米中貿易戦争が激しさを増していますね。この影響を受けてNYダウは、8日連続安、日本株の方も日経平均こそ妙に底堅いものの、個別株はぼろぼろ、日経平均をTOPIXで割った、NT倍率が歴史的な水準になるなど、いびつな相場となっています。
とは言え、当ブログにお越しの皆様は、とうに対応済みかもしれません。米中覇権争いは本物、投資家は最大限の警戒をすべきと書いてきました。しかし残念ながら、今年の相場、どうもそれだけではすまなそうなのです。年後半に向けて依然、巨大な爆弾を抱えた状態だと言えるでしょう。私たちは世間より一歩先に、その危機への心構えくらいはしておきたいところです。
ドイツ政局がヤバい
相場の大変動に繋がるかもしれないのが、震源地、今度はドイツかもしれません。
CSUのゼーホーファー内相が、「我がCSUの誰も、メルケル首相の失脚などには興味を持っていない」という言い訳のようなコメントを出す事態に至った。言うなれば、メルケル首相の足元はそこまでぐらついているのだ
~ 現代ビジネス ~
一時は盤石と見られていたメルケルの支持率、今は見る影もなく、いつ政治生命を失ってもおかしくないくらいの状況の様です。「メルケルの失脚」実はこれは、昨年から当ブログが予測してきたシナリオです。メルケルは、9月の総選挙で失脚に追い込まれるかもしれない、この予想は実際外れた訳ですが・・、
メルケル首相は両国の苦境を尻目に、世界の頂点に登らんという破竹の勢いだった。ところが、去年9月の総選挙以来、すべてが変わり始めた
このシナリオ、私はまだ終わっていないと思っています。時期が延びているだけではないかと。なぜ、そんなことが言えるのかと言うと、その裏にはある大きな勢力が蠢いているからです。その勢力の正体とは、アメリカです。
ドイツ銀行がヤバい
ドイツ銀行の株は暴落しており、破綻すれば、負債額はリーマンブラザーズの4倍と言われている。だから、「大きすぎて潰せない」。とはいえ、いよいよ危なくなったら、膨大な税金で救済するだろうから、国民としてはいつ破裂するかわからない大動脈瘤を抱えている気分だ
私は過去の記事の中で、2015年の夏以降、アメリカがEU、特にその中心国であるドイツ、そしてメルケルに圧力を強めてきた様を繰り返しお伝えしてきました。もう散々書いたので、詳述しませんが、皆さんが、知っている、「フォルクス・ワーゲン排ガス不正事件」はもちろん、「あんな事件」まで制裁だった可能性が疑われます。
なぜ、アメリカはドイツを徹底的に追い詰めるのか、その理由はこの本が教えてくれます。
何気なく本屋で手に取ったこちらですが、昨年から当ブログがお伝えしてきた内容とかなり近いことが書かれていて驚きました。こちらを読めば、米中対立の本質をかなり平易に理解できます。そして、なぜ、アメリカがドイツに圧力をかけるのか? その訳も知ることが出来ます。
また、ドイツ銀行のヤバさについても詳細な記述があります。その一部を引用させていただきます。
中国と蜜月なドイツ制裁に動くトランプ政権
フォルクス・ワーゲンの排気ガス不正問題は、ドイツ最大の工作機械メーカーであるボッシュも関わっている。そして、ボッシュのメインバンクもドイツ銀行であり、最大の取引先もこれまた中国なのだ。先に述べたように、アメリカが中国の工業発展を止めたければ、ここを狙い撃ちにすればいい。
その理由の根幹は、やはり対中国なのですね。
しかし、米国による「ドイツ銀行潰し」の弊害となっているのが、メルケル首相なのです。彼女は、ドイツ銀行を「公的資金では助けない」と明言しています。
さすがのアメリカも、本当にドイツ銀行を潰してしまうことは出来ないでしょう。そんなことをすれば、中国どころか共倒れです。ですから、当然予定調和、最後には救われる道筋を作った上で、なければならないはずですが、メルケル政権は親中度合いが深く、強情なメルケルおばさんは、米国の言うことは、決して聞こうとしません。
トランプさんとも非常に仲が悪いですしね。でももし、メルケルさんがいなかったら、どうでしょう。「作られたドイツ銀行危機」が起こされる可能性が、かなり高まる気がしませんか? アメリカにはその動機が十分にあるのですから。
米中貿易摩擦は通商問題ではない
貿易戦争勃発の次は、こんなショックがやって来るかもしれない、今年の相場は、ここ数年ではなかったレベルの警戒が必要な状況になって来てしまっているかもしれません。しかし、株式アナリストの方々は、結構楽観的です。
米国の関税政策に関しても、依然として中間選挙へのアピールだなどと言う解説が散見されますが、これは完全に現状認識を誤っています。これを通商問題と言う枠組みだけで捉えるとそういう見解になってしまうのですが、これは決してそれにとどまるものではありません。
本質的に金儲けの問題ではないのです。
トランプ政権のブレーンと言われ、大統領補佐官への昇格が噂されるピーター・ナバロ委員長の著作、『米中もし戦わば』にこのような記述があります。
私たちは中国製品を買うたびに、中国の軍事力増強に手を貸している
事実上、米国の国家戦略ともなっているこちらの書に、相殺関税は軍事戦略、と書かれているのです。それが中国の軍事力の増強に手を貸していなければ、アメリカはそんな愚かな戦略など決して取らなかったということでしょう。
アメリカは金儲けを諦めた
アメリカは、「保護主義」を掲げる人物を大統領に選び、トランプはその言葉通りに行動しています。この事実は、アメリカと言う国家は(一時的にしろ)、「お金儲けを諦めた」ということを如実に表していると思います。
これには我々投資家も当然習うべきで、今はお金の心配をするよりも、身の心配をした方がいい、と言うことになります。問題の本質は通商ではなく、安全保障なのですから、これは決して大げさな話ではありません。誠に残念ながら、実際そういう時代に入ってきたのです。これは当ブログからの警告と言う風に、捉えて頂いてもいいでしょう。
当ブログは昨年から、米国の対中強硬姿勢は本物だと繰り返し訴えてきました。そして、政治状況はかなり、予測した通りになったと言えると思います。
先程、ご紹介した渡辺哲也さんの『これからヤバイ 米中貿易戦争』の帯にこのような記述があります。
トランプは中国を本気で潰す!!
これが全てを表しています。これから先の私たちの未来に待っているのは、まさにこれです。これから起こる世界情勢の大きな出来事は、すべてこのための何かである、と考えれば大抵のことは予見できるでしょう。
そして、投資家ではなく、私達日本人は、「米国とともに中国と戦う」ことが運命づけられていると言うことが確実に言えるのです。