イギリスの「EUの通商交渉が中止した」、とのニュースが入ってきましたね。

英国のジョンソン首相と欧州委員会のフォンデアライエン委員長は5日の緊急電話会談で、英・欧州連合(EU)通商合意の取りまとめを図る。双方による交渉はこの1週間で難航し、決裂の危機が迫っている。

英・EUが通商交渉を中断、5日の首脳電話会談で危機打開図る ブルームバーグ

ここ最近、「合意か近づいている」というポンド買い戻しを誘発させるためだけのあからさまなフェイクニュースが流れていましたが、事実として事態はまったく変わっていませんし、変わるはずがありません。

この交渉に関する見方は色々あると思いますが、私は2年以上前から、この結末は「合意なき離脱」になると断言してきました。

「強硬派」の黒幕

そもそも、この問題をここまで主導してきたのは、イギリスの「強硬離脱派」で、その代表格は元「ブレグジット党」のナイジェル・ファラージ、現ジョンソン首相です。

そして、ここに米国のトランプ大統領が加わります。

トランプ米大統領は英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)問題について、EU側が譲歩しない場合は英国は離脱費500億ドルの支払いを拒否し、離脱交渉を「打ち切る」べきだとの見方を示した。

トランプ氏、EU側の譲歩なければ英は離脱交渉「打ち切るべき」 ロイター

ファラージとジョンソンは、離脱キャンペーンを展開、選挙で国民にEU離脱を選択させ、この問題の根源をつくることに成功しました。その後、メイ元首相が、「かなりいい仕事」をしたのですが、それを書くと長くなるので割愛します。

ところで、なぜ私は2年程前に「合意なき離脱は確実に起こる」などという無謀な予想を掲げたのでしょうか。

それは、それが「ロスチャイルドの意向だ」と気が付いたからです。しかし、その時、私は「ロスチャイルド家は二つある」ということに気が付いていませんでした。

「ロンドン」 VS 「パリ」

報道によれば、英側は新たな漁業制度への移行に3年程度の猶予期間を設ける妥協案を提示。しかし、EUは現在の漁獲高の8割程度を長期的に確保するのが狙いで、溝は埋まっていない。
 こうした中、フランスのマクロン大統領は2022年の大統領選をにらんで強硬論を展開。「われわれの長期的な利益を考慮しない合意は受け入れられない」と強調し、合意内容に不満があれば承認を拒否する構えだ。

貿易交渉、時間切れ迫る 漁業めぐり火花―英EU離脱 jiji.com

当時から、この交渉におけるフランスの強硬姿勢が伝わっていました。ロスチャイルド家は、現在「ロンドン家」と「パリ家」が残存しています。

私は2020年に入ると、この「ロンドン家」と「パリ家」が抗争に陥っている可能性に注目してきました。すると、実にうまく国際政治を説明できるではないですか。それは過去においても適用できます。

そして今は、そのことを確信しています。

ロンドンの金融街シティーは、ビッグバンとして知られる故サッチャー元英首相の規制緩和で黄金時代を迎えたが、今後は緩やかに解体されていくとの懸念が深まっている。金融サービスに関する協定ができないまま英国の欧州連合(EU)離脱移行期間終了が近づくのに伴い、幾つかの企業がEUに事業を移すことを発表した。

「見捨てられた」ロンドン、株やデリバティブ拠点がEUに続々開設 ブルームバーグ

そう、「ロンドン家」は、2015年に兄弟たちに見捨てられたのです。ですから、彼は奪われた本家、イギリスを取り戻すつもりなのです。

何が起こるのか

2020年「合意なき離脱」は、世界に未曽有の混乱を引き起こす、私の予言は残念ながら、コロナに取って代わられてしまいました。ただ、これは1年延びただけでしょう。

2021年「合意なき離脱」は、世界に未曽有の混乱を引き起こす

それは既に始まっているようです。

現在、仏英の国境となっているユーロトンネルは、トラックで埋め尽くされているという。「ウエスト・フランス」が伝えた。

合意なしとなれば関税がかかる、混乱によって品物が入らなくなるーーなどの理由で、フランス側から英国側に渡るトラックが激増しているのだ。

平均は1日6000台だが、今は9000台が押し寄せている。

もう数週間前からこの状態が続き、ユーロトンネルの入り口や、英国に渡るフェリーが出ている港までの道路が、大変な被害にあっているという。

ユーロトンネルのフランス側、パ・ド・カレー県全国道路交通連盟のセバスティアン・リヴェラ事務局長は、怒り嘆いている。約30年にわたって英国と仕事をしてきた、キャリア豊かなこの局長は「これほどの量は今まで見たことがない」と語る。

そして、港やトンネル付近のトラックの保管能力が不足しており、「我々の輸送業者はこれ以上耐えられない。地元だけの業者は完全にブロックされているところもある」と嘆く。

移行期間の延長はあるのか? 国境は既に大混乱。EUとイギリス、最後の正念場:ブレグジット YAHOO ニュース

「合意なき離脱」でも大丈夫、2019年にそんなこと言っている解説者もいましたが、それはあまりに酷すぎる。

合意がない場合、おそらくイギリス人は食料の買い占めに走るのではないか。

筆者はパリの封鎖を前に、食料を買い占めたことがあるが、これはかなり心がダメージを受ける。漠然とした不安があるから買い占めるのだが、買い占める行為によって更に心がむしばまれるのだ(それでも食料があるとホッとする)。

(中略)

コロナ禍と都市封鎖で、ただでさえ人々の心は病み気味なのに、こんな混乱と不安(というより恐怖)にイギリス人の心は耐えられるのだろうか。

筆者はイギリスもイギリス人も好きなので、腹が立ってくる。合意なしに導いて、そんな恐怖に国民を陥れるなら、首相失格ではないのだろうか。リーダーに最も要求されるのは「国民の安全」なのに。嫌な予感しかしない。イギリス人のために、頼むから合意してほしいと願っている。

残念ながら、筆者の願いは虚しく裏切られます。しかも、2019年末の選挙で「早期の離脱(合意なき離脱)は、国民が選んだ」ということにされてしまっています。今更の筆者の怒りの吐露は、単なる愚痴に過ぎず・・つまり、完全にしてやられたのです。

ですから、早く本当のことに気が付いた方がいい、のです。

もちろん、金融もヤバい。

欧州連合(EU)の関係筋は26日、英国の銀行や金融会社にEU単一市場へのアクセス維持を認めるかどうかに関する評価が、来年1月1日までに完了しない見通しだと明らかにした。

英国は離脱後の移行期間が終了する12月31日までEU市場への自由なアクセスが認められている。来年1月1日時点で評価が完了していなければ、同国にとって最大の輸出市場へのアクセスが閉ざされることになる。

英金融機関のEU市場アクセス巡る評価、1月に間に合わず=関係筋 ロイター

マーケットのことを断定はできませんが、「ブレグジットショック」は、もうすぐそこ、かもしれません。