20日の東京外国為替市場は、およそ20年ぶりの円安水準となる1ドル=129円台に値下がりしました。

円相場 一時1ドル=129円台前半に その後は円を買い戻す動き NHK

前回126円で天井、と書いたのに? あんなこと書かなきゃよかった! そんな風に思うことは、毎回のことです。しかし、私はまだ円高論を捨てません。損切り下手だねって、それもあるかもしれませんが。

悪い円安論のバカバカばかしさ

ところで、今回の円安の理由はなんだったのでしょうか? 色々と考えられはするのですが、一番はやはりこれでしょう。

日銀は長期金利の上昇を抑えるため、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指値オペ」と呼ばれる措置を20日に実施すると発表しました。

外国為替市場では、日米の金利差の拡大を背景に円安が進んでいますが、日銀は先月に続いてこの措置を取ることで、金融緩和策を続ける姿勢を改めて鮮明にした形です。

日銀 指値オペ 国債の無制限買い入れ きょう実施 金利上昇抑制 NHK

皆様は、こちらをどう捉えますでしょうか。私は「日銀は戦争をしているな」と思いました。だれと? 金利を暴騰させたい勢力とですね。

今の「悪い円安」とやらと比べて、金利の暴騰のどっちがヤバいかって、語るまでもないですよね。

世界の金融市場で金利の上昇が広がってきた。米国は長期金利の指標となる10年物国債利回りが2年半ぶりに2%台に乗せた。日本も6年ぶりの水準にじわり上昇。新型コロナウイルス禍で世界各国は財政拡大で対応し債務を膨らませてきた。しかしインフレに直面し、緩和局面は転機を迎えている。金利上昇で利払い負担は増し、経済基盤の弱い南欧や新興国ほど影響が大きくなりえる。

金利上昇、世界に広がる 債務膨張で負担重く 日本経済新聞

マジのやつです。

仮に国債が3割下落すれば、日本の金融機関や年金には200兆円近い損失が発生する。多くの金融機関が破綻するだろう。
とりわけ暴落に弱いのが、国債の最大の保有者であるゆうちょ銀行だ。資産の9割近くを国債で(総額160兆円も)運用しているうえ、現金は5兆円ほどしかなく、自己資本(自己資本に組み入れた国債分を除く)も8兆円しかない。
国債が値下がりすれば、すぐに自己資本不足に陥る。いったん、ゆうびん貯金の解約が大量に起きれば現金が底を尽き、国債を売る以外に解約に応じる資金が捻出できない。
しかし、大量の国債売却を実行すれば、さらなる国債暴落を呼び手持資産が減少し、貯金が払い戻し不能になり破綻するだろう。「ゆうちょショック」の発生だ。

筆者が2005年の郵政特別国会の最初の参考人として指摘し、別の会合で当時の生田正治総裁が「その通りのリスクがあります」と筆者に答えた構造的な問題だ。郵政民営化はこの根本問題を未解決のままだ。
そして、国債を70兆円持つ、かんぽ生命も経営危機に陥るだろう。このほかにも、国債を80兆円持つ公的年金も資産が大きく減少するはずだ。もちろん、民間の金融機関も、国債への集中度合いが高いところは、経営危機に陥るだろう。

くにうみアセットマネジメント株式会社

こちらは一例ですし、必ずそうなるというものではありませんが、これらを踏まえると、なぜ日銀がこうまで必死に戦っているのか?が、リアルに理解できるのではないでしょうか。

とはいっても、そもそもその原因を作ったのは日銀じゃないか! 結局自作自演だろ!というのは、とても鋭いツッコミです。ですが・・そんな「白い戦い」が出来るはずがないでしょう? というのが、大人の見解なのではないでしょうか。

露骨な反米政権

今から、約25年前に日本に露骨な反米政権が誕生したのをご存知でしょうか? え? 知らない? そんなはずないんですけどねえ・・。その元党首は、最近こんな発言をしてましたよ。

鳩山氏はツィッターに、「ロシアは否定しているがキーフ近郊で4百人を超えるウクライナの民間人が殺されたことが事実であれば公正に裁かれるべきだ。ウクライナ軍による東部の親ロ派の1万以上の住民の殺害も同様だ。又米軍による数十万のイラク人、アフガン人の殺害もだ。更に日本軍による南京での虐殺も米軍の原爆投下もだ」と投稿しました。

鳩山氏が、ウクライナ・ブチャでの殺害を非難 parstoday

そのおかげと言っては何ですが、当時、我々は随分と酷い目にあわされたという気がします。最近になり当ブログは、露骨な「反米英」に転じているので、反米政権には賛辞を贈りたいところなのですが、彼らの戦い方が正解だったとは、正直言えません

白と黒

露骨な反米の民主党政権が、日銀総裁に指名したのが、白川方明氏。

白川方明(まさあき)・前日本銀行総裁の著作「中央銀行」の英語版と中国語版が相次いで刊行された。総裁時代(2008~13年)に「金融緩和に消極的」として批判を浴びた白川氏は、海外で展開される議論に「違和感」を強く覚えていたという。

前日銀総裁の白川方明氏が語る回顧録 「違和感に耐えられず」 朝日新聞

金融緩和はただの害悪であることを、当時から正しく理解してらっしゃった、素晴らしい学者であると言えるでしょう。

通貨を発行する日銀自身が市場を介さずに国債を直接買い入れれば、財源確保はたやすい。だが、「(引受額に)歯止めが利かなくなる」(白川氏)ことで政府の財政規律と通貨の信認が失われ、急激な物価上昇(ハイパーインフレ)を招きかねない〝禁じ手〟だ。

白川総裁、昭和恐慌引き合いに「歯止め失う」 日銀議事録詳報 産経新聞

今となっては、彼が完全に正しかったことが、証明されたといっていいはずです。ただ先程も書いた通り、彼のその「戦いが正解だった」とは、私にはちょっと言えません。

そして、「戦い」を引き継いだのが、現黒田総裁です。

民主党政権は円高不況の泥沼を抜け出せないまま支持率を低下させ、平成24年12月の政権交代につながった。「デフレからの脱却」を掲げた安倍晋三政権が「三本の矢」の一つとして「大胆な金融政策」を挙げたのは保守的な白川日銀に対する不満のあらわれといえる。

後任の黒田東彦(はるひこ)総裁は就任翌月の25年4月に日銀が保有する長期国債の残高を日銀券(紙幣)の発行残高までに抑える「日銀券ルール」を停止。併せて大量の国債を買い入れる「異次元の金融緩和」を導入し、急速な円安、株高を呼び込むことに成功した。

白川総裁は、その名の通りの「白い戦い」を貫きましたが、黒田総裁のやり方は、それとは全く異なるものです。それはそのまま、露骨な民主党政権とスッパイ自民党政権の戦い方の違いと言えます。

「政治というのは、如何に動機がよくとも結果が悪ければだめだと思うんだ。よっては動機が悪くても結果がよければいいんだと思う。これが政治の本質かと思うんです」

岸信介言録

でも、黒田総裁は国際金融資本の手先なのでは?

ああ、それね。私もそう思ってましたよ。でも、違うんじゃないですか? というより、その見方は短絡的過ぎるんじゃないですかね。ここからは大人の時間です。国際政治というジャンルは「信じる」というのは、一番ダメなんです。

右から左に受け流す

ロックダウン→やらない。

ワクチン→強制はダメです。望む人が打ってください。

ワクパス→無視。

マスク→任意。

世界3位の経済大国で、国民のほとんどは豊かに暮らしてます。

これのどこが、悪魔の仕業なの? むしろ、右から左に受け流す技術、滅茶苦茶高くね?って話です。これを責任逃れだとか言ってる人もいますけど、どんだけ~って感じですよね。

反ワクデモとかやってる人もいますけど、日本だと全然説得力がありません。だって、世界的にいいとされているものを調達してきて「望む人は打ってください」と言ってるだけですからね・・。「やめろー!」て言われても、単に嫌なら打たなきゃいいだけやんって話でしかない訳です。同調圧力を作ったのは、メディアの方ですし。

コロナが起きてから「日本政府悪魔論」を語る人が増えたのですけど、むしろ「そうじゃない感」が表に出てきたのが、それ以降だったと思います。でも、ほとんど誰も気づく様子がありませんね。まあ、信じてるからでしょうね。「日本政府悪魔論」を。それ、外国の諜報機関が流してるやつですよ、多分。

ああ、そうそう。「財務省悪魔論」ってのもありました。あれはもっと酷いですね。MMTでしたっけ。あれの学者とか、今よく道を歩けるよなと思いますけどね。

「金融緩和で大丈夫だあ」「財政出動で大丈夫だあ」いまだに「日本はデフレだから、積極財政で大丈夫だあ」って、おまえは志村けんかって話で。なので「Ken Shimura Theory」、KSTいいんですよ。実際それしか言ってないんですから。

そんな面白おかしな話に耳を傾けるよりも、今の日銀の「黒い戦い」は果たして正解なのか? つまり、日銀は勝てるのか?ってとこに目を向けるべきだと思います。

私は、勝てると思っています。

 米国債相場が数十年ぶりの大幅安となっている。売りが弱まる兆しはほとんどなく、投資家と借り手の双方にさらなる痛みが生じる恐れがある。

高水準のインフレ統計に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の幹部らが利上げの必要性を強く訴えるようになったことが重荷となり、債券価格は今年、投資家があまり目にすることのないペースで下落している。1-3月期はブルームバーグ米国債指数のリターンがマイナス5.5%と、1980年以来の低水準となった。4月も既にマイナス2.4%に沈んでいる。

大幅安の米国債、投資家の痛みさらに拡大か WSJ

なぜなら、ドルの方がもっとヤバいからです。ですから、当ブログの為替予想は、依然として円高ドル安です。