ここ最近、当ブログの国際政治分析の延長線上に新たな仮説を思い至りました。それは「世界の軍事組織、諜報組織はとある勢力に乗っ取られている」というもので、その「世界」というのは「西側」に留まらず、文字通りの世界中を意味します。
この仮説は、複雑怪奇な現代の国際政治を「あ~らふしぎ!」とすっきり整理することが出来る魔法のようなものです。
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みんな同じ境遇
世界の政治は、一体何の力学でもって動いているのでしょうか? この答えを一言で言い表すことは不可能です。どんなに政治に鈍感な人とでも、「民意」だけで動いているわけではないことは、それとなくでも理解しているでしょう。
逆に過敏な人の中には、完全に一つの権力によって動かされていると固く信じている人も多いようですが、それは決して現実的な見解ではありません。
あらゆるもののパワーバランスで政治が成り立っていることは、まぎれもない事実ではないでしょうか。しかし、多くの人が恐らくほとんど意識していないのは、現代の政治において「軍事組織」が、依然として政治に絶大な影響力を行使している可能性があるという現実です。
そして、大量の軍人を退役させ、各省庁や政府機関の幹部、地方行政の要職に配置した。これにより、元軍人たちが民間人として、軍の意向を受け、あるいは忖度して政治を行う現在の支配体制が完成した。そして、この戦時体制のような体制を長期に温存させたのが、イスラエルという安全保障上の脅威である。こうして、政治的には何も権限のない軍が、政治を担うことが容認されるようになったのである。
エジプト軍は政治組織? CHUOU ONLINE
これはエジプトの話ですが、興味深いのは、先進の民主主義国家であるはずのイスラエルにおいて、軍が政治を担っていることが示唆されていることです。これは意外とどこの民主主義国も、似たようなものなんじゃないかと思うんですね。
ウクライナ ゼレンスキー大統領
ポーランド大統領がミサイル着弾現場へ ゼレンスキー大統領“軍の報告を信じる”…各国から苦言も 日テレ
「ウクライナのミサイルではないことに疑いはありません。私は(軍の報告を)疑いません。我々はともに戦ってきたのです」
ポーランドに着弾したのは、ウクライナのミサイルだと世界が断定する中、一人でそれを突っぱねて非難を浴びたゼレンスキー。しかし、彼の「軍を信じる」という言葉に嘘はなかったはずです。
政治家は、自国の軍を信じることしか出来ないではないですか。シビリアンコントロール?
しじされる独裁者たち
そして、面白いことに最近のある事件において、世界一の独裁者と言われる人物も、ゼレンスキーと同じ境遇である可能性が示唆されました。
このため、軍や地方政府が中国の主権の名の下に何らかの措置を取ろうとしたとき、たとえそれが習や党の利益と衝突する場合でも、習はあからさまに制限できない。
「習は知らなかったらしい」──偵察気球問題が浮き彫りにした、権力構造における本当の「権力者」 NEWSWEEK 日本版
これまでの国際政治を見てきた中、独裁者である習近平の利益を考えた場合の「中国」が、度々それに反する動きを見せていることが、私の中でも大きな謎となっていました。
かねてから中国の外務省は、南シナ海の島しょ部の領有権問題で、他の政府機関よりも穏健なアプローチを取ってきた。国内メディアがこれらの島しょ部における中国のプレゼンスをもっと強化するべきだと主張したときも、外務省は反対の見解を示した。
ただ、01年に海南島に近い南シナ海上空で中国軍機と米軍機が衝突した事件や、20年に中国当局の船がベトナムの漁船に体当たりして沈没させた事件後、外務省は態度を硬化させている。
これらはその代表的なものですが、尖閣諸島もそれに当たります。
中国の多様なアクターの利益衝突がよく見られるのが、南シナ海だ。みな国益を口実にしながら、商業的利益や財政支出、政治的威信など自らの利益を追求しようとする。
過去にも書いてきましたが、それらはどう考えても習近平の利益にはなっていません。ですから、私はそれらの事件は、中国チームのユニフォームを来た「西側」の仕業では? と疑ってきたのです。もちろん、それは習さんを好きだからではありません。彼は合理的な判断をするはずだ、という仮定から外れていたからです。
さてでは、もう一人の東側の合理的な独裁者にも目を向けてみましょう。
ロシアがどん底から這い上がることができたのは、エリツィンを排除する機会をさぐっていた愛国派がようやく力を回復し、元KGBのプーチンをリーダーに据えることができたためだった。
プーチンはよく言われるような独裁者ではなく、このグループを代表する顔なのだ。このグループはシロビキと呼ばれる安全保障・軍関係の勢力に支えられており、党の官僚出身のゴルバチョフやエリツィンのように甘くはない。
「ウクライナ紛争」が発生した「本当のワケ」――ロシアを激怒させ続けてきた欧米 東洋経済オンライン
ほらほら、面白くなってきましたよ。皆さん。プーチンは独裁者じゃないんですって。彼に指示している、いや、彼を支持しているのは「軍」。そして、もう一つキーワード出ました! 愛国派!。
世界の情報を支配する
冒頭に書きましたけどね。私はこの「愛国派グループ」当ブログ通称「ロンドン」こと「「大英帝国の末裔」=「ノルマン人の末裔」が世界の軍事組織の頂点を極め、世界の政治に多大な影響力を駆使していると見ているのですね。こう考えると、本当にすっきりするんですよ。
コロナもワクチンも、やったのは彼らです。それは陰謀じゃなくて「軍事作戦」ですって、ずっと書いて来たじゃないですか。軍は当然ながら、情報のすべてを牛耳っています。
軍が中国の外交政策に大きな影響を与えられる背景には、作戦面での自立性とメディアとの深い関わりがある。外交政策の立案では表向きは限られた影響しか与えられないが、実施の局面では軍の利益を念頭に置いて、独自の手法を取ることができる。外国との緊張を高めることもできる。
軍は世論を巧みに操作して、外交政策に影響を与えることもある。将校がメディアに出演して、愛国主義的な見解を示すことも少なくない。
「習は知らなかったらしい」──偵察気球問題が浮き彫りにした、権力構造における本当の「権力者」 NEWSWEEK 日本版
これは中国の話ですけど、世界中どこでも一緒なんですよ。メディアが嘘つきだって話は最近よく聞かれますが、これはちょっと違っているようです。メディアは拡声器であって、意思は持ってません。
彼らは、上(軍的な組織)から流れてくる情報をただ、拡散しているだけなんですね。日本のメディア情報も元締めは警察らしいですよ。
いうまでもなく、事件報道を異様に重視する現在の日本メディアにとって、検察や警察といった捜査機関は最大の情報源の一つである。
(中略)
また、検察や警察などの当局から発せられた情報は、よほどのことがなければ裏を取らずに書き飛ばす、というのも概ね事実に近い。
『増補版 国策捜査 暴走する特捜検察と餌食にされた人たち (角川文庫)』
こりゃあ、やっかいです。独裁者だろうが民主主義国だろが、政治家は逆らいようがないですね。ゼレンスキーに同情しますわ。
中国と仲良くしたい「アメリカ」
そして、今回、もうひとつ重大なポイントを見ておきましょう。
ところが、CNNなどによると、中国の権力構造のトップに立つ習近平(シー・チンピン)国家主席が、この気球を飛ばす計画を把握していなかった可能性があると、米政府高官が示唆しているという。
昨秋の中国共産党大会で異例の3期目の党総書記の座を手に入れ、3月初めに開かれる全国人民代表大会(国会に相当)で一段と権力基盤を強化するとみられている習が、こんな大胆な作戦を把握していなかったなどということがあり得るのか。
それとも「習は知らなかったらしい」ということにして、米政府が米中関係の悪化を防ごうとしているのか、真相は分からない。
「習は知らなかったらしい」──偵察気球問題が浮き彫りにした、権力構造における本当の「権力者」 NEWSWEEK 日本版
なぜ、今回米国メディアが”軍の意向に逆らって”、習は知らなかったと示唆しているのかということです。私の予想は、この筆者と同じです。なぜなら、米軍の中では、米中戦争など望まない勢力が多数派になっているからです。
前述したように、退役将官や元政府高官たちが個人的にあるいはグループで特定の候補者の支持を表明することは何も目新しい出来事ではない。しかし、今年の選挙戦における軍関係者たちのトランプ支持、バイデン支持の内容は、これまでとは様相を異にしている。
2016年と2020年の大統領選挙を比較して、共和党候補支持を表明したグループの将官が88人から235人に、民主党候補支持が110人から489人とそれぞれおよそ2.5倍、4.5倍と飛躍的に多くの退役将官が名前を連ねただけではない。
トランプ氏再選に異を唱える米軍退役将官たちの真意 GLOBE+
戦争をしたいのは、軍事組織の最上層部。すなわり「ロンドン」です。
しかしながら、多くの海軍提督や空軍将軍を含む500人近くの退役将官たちがトランプ氏の再選を阻止しようとしているのは、トランプ氏自身の軍隊そのものに対する認識が合衆国憲法、あるいはアメリカの民主主義の観点から判断すると極めて危険であると、退役将官たちが考えているからである。
米軍は、最上層部「ロンドン」とその謀略に気がついた多数派勢力の間で激しい闘争になっているようです。実際に、米国の退役軍人が中心になっている、アメリカNO.2のイスラエル・ロビー「JINSA」の重役であるチェイニーやボルトンなど「ネオコン」の面々は、トランプの最大の敵となっています。
この対立構造こそが、今回メディアが特例的に、米中の緊張を緩和させる方向に舵を切っている理由だと思われます。
例えば、羅援(ルオ・ユアン)退役少将は、南シナ海で米軍の空母を爆撃するべきだと主張した。軍が海南島事件の原因は米軍の挑発だとしてアメリカを非難したりしたこともある。
「習は知らなかったらしい」──偵察気球問題が浮き彫りにした、権力構造における本当の「権力者」 NEWSWEEK 日本版
「中国のロンドン」が、気球事件を引き起こした。そう考えれば、全ての謎が解けます。
アメリカの国務長官が中国を訪問する直前に、米本土に偵察気球を飛ばすという決定も、こうした複雑なパワーバランスから生まれたのだ。
安全保障のために軍備を増強する、これが如何に馬鹿げた話か、考えるまでもありません。しかし、その「正論」に反対することが、非常に難しいことであるいうことも現実です。
中国の習近平国家主席に「われわれが望んでいるのは衝突ではなく競争だ」と明確に伝えたとしつつ、「米国の国益と世界のためになるなら中国と協力もする」と述べた。
バイデン大統領「対中競争勝つ」 中国新聞デジタル
おお、よくぞ言ったバイデン。「アメリカ」は、まだ死んでいない。がんばれ! イスラエル~! 「ロンドン」と正面から喧嘩できるのは君たちだけだ。
さて、今回は長くなるのでここまでにしますが、次回は「軍の正論」に対抗する、日本の政治家たちの巧みな戦略について、再度書いていきたいと思います。
予告的に書いておくと、今の仮説を元にすると、自然とこういう疑問が浮かんでくると思います。
憲法の9条って、本当にGHQが作ったの?