本当の「幸せ」を教えてくれる名作

かの有名な『ああ無情』ことビクトル・ユーゴー作、『レ・ミゼラブル』を取り上げてみたいと思います。

この作品には本当に感動しましたね。作品のすごさに感服することはあっても、心が感動するようなことは少ないのですが、この作品は読んだ後に震えるような感動がありました。

 

あらすじは簡単に、生活のために一切れのパンを盗んだ主人公「ジャン・ヴァルジャン」が、敬虔な司教に救われ更生するも、無情の運命に翻弄され、悲惨な生活を負われます。しかし、それでも彼は、決して「愛」を失わず、正直に生きて、最期、最愛の人、「コゼット」に看取られる中、人生で初めて、唯一の幸せをつかんだ中で死んでいく。そんな物語です。本当に一言で言うと、「愛の物語」ということが出来るでしょう。

我々現代人に、生きる意味と本当の幸せとは何かを教えてくれる名作でしょう。

 

今の私たちは、科学の力で多くの「幸せ」を簡単に手に入れることが出来ますが、その大半は物質によってもたらされるものです。しかし、この作品ではそれによる充足ではない”なにか”、本当の幸せを私たちに伝えてくれる気がします。

 

印象的な台詞

「幸福になるにはどうしたらいいでしょうか。ああこの私が幸福になるには! そもそも私に幸福になる権利があるのでしょうか。私は人生の外にいるものです」

「万事が望みどおりにならないからといって、それで神を恨んではいけない」

-青空文庫 『レ・ミゼラブル』-

 

「ジャン・ヴァルジャン」のこんな言葉が私は印象に残っています。2番目の言葉なんて、まさに我々が忘れかけていることを呼び起こしてくれる言葉なんじゃないでしょうか。

 

人間にとって本当に大事なものとは?

彼の人生は終始、不幸でした。彼が幸せだったのは、本当に最期の死ぬ瞬間のみだったのです。ですが、それは「愛する人に看取られる」という、かけがえのない物だったのです。人間にとって本当に大事な「 」ってなんでしょう? それは物でしょうか? それとも? そんな重大で壮大な、人生をかけて考えるべき議題を私たちに問いかけてきてくれる作品です。

 

この作品は、ごちゃごちゃ理屈を言ってもしょうがないです! 読めば感動します。心が震える感動、物では得られない感動を得たい方はぜひ読んでください。

万人にお勧め出来るまさに名作! といったところじゃないでしょうか。

 

PS..中盤くらいで「首に鈴をつけた男」というのが出てくるんですが、何のために鈴をつけているかというと、若いシスターが自分を嫌っているだろうから、自分が来たことを告げて、避けてもらう為だそうです・・。あまりの切なさに笑ってしまいました(笑)。