G20(=主要20か国・地域)の財務大臣・中央銀行総裁会議がアメリカ・ワシントンで開かれ、焦点となっている物価の上昇について、中央銀行が「必要に応じて行動する」方針などで一致しました。

G20 物価上昇に「必要に応じて行動」 日テレnews

おいおい、ちょっと待て、お前ら。これを長年、目指してたんじゃないの? まず、よろこんでくださいよ。

「やったー、ついに目標の物価上昇を達成したぞ!」ってね。

ま、出来ないよね。結局、まあた民衆が騙されましたってことですからね。

スタグフレーションが拡大

国際通貨基金(IMF)は12日、世界経済見通しを発表し、2021年の成長率予測を5.9%へと下方修正した。新型コロナウイルスのデルタ株の影響により、ほとんどの富裕国で景気回復が弱まっていると指摘している。

IMFはまた、イギリスやアメリカなどで今後数カ月間はインフレが「高止まり」するだろうとし、各国の中央銀行は警戒する必要があると、BBCに述べた。

IMF、世界経済見通しを引き下げ 各国にインフレへの警戒呼びかけ BBC NEWS JAPAN

財政出動はじゃんじゃんやるべき、インフレになれば経済は回復する、彼らはずっとそう訴え続けてきたわけですが、結果はどうでしょう。

IMFのチーフエコノミストのギタ・ゴピナス氏は、最大の問題の1つは高いインフレ率で、特にイギリスでは3.2%、アメリカでは5.3%だとした。

「インフレが最大の問題だ」ですって。

ゴールドマン・サックス・グループのジョン・ウォルドロン社長は13日、インフレこそが現在懸念している最大のリスクだと述べた。

  ウォルドロン氏は国際金融協会(IIF)のオンライン年次会合でインフレについて、「一過性ではない」と指摘。「一過性と定義される事象と日々目にする事象との間にこれほどの乖離(かいり)があるのは見たことがない」と述べた。 

ゴールドマンのウォルドロン氏、インフレこそが最大のリスク ブルームバーグ

「一過性」も嘘だと言います。

では、現状の正解は何かと言えば、スタグフレーションが加速しているのです。

私に言わせればそれは、当たり前の現実であり、予測ですらありませんでした。バケツに水を入れ続ければ溢れる、果たしてそれを予測というのでしょうか?

相場のことは、経済学者に聞くな

さて、話は少し変わって、最近こんなことが話題になりましたね。矢野康治財務次官の財政危機に関する文藝春秋への寄稿についてです。それに対し、有名な経済学者の高橋洋一氏は、こう仰っています。

次に金融工学からも問題がある。直近の日本国債の5年CDSは0.00188%なので、大学院レベルの金融工学知識を使えば、日本の5年以内の破綻確率は1%にも満たないのがわかる。これは、バランスシートからの破綻の考察とも整合的だ。矢野氏が、日本財政が破綻するおそれがあるというのは、降水確率0%の予報のとき、今日は台風が来るので外出は控えろというのと同じくらい、筆者には滑稽だ。

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 財務次官の「財政危機」寄稿が「欠陥もの」である理由 Jcast NEWS

恥ずかしながら、私は「金融工学」なるものを全く知らなかったんですよね。ちょっと調べて見ました。

金融工学は、値動きのある金融商品のリスクやリターン、理論的な価格などを、数学やコンピューターを駆使して数値化し、分析し、リスクヘッジやリスクマネジメントに役立たせたり、投資や資産運用の意思決定に役立たせたりすることを研究する学問です。

「金融工学」 初めてでもわかりやすい用語集 SMBC日興証券

もうね、マジっすか!?って言う驚き。なんと、お金儲けができる学問なんだそうです・・。その理論で、いくら儲かりましたか?

財政破綻はしない?

高橋教授は、財政破綻論は誤りだと言います。彼の経済学、金融工学とやらの知識が間違いだとは思いません。多分あっているんでしょう。しかし、実態は、こういう言うことです。

『文藝春秋』の記事では紙幅の問題からか、矢野さんは指摘していませんが、確かに自国通貨で国債を発行している限りはデフォルトは起きないってだけで、インフレが起きたり、国債の格付けが下がって価値が国際的に落ちたら、カネを貸している日本人や金融機関は損失を蒙ることを、高市さんら「デフォルトは無いっしょ」と思ってる人は忘れています。

財務省のぶっちゃけ話が文春に掲載されたら炎上した件について 現代ビジネス

「財政破綻してません!」って言い張れるってことです。ここに書いてる通り、悪性のインフレ(スタグフレーション)が起きれば、程度の問題こそあれ、それは破綻したのと同じことなんです。

悪性インフレが起こるのか? 焦点はそこだけです。

理屈が現行の学問にあってるかどうかなんて、どうでもいいんですよ。各々の財政破綻の定義が異なっているため、「するしない」の議論は無意味、それは単なる言葉遊びに過ぎません。

ちなみに、高橋教授とかMMT論者もインフレが起こらないとは言っていないので、注意してくださいね。高橋氏はともかく、特にMMTはまるで、それが起こらないというように勘違いさせている、または起きてもすぐに対処できるかのように言っているのが最大の問題です。

悪性インフレの対応には、相当の苦難が伴います。

また、インフレはほとんどの国では2022年半ばまでに、イギリスでは2023年までには安定するだろうとした。一方で、各国の中央銀行は「何が起きているのか、絶対に油断すべきではない」と述べた。

IMF、世界経済見通しを引き下げ 各国にインフレへの警戒呼びかけ BBC NEWS JAPAN

財務省が悲観的に、警告するのは普通のことです。

これらの議論の流れで言うならば、財務省のお陰で日本の経済が硬直化しているという謎の「財務省陰謀論」が跋扈するようになります。

財務省のぶっちゃけ話が文春に掲載されたら炎上した件について 現代ビジネス

ですから、財務省陰謀論なんて、本当に下らないです。これも高橋先生発ですよね。それに「経済詳しいおじさん」が追随しているって構図。

インフレと景気停滞が共存する「スタグフレーション」は、わずか数カ月前には突飛な考えのように見えていたが、今やウォール街の誰もが心配しているように見える。

  世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツのグレッグ・ジェンセン共同最高投資責任者(CIO)は、成長を妨げる物価の上昇が「真のリスク」であり、多くのポートフォリオが著しく影響を受けると述べた。

鳴り響くスタグフレーション警報、市場の関心はCPIと決算発表に ブルームバーグ

トレーダーはみんな分かってますよ。相場のことを学者に聞いちゃ(乂∇`) ダメ-!!

元プロのトレーダーのご意見です。

「将来、税金を上げざるを得ない」

「FX危機になる(円が暴落する)」

「何が起こるか分からない」

日本を貧しくしたのは・・

では、日本から富を奪い、失われた30年を作ったのは、誰でしょうか。こちらをお読みの方でしたら、とうにご存知の通り、黒幕は財務省ではなく、外資です。

「BIS基準」では、企業への貸付へのリスクウエイトは、たとえ最高格付けのトヨタ自動車向けであろうと、100%になった。まして、企業の株式保有には、さらなるリスクウェイトが加算された。

■ 強さを奪われた日本の銀行  このルールによって、日本の銀行は、企業向けの貸付や株式保有を減らさざるを得なくなっただけではない。日本のメインバンク制の強さの根源である、「企業とともに成長する」ことが非常にやりにくくなった。

(中略)

しかし、バブルに湧きかえる1980年代当時の日本では、このBISルールの受け入れが日本経済の競争力に大打撃を与える事を理解した者は、筆者など、一部の金融と政府の関係者くらいだった。

日本を叩き潰す手法が、毒饅頭となって米国を襲う JBpress

財務省はむしろ、守る側だったのです。

 「赤字国債依存は亡国の道」という信念を持つ土光敏夫(経団連の第4代会長)さんの威光も残っていた。  

「国債のリスクはゼロ」というBISルールの導入には、当時の大蔵省は抵抗した。

保守派はもちろん知っている

■ 米国お伽話が終わるとき

 米国は世界最大の財政赤字と貿易赤字を抱えている。

 米国経済は中国に依存し、米国財政はFRBに依存している。それでいて、歴史的な低金利に支えられて、未曾有の規模の国債を発行してきた。

 そして、米国株は、世界の株式の3分の2を占める。凄まじい成功物語だ。

巷にあふれる財政拡張に関わる論、基本的に米国産のおとぎ話と言っていいでしょう。著名な論者は、そのストーリーテラーです。後は、フィクションをノンフィクションだと思ってしまう、視聴者(主におじさんだと思う)がいるだけです。

政治家は知ってますよ。

麻生太郎前財務相からは了解を得ているという。

   岸田文雄首相は、10日のフジテレビ番組で、「いろんな議論はあっていいが、いったん方向が決まったら関係者はしっかりと協力してもらわなければならない」と述べ、釘を刺した。

   高市早苗政調会長は、10日のNHK番組で「大変失礼な言い方だ」と不快感を示した。安倍晋三前首相は「あの論文は間違っている」と明快だ。

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 財務次官の「財政危機」寄稿が「欠陥もの」である理由 Jcast NEWS

ですから、これは絶妙なプロレスです。財務財務次官の投稿は、保守派の本音である、と見ておくべきかと思います。安倍さん、財政拡張やってないじゃ~ん! 「行動は雄弁である」とは、シェイクスピアのお言葉です。

「ただ意見の出し方なんですよね。これは公務員、職員ですから出版物を通じて国民に訴えかけるのは僕は違うと思う。それは政治家の役割」と自身の意見を述べた。

橋下徹氏 財務事務次官の異例「ばらまき」寄稿に「麻生さんが許可出したことがそもそも間違い」 スポニチ

橋下さん・・政治家に国民に本音を語れと言うんですか? アホくさ!