FOMC後に株価が暴騰しましたね。ネガティブサプライズがあるかなと思ってFacebookページにも書いたのですが、気持ちよいくらいに外れました。

しかしどうも、疑念が拭いきれません。

だって、米国はとてもヤバイことをやってますよ。

利上げという超愚策

FOMCでの利上げが想定内だったことから、安心感が広がり株式市場が反発したということになっていますね。株価が騰がる下がるの理由を一々考えてもしょうがないのですが、ただ昨日は・・

トリプルウィッチングとして知られる四半期に一度のオプションの行使期限を控え18日の米株式市場は再び波乱に備えている。 ゴールドマン・サックス・グループによると、同日には個別銘柄と指数を対象としてオプション、約3兆5000億ドル(約416兆円)相当が期限を迎える。

株式トレーダー、3兆5000億ドルの「トリプルウィッチング」に備える ブルームバーグ

米国の「トリプルウィッチング」だったため、その「波乱」が上方向だったというだけかもしれません。それがいつも下とは限らないのです。今が下落相場なのでしたら、波乱は上のはずですしね。

しかも、彼らは早速、こんなことを言っています。

ウォラー理事は米CNBC番組に出演し「経済データは基本的に0.5%の利上げを求めているが、地政学的な事象は慎重に進めるよう促している」と述べ、ウクライナ危機による不確実性の高まりから3月は0.25%の利上げにとどめたと説明した。

次回以降「0.5%利上げ」も FRB高官、インフレ抑制重視 日経新聞

「ウクライナ危機があるから、0.25%にしておいてやったぜ」

ですって。

しかし、そもそもこの利上げは一体何のためにやっているのでしょうか。経済学的には、インフレを抑えるための金融政策ということになっており、今の状況であれば利上げは当然の施策ということになります。

しかし、当ブログをお読みの皆様におかれましては、経済学なるものがヲタ話であることをとうにご存知のはずでございます。

利上げというのは、単に経済を潰すための政策でしかありません。

そもそもインフレは、金融緩和+財政出動という所謂ヘリコプターマネーが最大の原因であり、金利が低いから起きているのではありません。

一つ前の記事で「街中にお金を無金利でいくらでも貸してくれて、気が向いたら返してねという銀行」があったらという話を書きましたが、その優しい銀行が、ある日突然「やっぱり、金利はとるわ。とりあえず0.25%にしていてやるけど、そのうちもっと上げるよ」となったら、どうなるでしょう。

1億円借りてしまった、と考えれば答えは簡単ですね。単なるヤクザ稼業ですわ。

これまで見てきたように、FFレートと米長短金利差の間には、基本的に逆相関関係がある。その意味では、インフレ対策のさらなる大幅な利上げは、長短金利差を一段と縮小させ、さらに逆イールドの大幅な拡大をもたらす見通しになりそうだ。それは、経験的には景気後退が広がる見通しと言えるだろう。

長短金利差が示す米景気後退の見通し マネクリ

つまり、米国は最悪の政策を実行しているということです。そして、更に深みを覗いてみると・・

連銀は、3月9日でQEをやめたと伝えられてきたが、実は何も発表しなまま、いまだにQEをやめずに続けている。

米連銀はQEやめてない。それでもドル崩壊するのか?」 田中宇の国際ニュース解説

なんと、FRBは金融緩和を止めていないというのです。ということはですよ、インフレ政策を続けながら、経済潰し策をやっているということになりますね。

鬼畜・・これは最悪を通り過ぎてもはや、犯罪だと私は思いますけどね。

そもそもこの金融政策とやらは、私たちの役にはまったくたっていない、百害あって一利なしのものです。

米国、終わってます

それに比べてだいぶマシな政策を維持しているのが、我らが日本なのです。

日本のマシな政策

岸田首相のこの発言には、少々驚かされました。

消費者物価指数(CPI)が今後2%を超えるとの見通しについて見解を求められ、首相は直接のコメントは控えたが、現時点では物価上昇はCPIには反映されていないものの、物価上昇で「零細企業などにしわ寄せが来ている」と話した。

物価上昇に対する国民不安、しっかり受け止める=岸田首相 ロイター

首相自らから、認めましたね。「CPIには表れていませんが、日本もインフレであり、それは害悪ですよ」と。2%だからいいとかないです。

これは大きいと思います。日本のアナリストやエコノミスト等と言う連中は「指標上、日本はインフレではない。だから問題ない。財政拡張などもっとやれ」という姿勢です。

アホか!というより子供か!という話ですよ。

「先生がインフレじゃないと言っているんだから!」

と彼らは、駄々をこね続けているのです。それを首相があっさりと覆してしまいましたね。

さらに「物価上昇に対する不安が国民、日本経済のなかにあるのはしっかり受け止める」とし、「物価が上がるならば賃金・所得の上昇が必要で、さまざまな政策を用意する」と述べた。

しかも、正しい対策論も理解しています。もちろん、言うがやすしで実効性は期待できないでしょう。しかし、言わないことには話にもなりません。こう言った言及があったこと自体が、素晴らしいことと思います。

経済学者、エコノミストとやらへは、爪の垢を煎じて飲めと言いたいですね。

アベノミクスの「真実」

さて、時代を少し遡りまして、第2次安倍政権時代。アベノミクスで、外国人投資家がこぞって日本株買いに動いたのですが、わずか半年ほどで「買い」は失速し、その後株価は再び停滞することになります。当時、アベノミクスは、外国人投資家の失望を買ったという話をよく聞きました。

実際に大規模だったのは、第一の矢と呼ばれる金融緩和だけ、第二の矢の財政出動の時点で期待外れだと言われていました。そして、第三の矢はその姿さえ見えないうちに忘れられていきました。

この時の幼き私は、それを「安倍政権は口だけだ」とメディアと一緒になって批判的に捉えていました。ですから、よくわかるんですね。今、岸田政権の経済政策に文句を言ってる人たちの気持ちが。そして同時に「ああ、あの時の私と同じレベルなんだね」と思います。

実際のところ、日本政府はそんな次元を大きく超えたところで戦っており、国を守るという最も重大な観点において、正しい選択をしています。

以上、財政データを虚心坦懐にながめると、第2次安倍政権での財政は、派手な経済対策とは裏腹に節約傾向であったことが確認できる。それが偶然の産物だったのか、行政機構の知恵によるものだったのかは、データからはわからない。ただ、コロナ禍によって2020年度の歳出は急拡大し、税収は減少することは確実だ。菅新政権が、実質的な節約傾向を引き継ぐのか注目していきたい。

「第2の矢」は放たれていたのか?-財政データに見る「アベノミクス」〈政策データウォッチ(33)〉 東京財団経済研究所

当時の安倍政権は「インフレにしろ」という強烈な外圧をなんとかちょろまかしてきたことが、今となってははっきりと分かるはずです。当時の私はそんなことを露知らず、本当にごめんなさい。

金融緩和だけでもインフレにはなりますが、致命的に酷いことににはならない可能性があるのです。なぜなら「あまり使われない」からです。結局、金融緩和の恩恵というのは投資でしか得られませんから、生真面目で金融知識の疎い日本人には、ほとんど無関係といってもいいくらいでしょう。

もちろん、実際は年金や保険などを通してほとんどすべての人に関係がありますが、酷いインフレになるほどには、そのお金は使われないはずです。

比べて、10万円の支給の時はどうでしたか?

ラッキーとばかりにこぞって消費されていたでしょう。これらの政策、「財政出動」が経済にとって如何に劇薬かということですね。

日銀の奇跡の奇策

そして金融緩和の縮小に関しても、日本は奇跡の奇策で対応しているようです。

日本銀行は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)対応の支援策縮小や資産買い入れの減速を市場の混乱を招かずに進めるため、他の主要中銀よりも目立たないアプローチを取っている。

  今週は日銀のほか、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など主要中銀が金融政策の会合を開く。日銀が上場投資信託(ETF)の買い入れを大幅に減らし、社債購入も減っていることを踏まえると、日銀は幾つかの点で既に主要中銀に先んじている。

(中略)

  元日銀理事で東京財団政策研究所の早川英男主席研究員は、日銀の政策は「言葉ではなくて行動の上で非常にクリアになっている」と指摘。「そういう意味ではテーパリングはとっくにやっている。去年の春はかなり増やしてそれで良かったが、それから国債を増やし続ける理由がないのですぐにやめてしまった。それで良いのではないか」と語った。

日銀の「ステルステーパリング」、まず行動で示唆して説明は後から ブルームバーグ

これには、舌を巻かざるを得ません。日銀は「大規模な金融緩和を維持する」と言いながら、もっとも早くにテーパリングを実行していたのです。

FRBは金融緩和を止めると言いながら止めずに、利上げという経済自壊策を過激に実行して国を破壊。かたや日銀は、大規模な金融緩和を継続すると言いながら縮小し、低金利は維持しているのです。

これ、どっちが正しんですか?

インフレ水準が2%を大きく上回っている米欧と違い、「日本が金利を上げる必要は全くない」と説明した。

商品高で物価2%は引き締め適切でない、円安はプラス-黒田総裁 ブルームバーグ

黒田ナイスと言うしかないですね! 以前は日本がヤバいと思ってて、そういう記事も書いてきました。しかし、私が間違ってました。西の方が全然ヤバイっす。

ちなみに突然騒がれ始めた「悪い円安」ですが、どのくらいが適正かは分かりませんが、120円くらいは全く大したことないと思います。200円とかになったら少し気にしたら?と思いますけどね。

社会主義的な国民性

私は、以前から対インフレという部分において、日本は強いと考えてきました。政府が西側の先進国に比べると大分まともなこともありますが、国民性も対インフレでは優位に働くと見ています。

そもそも、日本人はお金にあんまり興味がないですからね。そんなことないだろうって? でも日本人は投資に興味ないじゃないですか。それは≒お金に興味がないんだと思いますよ。

日本は、本質的に平等(社会)主義的な文化を培ってきた国民なんだと思います。

しかし、平等(社会)主義は悪魔の思想であると怖い外国人に教わってるんで、それを頑なに信じているんですね。まるで親から「お前は悪い子なんだよ」と言われ続けて育った子供のようです。

最近SNSを中心に「目覚める」という言葉を聞くようになりましたが、私はホントの目覚めとは陰謀に気づくことではなく、日本人の尊厳を取り戻すことだと思います。それが”奴ら”が最も困ることですから。

で、この勝負、我々の勝ちだと思います。