つい先日、このような質問を頂きました。

「現代の社会主義をどう捉えていますでしょうか?」

骨のあるご質問を頂いたなと感謝するとともに、それに関する記事を書いてほしいというリクエストに、是非お応えしたいと思いましたので、急造的になってしまいますが、こちらの記事を書きました。

質問者様の意図としては、結局、私が推しているサンダースの「民主社会主義」も支配層の影響で、民をよからぬ方向に誘導するものになる懸念があるとのことでした。

答えは明快な方がいいかと思うので、僭越ながらこう申し上げます。

「民主社会主義」は大丈夫です、と。

「共有」と「平等」は全く違う

その懸念は最もだと思いますし、当ブログをご覧の方は、「社会主義」と聞いただけで、顔をそむける世代、失礼(笑)の方もいらっしゃると思います。

しかし、サンダース率いる米国の「社会民主主義」は、今最も民の意向を汲んだ、期待の民主主義運動である可能性は、かなり高いです。

旧「社会主義」は、思想そのものの良し悪しとは関係なく、冷戦後に「悪」のレッテルを貼られ、徹底的にプロパガンダされました。

それは如何にもヤラセ的であり、支配層が「民」の取り締まりのために起こした、と私は睨んだわけです。

Q 社会主義と共産主義の違いは? A 共産主義は社会主義以上の平等主義です。

社会主義は国が管理する平等な経済主義で、財産の保有も一部認めるとされます。しかし共産主義では、「資産はすべて共有」です。国の関与も不要となり、一人ひとりの意思ですべての人が平等になるという経済が共産主義です。国という管理者なしでも平等になれる一種の理想世界ともいえます。

実はイマイチわかってない!資本主義や共産主義って一体何? JACCS

恐らく支配層が最も恐れたのは、「平等」を求めるという人間の自然な姿です。

道徳性は上(神)から押し付けられたものでも、人間の理性から導かれた原理に由来するものでもなく、進化の過程で下(動物が営む社会生活の必然)から生じた。相手を思いやり、助け合い、ルールを守り、公平にやるのは、動物も人間も同じだ。

『道徳性の起源』 フランス・ドゥ・ヴァール

彼らは、それをイデオロギーで否定できないことを知っていたのです。だから、「財産の共同保有」などという、過激な愚策と一緒にして、失敗して見せたのです。それで「平等は駄目だ」という話にすり替えました。劇場型失策、それは、彼らのいつもの手です。

「共有」と「平等」って全く関係ないですからね。私たちの求めているのは、「平等」なんですよ! 「共有」なんてしたくないの。知ってるよね、もちろん。

支配層の戦略は破綻

彼らの民衆を抑える基本戦略として、「主義」を自分達の用意した「箱」に入れて、目の届く範囲で管理しようとします。これが「資本主義」と「支配社会主義」の出発点ですね。よく言う分割統治です。そして、ここに収まらない個性派を「頭のおかしい奴」に指定します。陰謀論者とかは、これです。

彼らは、長年これでうまくやってきました。ですから、このことを知っている人たちに、いくら私が民が勃興していると言っても、なかなか信じてもらえないのです(笑)。

対立は常にヤラセで、民は常に支配層のいいように扇動されていると言う旧来の世界観をそのまま保っている方の方が依然として多いと私は感じます。

そこに私は、一石を投じているつもりです。

つまり、支配層の戦略は、すでに失敗しているということなのです。

彼らの箱に収まらず、尚且つ少数ではなく、多数派になってしまい「頭のおかしい奴」戦略も通じなくなったのが、今の「社会民主主義」です。

「企業社会主義」を倒せ

ちなみに、「資本主義」も「支配社会主義」も、支配層の用意した箱なので、身は一緒です。そのことは、サンダース先生自身が教えてくれます。

ドナルド・トランプ米大統領は先週、再選を目指した選挙運動開始に当たって「米国が社会主義国になることは決してない」と語った。

 この宣言は米国民をおびえさせ、メディケア(高齢者向け医療保険制度)と社会保障の充実に対する支持拡大を損なおうとする試みだ。この2つの人気政策は、ずっと以前から「社会主義的」と冷笑されてきた。

トランプ氏の宣言は、同氏自身と共和党議員が狡猾なコーポレートソーシャリズム(中心的伝道者である)と言う事実を独善的に無視している。企業社会主義の下では、トランプ氏と同氏の富豪の友人たちを豊かにするために、政府権力と納税者の資源が使われる。

【寄稿】トランプ氏は最悪の社会主義者=サンダース氏 WSJ

これは実に鋭い指摘ですね。資本主義=企業社会主義なんだそうです。コロナが蔓延した結果、これは更に加速してますよね。サンダースと米国の若者たちは、これと戦っているのです。

投資会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラックCEOは、「投資家がサンダースの唱える財政政策を考慮するようになれば、長期債相場と株価の両方が動揺するだろう」と警告する。

ヘッジファンドのスタンレー・ドラッケンミラーは昨年6月、サンダースが大統領になれば、株価は30〜40%下がる恐れがあると警告した。

「誰もが今より貧しくなるという意味では平等だ」

「サンダース大統領」に金融業界が恐れる最悪の可能性 NEWSWEEK 日本版

へえ、彼らが損すると、私たちが貧乏になるんですって(笑)。私が思うに、今の金融業界なんて、経済のガンでしかないと思いますけどねえ。

では、誰が大統領なら安心できるのか。

「市場はトランプの再選を願っている」とセブンズ・リポート・リサーチのトム・エッセイは言う。「株主に最も優しい大統領だ」

金持ちに最も優しいのは、トランプですって。やっぱりサンダースの言葉は、正しいのですよ。

「イスラエル批判」が本物の証拠

サンダース氏が「支配民主主義」と戦う勢力であるという証拠で最も強いものは、彼は反イスラエルであり、そのことを公言しているということです。

アメリカ政界でイスラエルを批判することは、保身を考える者、出世を目指す者にとっては、致命的なリスクになります。

ですから、そういう人間は、絶対に表立ってイスラエルを批判することは、ありません。弟子のコルテス氏も同じく、イスラエルを公然と批判するということが、彼らが本物である「信念のために戦う政治家」であることを表しているのです。

彼らは、偽の社会主義と戦う勢力なのです。

調達資金が主に小口献金で構成された候補者はバーニー・サンダース上院議員

米民主党、大統領戦で大口献金になお依存 ロイター

このことも、その証明になっています。まあ、もちろん、彼らも聖人ではないでしょうが・・。

二つの社会主義は別物

という訳で、現在アメリカに二つある「社会主義」は、全く別物なのです。そんで、トランプとバイデンの根は全く一緒、彼らは元々同じ穴のムジナですからね。それが喧嘩別れしたに過ぎません。

米大統領選へ向けた民主党の指名候補争いでトップを走るバーニー・サンダース上院議員は24日、今後10年で保育・早期教育制度に1兆500億ドルを支出する計画を明らかにした。

3歳まで1日少なくとも10時間の保育を利用でき、3歳から早期教育を受けられる制度の導入を目指す。財源は上位0.1%の富裕層への課税でまかなうとしている。

民主サンダース氏、保育・早期教育制度に1.5兆ドル支出案 ロイター

対して「富裕層に盗まれた富を取り返して、皆に還元しよう!」 最高ではないですか。ちなみに、彼は財産の共同保有なんて、愚かなことは言っていません。

私は、コロナ困窮者への支援は出来ないと完全否定してきましたが、本当は出来るんです。その唯一の方法がこれです。

コロナで富を拡大した富裕層から、ダメージを負った困窮者に配当すればいいのです。しかし、誰一人としてこれを言わないですよね。

「緊急事態なんで」って言って、やればいいじゃないすか。

国に補償しろじゃなく、コロナで儲けた人たちに補償しろって言いましょうよ。国って自分達でしょ? そんなこと言ってるから、馬鹿にされるんですよ、お金持ち達に。

一方、CARES法は、経済に直接資金を注入する政策としては米国史上最大だ。(米経済が打撃を受けた原因の一部は、連邦政府や州政府の新型コロナウイルス対応が遅れたことにある)

米議会は、米国の国民や企業に対する支援に2兆ドル(約220兆円)という前例のない規模の資金を投じることを承認した。休業命令や外出制限により個人と企業の両方に致命的な打撃がもたらされており、米連邦準備銀行(FRB)は米国での失業者が近い将来5000万人近くまで膨れ上がると予想している。

CARES法は、新型コロナウイルスの発生により劣悪な経営判断(株の買い戻しにより私腹を肥やす行為や、傲慢さから緊急事態に対する資金のたくわえが不足していたことなど)が露呈した企業に対し、褒美を与える形となっている。

資本主義者を自認する米大統領が、現代米国史上最大の社会主義政策を推し進めるなど、2020年になるまでなかったことだ。

トランプ政権のコロナ救済、サンダース超える社会主義政策に ForbesJapan

簡単な話、トランプは(もちろんバイデンも)嘘つきで、サンダースは本当のことを言っているということですね。そして、ともに熱烈な支持を集めています。残念ですが、トランプ支持者は騙されていると断言していいでしょう。

トランプ支持者は純粋だと思いますが、それ故に旧来の支配層の術中に嵌っています。トランプ現象がイスラエルカルトなのは、間違いありません。

前回の記事で、最強のAIPACが敗れたのは、ネオコンと民主党が共闘したからだと書きましたが、2016年にはAIPACは、それでも勝っています。

2016年は、サンダースはヒラリーと共闘しなかったからです。

サンダース氏は8日の撤退表明で「我々の選挙戦は終わるが、我々のムーブメントは終わらない」と述べ、引き続き政策の実現を目指す考えを強調した。バイデン氏も、サンダース氏の支持者に「皆さんが必要です。一緒にトランプ氏を打倒しよう」と呼びかけた。米メディアによると、両氏は近日中に政策合意を出すことを検討しているという。

4年前と違ったサンダース氏 「信念の人」屈したマスク 朝日新聞 DIZITAL

全勢力がなり振り構わず、妥当トランプに共闘した結果、最強のイスラエル・ロビーを破ったのです。世界一の金持ち勢力は、民が倒したのです。そして、彼らは今度は、バイデンの企業社会主義と戦うはめになるでしょう。

現在のところサンダース氏は様子伺いではあるものの、もしバイデン氏が公約通りの環境対策や格差解消策を取らなければ左派をまとめて反撃に出ることもあるかもしれない。

バイデンの裏切りに募る左派の不満 WEDGE INFINITY

かもしれないではなく、それは、間違いないことです。バイデンが、こっちに寄ってこない限りはね。

理想の政治思想

それでは、最後に私の理想の政治思想を書いて終わりにしたいと思います。

・欧米の帝国主義に踏みにじられた、日本の文化と伝統と取り戻すこと、つまり「日本を取り戻す。」

・債務貨幣を公共貨幣に変える。

私が求めるのは、この2点だけです。これが実現できれば、日本は劇的に良くなること請け合いです。はっきり言って、他はどうでもいいですね。

という訳で、米国の「民主社会主義」を応援する日本の個人ブロガーは、極右思想だったと言うお話でした(笑)。