日本株式市場の年始からの上げはすごかったですね。暴落は何度も目撃してきましたが、起きたのはその逆、辰年に相応しい暴力的な上昇でした。
しかし、予想が全くもって外れたのは、私だけではなかったようです。
中国で前例のない株安と日本では持続的な株高が進む中、書簡は「最近の日経平均と香港の急激な逆方向への動きでわれわれは大きな間違いを犯した」と説明。「私はトレーダーとしての自信を失うに至っている」と心情を吐露した。
ファンドは香港と中国でロングポジションを増やし、日本ではショートポジションを増やしていた。
アジア・ジェネシスがヘッジファンド閉鎖、中国と日本で大幅損失 ロイター ロイター
どうやら、今回狙われたのは、個人投資家ではなく海外短期筋だったようです。
日本株は新局面か?
さて、1月頭の暴力的な上げが「ロンドン筋」による、ヘッジファンド狩りだったかどうかはともかく(私はそう思いますが)、マーケット関係者全体が強気に傾く中での上昇という日本株ではこれまで見られたことにない動きだったように思います。
そういう意味で、日本株は上げの新局面に移ったと言う見方が出来ます。
広木氏
“逆張り失敗”日本の個人投資家に変化 「簡単に売ってはいけない相場だ」 テレ朝news
「ここまでずっと一本調子で上がってきたことで、投資家が学んで『そう簡単に売ってはいけない相場だ』と感じている人が増えた結果ではないか。引き続き、長期的に株式を保有し続ける、とどまって投資を継続していくのが良いのではないかと」
その見方は「正しい」と、私も思います。しかし「間違った予想」をしてしまうのが、私の常であることは、ご存知頂ている通りです。
正しい予想と間違った予想
その「間違った予想」の根拠をお伝えしたいと思います。
モルガン・スタンレーは、中国株の主要指標の年末目標を引き下げ、日本の株価指標目標は上方修正した。
モルガンS、TOPIX年末目標2800に上げ-中国株指標は下げ ブルームバーグ
モルガン・スタンレーが、このような見方を提示してきましたが、どう思いますか? 彼らの味方は、当然正しいのでしょう。日本の個人投資家との珍妙な一致を頼もしく感じる人も、不気味に感じる人もいるかもしれません。
もし、この「正しい予想」が間違っていた場合はどうなるのでしょうか?
以上のように見ると、「中国株安→日本株高→為替リスク回避の円売り」という関係になるだろう。その意味では中国株が底入れ、反発に転じるようなら、この関係が逆流、つまり米ドル/円にとっては米ドル安・円高要因に変わる可能性も考えられなくはない。
【為替】中国株安阻止と米ドル/円との関係 マネクリ
私の信頼するマーケットアナリストである、吉田恒氏も言及するように、この流れは「大逆転」するのではないか、というのが私の間違った予想なのです。
仕組まれた世紀の大逆転劇
国際政治は「大逆転劇」をテーマに動いている。当ブログが掲げてきたこの間違った予想が、現実化したことを読者の方はご存知のはずですが、これがマーケットに起こることはないでしょうかね。
過去2年間で米国の企業や銀行が中国投資を大きく引き揚げたことと、中国市場の現在の混乱がどの程度関係しているかは議論の余地があるが、米国債市場に対する中国の影響力も弱まっている。
コラム:進む米中デカップリング、中国「保有米国債」の脅威減退か ロイター
どうも、米国の企業や銀行は「ロンドン筋」に撤退させられたのではないか? と言う感じがしますけどね。何のために? それは今後「大逆転劇」が展開されるからじゃないですかね。
米国、世界一の経済大国の座は盤石-中国に対しGDPリード拡大
ブルームバーグ
中国が自滅的な経済崩壊策をやっている、いやいた、のは、「西側」を追い出す為だったんじゃないか、という気がすごいしています。
習氏はテレビ演説で「一部の企業は苦境に立たされ、また就職が厳しく日々の暮らしに困る人々もいた」と述べ、中国が「逆風」に直面していることを認めた。
そして「これら全てのことを念頭に置いている」とした上で「経済回復の勢いを強固にし、強めていく」と明言した。
中国の習近平主席、経済的苦境に異例の言及 CNN
リーマンショック後の2009年、中国は4兆元の経済対策を実施し、世界経済を救ったと言われました。これが既に「仕組まれた世紀の大逆転劇」ですね。しかし残念ながら、2024年以降の危機に対しては、中国は「世界」を救う気はないようです。
何十年も共生してきた中国と米国が金融面で徐々に切り離されていくことは、金融版の「相互確証破壊」の恐れを減退させるかもしれないが、二極化する世界において一段と溝を深めることにもつながる。
コラム:進む米中デカップリング、中国「保有米国債」の脅威減退か ロイター
中国は共生を止め、「世界」を見捨てる気満々のように見えますね。着々とその準備が進んでいる、という極めてうがった、間違った見方も出来るでしょう。
ただ、世界2位の経済大国としての中国の潜在力を信じる人々は、楽観的になる理由があると考える。調査会社ゲイブカルの創設者、チャールズ・ゲイブ氏は、売りたたかれた中国株が今や世界で最高の投資価値を提供していると言う。
確かなのは、未知のリスクにまみれた中国株市場は、勇者のための場所となっているということだ。
時価総額930兆円失った中国株、ようやく買い場と言えるのか-Q&A ブルームバーグ
もちろん、こんな間違った見方を元に投資行動をしてはいけません。