本日もドル円が再び100円割れを伺う展開となり、日経平均株価は500円以上も安くなる瞬間があったようです。今日もSQ前の魔の水曜日、毎度のことで大したことはない! と一蹴したいところなのですが、そう簡単でもないようです。

と言うのも、現在夏場に於いての株価の大幅な下落を予想する方がとても多く、世界情勢的にも不安材料ばかりで予断を許さない状態だと言えるでしょう。そんな悲観の中、本当に7、8月に世界的な暴落相場が訪れるのかを考えてみたいと思いました。とはいえ、私に答えが出せるはずないので、今回も彼に聞いてみることにします。

 

やっぱり下がらなかったNYダウ

その彼とは、誰かと言うとアメリカの主要株価指数のNYダウです。先日のEU離脱の投票前に「値動きからダウは例えイギリスが離脱だったとしても、直後から暴落していくようなことはないと教えてくれている」と言うような記事を書きましたが、これはその通りになったと思います。ほぼ残留と思われていたところにカウンターで離脱を食らったので一瞬値幅は出ましたが、すぐに元通りになってます。昨日も少し下がったものの、以前高値圏を維持しています。

 

下がらなくなってしまったダウ

下がらないのはいい事? かはわかりませんが、とにかく異様な強さであることは連日お伝えしている通りです。ほとんど”第三の債券”とでも言ったような動きです。じゃぶじゃぶに余った資金がドル安の影響でダウに集まっているのではないかと思われます。

7、8月に世界的に株価が暴落するのであれば、この異様な強さのダウもとうとう下落に転じると言うことになります。では、そのきっかけになりそうなこととは何でしょうか。過去の値動きから探ってみます。ここ3年くらいのチャートで見てみると、大きな下げに見舞われている時が二度ありますね。2015年の8月と2016年の1月ですね。この二回は正に暴落の様相で、他は調整の範疇と言っていいでしょう。

ダウ3年

※画像はダウの3年チャート

ダウの直近2年の2回の暴落は何故起きたのか?

これですが、この明確な答えは実はありません。2015年の8月と2016年の1月の大幅な下落はいったいなんで起きたのか、未だにはっきりしていないのです。その証拠に明確な「~ショック」と言う名称すらついていません。中国ショックとも言われますが、中国がやばいことは前からずっと言われてましたし、世界の金融システムとは切り離されている中国市場が暴落したくらいで、ダウもここまで下がるというのは理由としては弱いのではないでしょうか。

と言うことは、他に隠れた理由があったと言うことになります。それは何かというと、2015年の8月はフォルクスワーゲンの排ガス不正問題発覚による欧州の投資家による売り、2016年の1月は原油安によって財政が立ち行かなくなった産油国の政府系ファンドによる売りだと言われています。これには証拠がありませんが、まあ、納得はできると言うところではないでしょうか。

しかし、一般的にこの情報が出てきたのは、もう株価が底値に達するかどうかと言うところでした。つまり、普通の投資家には隠れた悪材料だったのです。私も見ていて、「いったいなぜなにもないのにこんなに下がるのか? おかしいな」と言う感覚でした。そしてそれも終わろうかと言うタイミングで情報が出てきて、「ああそうか、やられた」という感じでした。

つまり、過去の直近の二回の世界的な暴落は、理由なき暴落だったのです。テレビでどこかの上場企業の役員さんが、年初からの暴落に対して「業績もいいのに全くわけがわからない」と言っていましたが、私も全く同じ気持ちでした。

 

分かっている理由では下げていない

逆にダウはここ数年、初めから分かっている理由では大きく下がっていません。ギリシャの問題もそうでしたし、今年最大の悪材料と見られていたイギリスのEU離脱問題でさえ、投票間際になっても全く下がらず、みんな残留だと思っているところにまさかの離脱と言う投資家にとっては最悪の結果だったにも関わらず、すぐに元通りとなりました。

ここから言えることは、今ニュースに出ているような表の材料ではダウは下がらない、と言うことでしょう。ドイツ銀行の信用不安、イギリスの政情不安、アメリカの経済減速懸念、これらでは決して暴落することはないと、ダウは教えれているのではないでしょうか。悪く言うと、彼は世界的な大規模な金融緩和というドーピングにより、そんな体になってしまったのです(笑)。

 

7、8月に暴落する条件

ドーピングで大きく膨らんだ体を絞ますことが出来るのは利上げです。しかし、これはほぼ封じられた状態にあり、FRBが7月で利上げに踏み切る可能性は皆無で、直近での実施を匂わす可能性も、世界情勢的に今はとても低いと思われます。とすると、これが下げの理由にはなりにくいと思われます。

だとすると、もう一つの隠れた悪材料による暴落と言うことになります。しかし、我々庶民がこれを知れるのは、ほぼ底値になってからになるのは毎度のことです。ですから、値動きから推理するしかいないのですが、ダウが教えてくれるとしたら、やはりEU離脱の直後につけた安値を割るかどうかではないでしょうか。

ここを抜け、17,000ドルを下回るようなことがあれば、これは「なにかが起きている!」と思ってさっさと逃げ出せばいいのではないでしょうか。そして、日経平均株価も今日の安値くらいでは直近での売り仕掛けの下値ラインくらいなので、普通の動きです。これ以上は材料なしには下がらないのかなあと思いますが、彼の場合はあまりに無茶苦茶なので信用はできません。

やはりダウに聞くのが一番でしょう。その結果、「我々に知れない悪材料が潜んでいない限りは暴落はない」、という予想とは言えない予想になってしまいましたが・・どうでしょうか・・。