんですね。

タス通信によると、ロシアのノワク副首相(エネルギー担当)は6日、日本が参画する極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業から日本に石油を輸出するかどうかについて「検討しなければならな…

ロシア、石油の対日輸出明言せず 日本経済新聞

このクリソツ具合は、十分にイメージ出来たでしょう?

対抗する政府と従属する国民

確かに、「価値の体系」において、日本は過剰とも言えるくらいアメリカと同一歩調をとっているが、「利益の体系」になると様子が変わってくる。

たとえば、ロシアのウクライナ侵攻後も、G7の中で唯一、ロシア航空機による自国領空の航行を認めているのが日本だ。それによって日本がシベリア経由でヨーロッパへ至る最短航路を確保できている。

さらに、ロシア・サハリン沖の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン1」「サハリン2」の枠組みに日本は留まる姿勢を崩していない。

もう一点、金額ベースでは小さいが、ロシア側に入漁料を払ってサケ・マス漁を行う枠組みも残している。このように利益の体系においては、必ずしもアメリカや他のG7諸国に同調しているとは言えない。

佐藤優「ロシアから発信される情報をまじめに分析しない日本のメディアが見落としていること」 PRESIDENT ONLINE

「価値と利益の体系」とか難しい表現で書いてありますけど、ようは日本政府は、本当は嫌いな上司におべっかだけは使ってます、ということです。

なぜか、これを分からない人が、とっても多いですね。みんなも毎日、そればっかりで疲れてるんじゃないの? 日本の政治家たちは、より忠実だと信じているんですかね?

安倍晋三さんはこの「サハリン」辺りでの反抗が理由で、粛清されちゃったと私は見てるんですが、彼は岸田さんに比べると、顔に出ちゃう。演技が下手くそでした。

岸田氏は、最適任の首相だと私は思っています。

敵は内にあり

そして日本の未来にとって、大きな問題になっているのが、あい変わらずのクソ国民どもなのです。

当時、戦争や事変のたびに部数を伸ばした新聞各紙、知識人、世論も「価値」の体系を肥大させていた。その結果、日本は壊滅的な敗北を喫した。

ちょっと言葉が悪すぎましたかね。私もクソ国民一味だからいいか。

一つだけ、本書ではまったくふれられていないことを付け加えておきます。 こうして世界情勢が急展開しているとき、日本の国民はどうしていたのか、ということです 。これがまた情けなくなるほどメディアに煽られて勇み立っておりました。

『なぜ必敗の戦争を始めたのか 陸軍エリート将校反省会議』

これも当時と全く一緒、勇ましい人が、大量に発生してますね。

男はマッチョ思考? 防衛費増額や9条改正への意識、なぜか男女で温度差…単純解釈ダメ!専門家「脳の違い、性差より個人差」

南日本新聞

完全にイメージ通りだなあ。マッチョ思考というより、マウント思考だと思いますけどね。そういっときゃ、上に立った気になれるんですよ。私も経験あるんで分かります(笑)。

先の大戦で敵の手を知った日本の上層部は、その反省をしっかりと活かすことにしたのです。このクソ国民をどうにかしなければ、同じ轍を踏まされると。

教育? それは難しい。だとすればどうすれば・・そうだ、怒らせればいいんだ!

 岸田文雄首相の防衛費増税に反対7割超えの世論調査、それでも「国民の理解得た」の麻生太郎発言が「老害」「異次元」と炎上

週刊女性PRIME

岸田首相、防衛増税「自民党の伝統を背負う決定できた」発言に広がる反発「いつ議論した」「怒りしか湧かん」

smartflash

日本人の悪い癖、他力本願、責任逃れ。そのことは、この2~3年で皆さんも十分すぎるほど痛感したはずです。

戦争そのものを、つまりは国家をいかにして亡ぼさないかの戦争指導を真剣に考えることなしに、 他力本願で世界をすべて敵とする大戦争に突入していったとしかいいようがない
のです。

『なぜ必敗の戦争を始めたのか 陸軍エリート将校反省会議』

日本人のその気質を短期間で変えるには、怒らせるしかない。

世界史は大きく転回しつつある。西欧という一元的な世界史に代わって 、アジアが登場して多元的な世界史がはじまっている。その大いなる歴史的な転回に主導的な役割を果たすべき国が、わが日本なのである。日本人がその役割を自覚し、世界史の方向を原理的に考え直すということは、まさに歴史の要請というべきなのである、と。

そしていちばん最後に高坂正顕がいいきりました。

「人間は憤る時、全身をもって憤るのだ。心身共に憤るのだ。戦争だってそうだ。天地と共に憤るのだ。 そして人類の魂が浄められるのだ 。世界歴史の重要な転換点を戦争が決定したのはそのためだ」

さてさて、昭和十六年十二月八日、日本人はみんなほんとうに憤っていたのでしょうか。当時十一歳のわたくしにはそうは見えなかった記憶があるのですが。

先の大戦の政府の最大の失敗は、国民の取り扱いを間違えたこと。ですから、岸田政権の奇策は、かなり有効に思えます。

しかし、「防衛強化が必要」という一般論は、「自ら負担する用意がある」ことを必ずしも意味しない。つまり「誰かがどこかで負担」するのであれば防衛費増額に賛成でも、増税などを通じて、自らの負担になるのであれば賛成できない人が多い。これは驚くには値しないだろう。

日本の防衛費大幅増額が意味するもの:「増税」方針に揺れる世論 nippon.c0m

「無責任すぎる大人」には、打ってつけの「しつけ」という訳です。

勝ち筋

一見すると破滅に進んでいるように見え、悲観的な書き方をされることも多い日本の未来ですが、私はそうは見ていないことは過去にも何度も書いてきました。

つまりは、勝ち筋が見えるのですね。

その大きな理由の一つは、敵が同じ手を繰り返している、ということなんです。ここに大きな隙があります。

「真珠湾で成功した戦法はミッドウェイでは失敗したということさ。詐欺で失敗する人間は、一回の成功に有頂天になってしまって、おなじ手を二度三度とくり返すからなんだ。山本元帥も、町の詐欺師も、そういう点では、なんら異なるところがないね」

『白昼の死角』 高木彬光

そしてもう一つ、今回の「仮想敵国」たちには、前回の米国ほどのやる気が見えないということです。

ロシア・スプートニク通信によりますと、汪文斌報道官は11日水曜の記者会見で、「日英の防衛協力は、アジア太平洋地域に時代遅れのブロック対立の考え方を持ち込むのではなく、両国間の相互理解と信頼を促進すべきである」との考えを示しました。

中国外務省、「日英はアジア太平洋地域にブロック対立思考を持ち込むべきでない」 PARSTODAY

先にも書きましたが、彼らがやる気満々だと、なぜ分かるのです? ただのおべっか使いかもしれませんぞ? 結論は、もうちょっとちゃんと見てからにしろ、私が言いたいのは、それです。

6日午前10時、御前会議が始まった。終盤に異常な事態が起きた。同会議では発言しないという慣例があるが天皇はそれを破り、明治天皇の和歌を読み上げたのだ。

四方よもの海、皆同胞みなはらからと思ふ代に、などあだ波の立ち騒ぐらむ」(『杉山メモ』)

「避戦」のための、異例の発言だった。「手術=開戦」に納得していなかったことが分かる。

昭和天皇は太平洋戦争に反対だった…それでも国家意思として開戦を決めた「御前会議」で話し合われたこと PRESIDENT ONLINE

畏れ多いですが、当時の陛下も同じだったのではないでしょうか。

「これを見ると、一に戦争準備を記し、二に外交交渉を掲げている。戦争が主で外交が従であるかの如き感じを受ける。この点について明日の会議で統帥部(陸軍参謀本部海軍軍司令部)の両総長に質問したい」

これぞ、まさに! 

政治家はそれを実践しよと努力しているようですが、国民は、イマイチ理解していないようです。しょうもないマウントポジション取ってる場合じゃねえぞ。

岸田! 増税の前に、最大限外交努力しろ!

これが天皇と安倍晋三の遺志を継いだ岸田首相が、国民からぶつけられたい民意だったのではないでしょうか。

それがあれば、嫌いな上司の命令にNOと言えるのですよ。