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刺激的なサスペンス性溢れる内容

この作品、誉れ高いギリシャ古典悲劇の最高傑作ということで有名なので、さぞかし格式高い、堅苦しい話なのだろうと思い、覗いてみると、意外や意外、その非常に刺激的なサスペンス的な内容に驚かされます。

 

よく小説は、「文学」と「エンターテイメント」にジャンルわけがされますが、この作品はおそらく「エンターテイメント」に分類されるのではないでしょうか。こんな古典でそれは不自然でしょうか。しかし、あらすじを覗けば少しはそんな気がするかもしれません。

 

あらすじ

テーバイの王ラーイオスは、「お前の子がお前を殺し、お前の妻との間に子をなす」という神のお告げを受け、我が子を殺すように命じて家臣に預けます。しかし、不憫に思った家臣はその子を殺せず、森の中に捨ててしまいます。すると、その子は子供いなかった隣国のコリントス王夫妻に運良く拾われ、オイディプスと名づけられてすくすくと育てられます。

やがて立派に成長したオイディプスは自分は実の子ではないのではないかという不穏な噂を耳にし、神にお伺いを立てます。

すると、「やがて父親を殺すことになる」
というお告げを聞き、それを避けるため、コリントスを後にします。

一方その頃、テーバイではスフィンクスという怪物が出現したため、ラーイオスはデルポイに向かいます。オイデュプスとラーイオスはそこで対峙し、行き違いの上、オイディプスがラーイオスを名も知らず、殺してしまいます。

やがて、スフィンクスを倒したオイディプスを王を失ったテーバイは英雄として受け入れ、先王の跡を継がせようと、ラーイオスの妻イオカテスーとめあわせます。のちに二人の間には男女それぞれ二人ずつの子が生まれました。

オイディプスが王になって以来、不作と疫病が続いていたので、神のお告げをうかがったのですが、「ラーイオス殺害のためであるので、犯人をとらえ、追放せよ」とのことでした。
何も知らない不幸なオイディプスはラーイオス殺害者を捜索するように命を出すのです。

結果、イオカテスーとオイディプスは真実を知ることになり、イオカテスーは自殺、オイディプスは自らの目を潰し、こじきとなるのです。

 

エンタメ2枚看板「暴力」と「エロ」が格式高い芸術

どうでしょうか。なんともエンターテインメント性に溢れた内容だとは思いませんか。親子殺人に近親相姦です。今でもそう簡単には許してもらえないような危険なテーマばかりです。

 

ごく簡単に言うと、「暴力」と「エロ」ですが、これはエンターテイメントの2枚看板と言えます。さらに、近親間ですからね。それをサスペンスチックに劇にしています。このような時代から、すでにそういった土台があったと言うことに私は衝撃を受けました。

なぜなら、そういうエキサイティングな内容の作品は比較的最近の新しい時代のものという固定観念があったからです。そんな固定観念をぶち壊してくれたこの作品はやはり最高傑作なのでしょう。

 

ソポクレスは始めから格式高い芸術作品を作ろうとしてこの作品を書いたような気がしません。きっと彼は、人々を面白がらせよう、興奮させようとして、この作品を作ったのではないでしょうか。だとしたら、これはエンターテイメント小説の起源かもしれません。それがやがて古くなると、格式高い芸術と呼ばれるようになった。そう考えたほうが自然なのではないでしょうか。

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