バングラディッシュのダッカでレストランが武装勢力に襲撃され日本人を含む多くの方が犠牲になるという痛ましい事件が起きました。ISが犯行声明を出しており、その関係が取りざたされておりますが、私はバングラディッシュ当局の発表通り国内勢力の仕業と見ていいのかと考えております。これはバングラディッシュ国内の問題がテロと言う形で外国人を襲ったと考えた方が自然ではないでしょうか。

そして、「日本人を狙った」という見解も一部にありましたが、これも少し違っているのではないかと感じております。

ISと日本には敵対する理由がない

前にも書いておりますが、ISと日本には敵対する根本的、自然的な理由がありません。理由は単純明快、遠いからです。そんな理由だけで?って思う方もいるかもしれないのですが、これは本当に人が争う根源的な理由なのです。隣の住民とは喧嘩になりますが、隣町の住民とは喧嘩になりませんよね? 中国、韓国と日本が未だに仲直り出来ないのは近いからです。「お前の言うことなんか、信用できるか!」と言う方は高橋洋一嘉悦大学教授の『バカな外交論』を読んでみてください。

欧米とイスラム過激派組織との戦いには、日本は遠すぎで関与のしようがないと書いてあります。

どの情報が正しいのか確かめようはないのですが、ISが出したとされる犯行声明にも日本人のことは書いていないようです。前にユーチューブで「日本狙う」と確かに言っていたのですが、あれは先に安倍首相が国際の面前で喧嘩を売ったのです。だから言わせたようなものだと私は思います。彼らの敵はあくまで欧米です。日本人が大好きではないでしょうが、少なくとも彼らの眼中にはないと思われます。

 

しかし、今回と同様のテロは日本でも起こる可能性

私は、東京オリンピックが標的になる可能性はゼロとは言えないものの、IS本体による大規模なテロが日本で起こる可能性は全くと言っていいほどないと思っています。しかし、今回のようなその影響下にあると思われる集団が国内での不満をぶつける形でテロを起こす可能性は決して否定はできないでしょう。ただ、まだ貧富の差がまだそれほど広がっていない日本では、その可能性も諸外国に比べて高いとは言えないと思います。

 

ISがバングラディッシュでテロを起こすメリットもない

あまり褒められた言い方ではないですが、ISがバングラディッシュでテロを起こすメリットもあまり感じられません。彼らの敵はあくまで欧米です。だから、欧米の中心地で起こさなければ意味がないと彼らは考えているはずです。そして、もう一か所は彼ら自身の中心地です。彼らそのものがリスクを冒すなら、これ以外にはあり得ません。

もし、日本でテロが起こされるとしたら、必ず東京が標的になるはずです。実際オウムのテロはその中心も中心でした。もし、千葉や埼玉や群馬や茨城で起きたら、「え? なんで?」って誰でも思うでしょう。失礼かもわからないですが、バングラディッシュはそういう場所です。これだけでもISはこの事件にはほとんど絡んでいないと考える根拠になります。全くノーコンタクトだったとまでは言えないでしょうが、恐らく乗っかっただけでしょう。

そして、これが彼らのメディア戦略の意図でしょう。いい表現ではないと思いますが、フランチャイズ・・みたいなことを目論んでいるんでしょう。本体はほとんど何もせずに、リスクを取らずに世界中に力を誇示できる方法です。

 

若者の虚栄心は時に過激な思想に魅せられる

以上の理由から、私は今回の悲惨な事件は、国内での不満を抱えるバングラディッシュの若者が、外国人に対し歪んだ恨みを増幅させ、暴力に訴えたものではないかと考えました。若者の虚栄心は行き場を失うと、時に暴走を見せるものです。

すでに決めらたルールで敵わないと分かると絶望から怒りがわき、力で現状を破壊したくなる。それは駄目だと押さえつけられていたところに、「いや、実はそれは正義なんだ」と言ってくれる大きな力がある。絶望した若者が、ここに魅せられてしまうことは決して不思議ではありません。

そして、自分たちに有利なルールを作ってきたのは先進国であり、先進国はその元で途上国の富を吸い上げているという事実もあります。彼らはそれを力づくで破壊しようとしているのでしょう。

しかし、犠牲になった方々は罪もない人々であり、自分たちの野心を達成しようとせんが為だけのこの卑劣な犯行に同情の余地はなく、怒りを禁じえないというのは当然のことでしょう。