長らく軟調な動きを続けてきた日経平均株価が、強さを取り戻しつつあります。9月19日には6月20日以来の年初来高値を更新しています。そのきっかけは解散総選挙にあることは間違いがないことでしょう。

ところで、私はこの記事を先週の土曜日くらいに公開しようと思っていたのですが、小池百合子氏が非常におかしな動きを見せていて、これは見逃せないと思い、先にそちらを書いたところ、本日、日経平均株価が200円以上高くなり、21,600円台まで来ました。

少々、タイミングを逸した感がありますが、一方、アメリカに目を向けてみると、NYダウは22,000ドルを優に超え、22,500ドルとなっています。私は今年は日経平均の方が騰がる余地があるかと考えてきたのですが、水をあけられる形になっています。

その理由となっているのが、ドル安ですね。昨年末に118円まで進んだ円安ドル高は、今の時点でも113円という水準です。これが日経平均株価の軟調の最大の理由となっています。しかし、今までと違うのは、重要なポイントは円高ドル安ではないということです。今は、円安ドル安なのです。

 

とにかくドルが安いけど・・

IMM通貨先物、ドル売り越しが4年半ぶり高水準

米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したデータを基にロイターが算出したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(9月12日までの1週間)は、ドルの売り越し額が4週間連続で増加し2013年1月以来の高水準となった

そのドル安の理由なのですが、これがさっぱりわかりません。4年前というと、FRBが大規模な金融緩和を全開で行っていた時期ですよね。それとバランシートの縮小と利上げという二重の引き締めに動いている現在が、同レベルのドル売り越し、とはいったいどういうことなのでしょうか。

円は2番目に安い

そのドルの次に安くなっているのが、円です。これは当ブログの読み筋です。各国はFRBを追認し、通貨高に舵を切るだろうと予測してきました。そして、日本はそこから取り残される形で、円安が進む。

これはその通りの展開です。ですから、円が弱いのは当たり前だということが言えます。でも、ドルが弱いのは「変」です。普通に考えて、これは是正される、とみた方がいいんじゃないでしょうか。

コラム:成績不振のヘッジファンド、ドル逆張り拡大の賭け

米連邦準備理事会(FRB)による年内利上げ観測が高まり、ドルは足元で反発しているが、ヘッジファンドはさらにドル売りポジションを増やした

先程の書いたとおり、FRBは今年、2重の引き締めに動きます。信念の人、ジャネット・イエレンはこの方針をそう簡単に覆すことはないでしょう。しかし、ヘッジファンド勢は逆らって、なぜか逆張りのドル売りに動いています。

当ブログが昨年から一貫して主張し、確実な実績を上げている唯一の投資の心得は、

「イエレンに逆らうべからず」

というものです。きっと、昨年同様、今年もヘッジファンドは敗北に終わるでしょう。

 

とうとうインフレがやってくる?

昨年、当ブログが示した今年の経済予想の三本の柱が、「グレート・ローテーションの拡大」、「通貨高競争の幕開け」、「インフレの加速」です。このうちの、前者2つに関しては、結構具現化したのではないかな、と思っています。しかし、「インフレの加速」に関しては、起きていません。

経済が堅調で、人手不足が進んでいるにも関わらず、インフレが訪れない、これはなぜなのでしょうか。イエレンさんは、これを「不可解」と表現しました。でも、実は私は、FRBは本当はその理由を知ってるんじゃないの? と思っています。

当ブログが、インフレが起きてこない最大の理由は、「労働市場のグローバル化」、簡単に言うと、外国人労働者の増加、だと分析しています。それを教えてくれたのは、大統領のトランプさんです。

「移民に職を奪われた! 彼らのせいで給料が下がった!」

そう主張する人たちの支持を得て、トランプさんは大統領選挙に勝ちました。そして、「移民を制限する政策」を実行に移そうとしましたね。しかし、これは、世界中から大バッシングを浴びています。

いいか悪いかは、とりあえず置いて於いて、移民、外国人労働者が、国民の給与水準を下げている、という事実があるわけですね。これがインフレを抑えている原因である可能性はかなり高そうではないでしょうか。

でも、FRBが「インフレが進まないのは外国人労働者が原因です」と言えるはずがありません・・。繰り返しますが、これはいい悪いの話は関係ありません。

労働市場のグローバル化によるインフレの抑制、これも限界に近付いていることが、FRB当局者や、各国中央銀行の発言から明らかではないでしょうか。

日本でもクロネコヤマトがamazonに4割の値上げを認めさせたそうです。これを見て、同業他社はどう思うでしょう。同業でない他社も同様です。

 

まとめ

以上のことから、年後半の相場は、ドル高株高、インフレ相場を想定したいと思います。今年のドル円相場の動きが鈍いのは、円安ドル安だからです。これが、円安ドル高になる可能性は高いとみています。そうなれば、120円を越える場面も十分予想できると思います。

日経平均は今年前半からの予想、23,000円~24,000円の予想を維持したいと思います。最後まで書いて気づいたのは、特に新しい材料がありません。繰り返し来ていただいている方にとっては、知っている内容ばかりで退屈だったことでしょう(笑)。

でも、これからしばらくは、変化の少ない相場になるんじゃないかなあと思っています。簡単に言うと、つまらない相場です。大した理由も、高揚感もなく、ただずるずると上がっていく。これがグレート・ローテーションの本質なのかもしれません。