先日、ウォールストリートジャーナルにトランプがドル高けん制発言を行ったという記事が掲載され、それをきっかけにドル円は112円台まで突っ込み、日経平均も18,600円程度まで下落しました。

そんな動きを見て、当ブログではイエレン先生が、講演で倍返ししてくれることを期待すると書いたのですが、倍、とまではいきませんが、そんな動きとなり、1月20日の現在、115円まで回復しています。講演の中で、「イエレン議長は、利上げの加速への意欲を示した」と投資家に捉えられたようです。

これらを踏まえたマーケットの動きから見えてくるのは、「イエレンドル高 VS トランプドル安」という構図です。さて、果たして正しいのはどちらなのでしょうか。

 

利上げの加速は想定内だが、ある衝撃

昨年12月に利上げの発表がありましたが、その際に関係者への驚きとして伝わったのが、「FRBは2017年に利上げを加速させる」という方針を示したということです。当ブログでは昨年の秋くらいに「FRBは来年利上げを加速させる、2017年はイエレン豹変の年」などと書いてきたので、驚きは全くなかったわけです。私にとってはそんなことよりも、相当の衝撃を受けたのは、そのFOMCの場で、イエレン議長が、トランプ大統領の掲げる経済政策に対して、

「私の判断では、必要ない」

と発言したことでした。

だって、相手は米国民が選挙で選んだ次期大統領ですよ・・。その目玉政策を「無駄、私の判断です」って・・。FOMCという世界中の人が注目する公の場で・・。

ここから、彼女はハト派というありふれた生半可な言葉で表現できるような人物ではない、ということが読み取れるのではないでしょうか。イエレンさんは、はっきり言って、トランプにも負けず劣らずの変人だと私は思います。しかし、「イエレンがそう言うのだったら、きっとそうに違いない」、私はそのように思うのです。

 

「トランプラリー」だったのか

選挙でトランプが勝利を掴んでから、株価が暴騰し、それは「トランプラリー」と称されてきました。だから、トランプへの期待が織り込まれた今、就任後に株価やドル円は下落の一途をたどるのではないか、下落を予想する方の根拠はほぼこれに限られるようです。ミスター円と呼ばれる榊原氏も、これを根拠に円高を予想しているようです。

ミスター円、トランプ次期政権下の円高を予想

しかし、当ブログでは、今の相場はあくまで中央銀行バブルであり、トランプはあまり関係がないと考えてきました。

インタビュー:最近の株高、トランプラリーではない=ロベコ

最近同じような趣旨の記事を見つけたので、ご紹介します。もちろん、トランプが影響がないとは言いません。なにせアメリカの大統領ですからね。でも、それはあくまで一材料に過ぎない、定食で言ったら小鉢くらいの扱いです(笑)。

では、この相場の本当は? それは、

「30年続いた債券バブルがとうとう天井を打ち、下落へと歴史的な転換を遂げた。そこから流れ出た巨大な資金の行き先は、果たして!?」

というお話ではないでしょうか。ですから、この相場の本当の大ボスはトランプではなく、やはりイエレン、ということにならないでしょうか。だって、今の相場はイエレンが「急激に利上げします」と言ったら、あっという間にぶっこわれますよ、きっと。トランプがいくら暴言を吐いたって、一瞬下がって元に戻るだけです。

利上げ、財政拡張、ドル安なんて幼稚園児のわがまま

そもそも、トランプ大統領の掲げている政策はすべてインフレ、ドル高政策なのです。どうして、自分でそんな政策を掲げておいて、ドル安にしたいなどというのでしょう。それは幼稚園児のわがまま程度の話であり、好きなだけ食べて運動もしたくないけど、太りたくないというレベルの話です(笑)。

そんな無茶苦茶を言うのがトランプ、と言われてしまえばそれまでですが、実際は積極的なドル高政策を取っているため、その行き過ぎをけん制している程度、と考えておけばいいのではないでしょうか。

実際に政策としてそのように行動しているのに、彼の発言の方が重視されてドル安に進むなんてことは、私にはちょっと考えられません。

参考 ドル高に包囲されたトランプ次期大統領

この記事に書いてあることが、もし正しければ、イエレン、FRBは現状を素直に投資家に伝えているだけである、ということが言えるのではないでしょうか。対してトランプの言っていることは、所詮まやかしです。

結論

本日、トランプ大統領の就任式が、日本時間の深夜に予定されているようですね。ここでトランプはどんな発言をするのでしょうか。それは知る由もないことですが、投資家はいったいどのように対処すればいいのでしょうか。奇しくも現在、ドル円相場は私がニュートラルだと思っている115円程度になっています。ここから、明日以降果たしてどう動くのか。

答えはもちろん、わかりませんが、もしそれに迷って行動出来ない方がいるのならば、イエレンの言葉を信じるのならば「ドル高」、トランプの言葉を信じるのなら「ドル安」に賭ければいいのではないでしょうか。アメリカの偉大な両”変人”は、実際ドルの先行きをそれぞれの方向に語っていたように私には思えます。

儲けるという感じは、「人を信じる者」という構成になっています。果たしてどちらの言葉が信用できるでしょうか。

当ブログがどちらを信じるか、ということは今更書くまでもありません。明日の動きを見て、その答えがいきなり示されるとは思いませんが、半年後、一年後にはその答えは明確に刻まれているのではないでしょうか。

今年の春にはドル円は120円を突破、日経平均は一昨年の高値を奪還、と予想しております。(最初誤って来年春と書いてしまいましたが、今年に訂正します)。

そして、最後にトランプ政権の真意は実際、マーケットではなく、全く別のところにあるのではないか、と私は考えているのですが・・。