「悪霊」が、その姿を現し始めたように思えます。

米国の不振企業に金利上昇の重圧がのしかかっている。米シェアオフィス大手のウィーワークは6日、経営破綻した。オフィス需要の低迷による資金繰りの悪化が高金利で加速し、自力再建を断念した。市場は経済環境の悪化で破綻企業が増えるシナリオを警戒する。

米WeWork破綻 金利上昇の重圧、不振企業の倒産増 日本経済新聞

ウィーワークの破たんは、その象徴として出てきた可能性が高いのではないでしょうか。

総強気

本題に入る前に株式市場について、言及しておきましょう。私は、今の株式市場は、とても危険な状態と認識しています。なぜなら、総強気だからです。

東京証券取引所が11日発表した6日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は、前週末比650億円増の3兆9372億円だった。

増加は3週連続。残高の規模は、2007年8月以来、約16年ぶりの高水準となった。

信用買い残、3週連続増 16年ぶり高水準 日本経済新聞

これは、その確かな証拠です。そんな中、225が30,500円の綺麗なWボトムとなり、誰一人として30,000円以下への下落を疑わなくなりました。私もいったんは、底打ちしたと思いましたが、今の状況から鑑みるに、底打ちはしていないように思っています。

マーケットの悪霊

さて、マーケットの暴落を誘う「悪霊」とはなんでしょうか。

【相違点2】金利水準は当時より低い

 リーマンショック前、米長期(10年)金利は5%を超えていました。利上げが続き、FF金利(短期金利)が長期金利を超える「長短金利逆転」も起こっていました。
 それと比較すると、現在の米長期金利は3.5%です。まだ量的引き締めも本格化していません。急激に金融が引き締められているとはいえ、今はまだ、当時と比べるとはるかに金融緩和的な状況です。

リーマンショック前夜?二つの共通点と三つの相違点 トウシル 楽天証券

こちらは2022年の9月の記事ですが、敢えて相違点を採りあげますが、そんなに違いますかね? そもそも、このリーマン・ショックの原因とは何だったのでしょうか?

あの経済危機は、リーマン破綻直後に株価が下がらなかったことでわかるように、投資銀行の破綻が本質的な問題ではありません。無論、証券化商品に含まれるサブプライムローンの延滞が核心でもありません。問題の真相は、安全神話が壊れ、資金調達ができなくなった市場参加者の資産投げ売りの結果、全ての資産価格のメルトダウンが始まったことにあります。こうした金融危機が再来するとすれば、やはり安全神話が当然視されている資産が震源地となるのかもしれません。

今だから聞けるリーマンショックの深層、その本当の原因に迫る アセットマネジメントONE

これはなかなか鋭い指摘ですね。安全神話の崩壊が、金融危機の原因だという訳です。

例えば、先進国の現預金や国債、AAAの債券、平静を取り戻したレポ市場、こうした安全神話に潜む活断層にも注意を払うことが必要と考えられます。

おお、なるほど、なるほど・・・ってやっぱり、ヤバくね?

株式と国債の関係は、株式のほうがリスクが高く、その分リターンも高いというのが常識です。しかし現在、投資家は米国10年国債利回りとS&P500に「同程度のリスクがあると見積もっている」と、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏はいいます。

通説の崩壊…米国の国債と株式が「同程度のリスク」と考えられている理由【マクロストラテジストが解説】 THE GOLD ONLINE

これまで最も安全と見られていた米国債のリスクが、現在はS&P500と同程度だというのです。何でそうなっちゃったのか?

米国の財政運営が限界に達しようとしている。金利上昇や膨らんだ返済費用に、議会の機能不全も加わり、これまで投資家が何年もほぼ無視してきた財政赤字(今年度は1兆7000億ドル)への注目度が次第に高まりつつある。何らかの節約措置は一時しのぎにはなるだろうが、歳入と歳出のバランスを図る現実的な方法は増税しかない。

コラム:1.7兆ドルの米財政赤字、迫る利払い急増の危機 ロイター

もう超簡単な理屈ですよね。財政赤字が限界に達しつつあるからです。

悪霊にとりつかれた人々

そして、先程の記事にはサラッと超重大なことが書いてありますね。重大つっても、大人なら誰もが知ってて当たり前のことなんですけどね。

何らかの節約措置は一時しのぎにはなるだろうが、歳入と歳出のバランスを図る現実的な方法は増税しかない。

そりゃ私だって、増税してほしいだなんて、そんなマゾなことは言いませんよ。しかし、赤字の組織の存続には、最低でも現状維持が必要であることくらい分かります。

さて「増税メガネ」の本当の意味が分かりましたかね? 最も幼稚な情報源であるテレビや新聞を読んで、小学校低学年レベルの幼稚なニックネームをつけて喜んでいる場合じゃないですぞ、国民の皆さん。

鈴木俊一財務相は8日の衆院財務金融委員会で、岸田文雄首相が「減税で還元する」と説明してきた過去の税収増分は使用済みで「政策的経費や国債の償還に既に充てられてきた」と述べた。還元の原資はないことを認め、「(還元は)財源論ではなく、国民にどのような配慮をするかとの観点で講じるものだ」と苦しい答弁に追われた。鈴木氏は、政府が来年6月からの実施を目指す所得税と住民税の減税により、減税しなかった場合と比べて借金である国債の発行額が増えるとの認識も示した。

財務相「税収増分は使用済み」 首相の「還元」原資なし認める 財務省

これをやらせたの誰ですかね?

そもそも国債は、そのコスト(=税かインフレ)の負担者が国民ですから、ドメスティック(国内的)な存在です。

通説の崩壊…米国の国債と株式が「同程度のリスク」と考えられている理由【マクロストラテジストが解説】 THE GOLD ONLINE

減税のリスクを理解してます? まさか「大丈夫」だと思ってませんか? 投資のリスクに対して「大丈夫です」ってなんなんすか?

そう言い切っている学者もいますが、「それって、あなたの相場観ですよね?」以上でも以下でもありません。 ですが、話している方も、聞いている方もその認識すらないのです。

もしかして「悪霊」にとりつかれてません?

で、この悪霊と戦っているのが、我らが日本銀行。今のところ、常勝です。

ではなぜ日銀は、各国の金利が上昇しているにもかかわらず、国債を買い支えるのだろうか。その理由は、今の状況で金利が上がった場合、日本政府や日銀、さらには日本経済に極めて大きな影響が及ぶからである。

日銀が「国債無制限買い取り」に踏み込む理由、どうしても金利上昇を防ぎたい事情とは FINTECH JOUNAL

悪霊の姿

当ブログ読者の方は既に霊感をお持ちなので、悪霊の姿が見えているはずです。

イギリス政府は歴史的なポンド安などの経済混乱を受けて、先月発表した減税政策をほぼすべて撤回しました。就任したばかりのトラス首相の辞任を求める声が与党内からも強まっています。

英政権が減税政策を撤回 トラス首相いきなりピンチに テレ朝ニュース

だから、歳入を増やさない限り、財政の計算は成り立たなくなる。トランプ前政権が打ち出した2017年減税の最大部分は、法人税率を35%から21%に引き下げたことだ。この税率を28%に戻せば、年間で約1300億ドルが国庫の追加収入になる、というのがホワイトハウスの見積もりだ。

コラム:1.7兆ドルの米財政赤字、迫る利払い急増の危機 ロイター

彼らは「減税テロリスト」、「増税メガネ」の方がよっぽどいいわ。

そして、世界文学最高の作家と言われるドストエフスキーは、今から約150年前に、今の私と同じ悪霊の姿を見ていたようです。

1861年の農奴解放令によっていっさいの旧価値が崩壊し、動揺と混乱を深める過渡期ロシア。青年たちは、無政府主義や無神論に走り秘密結社を組織してロシア社会の転覆を企てる。――聖書に、悪霊に憑かれた豚の群れが湖に飛び込んで溺死するという記述があるが、本書は、無神論的革命思想を悪霊に見たて、それに憑かれた人々とその破滅を、実在の事件をもとに描いた歴史的大長編である。

『悪霊』 ドストエフスキー 新潮文庫

「アナキズム」が見直されている。私が歴史の授業で習った記憶では「無政府主義」と訳されていた。政府や国家を打倒し、無秩序な社会の混乱を目指す過激な思想―。そんな暴力的イメージがあったアナキズムが今、なぜ注目されるのか。(共同通信=大木賢一)

「アナキズム」は本当に過激思想? 見えてきた実像は「相互扶助」だった 見直し進み、出版相次ぐ  47news

今なぜ、こんなニュースが最大手メディアから出てくるのでしょうか? 政府がいらない? 冗談じゃない。政府は見事な立ち回りで、国民を守っています。気づかないのは、馬鹿なだけです。

一方、首相は「どんな呼ばれ方をしようとしても、やるべきだと信じることをやるということだ」と強調。経済対策、防衛力強化、子供子育て強化、エネルギー対策など岸田政権が取り組んできた課題を並べ、「国民のため、わが国の経済のためにやるべきと信じているものについてこれからもやっていく」と述べた。

「増税メガネ」と呼ばれても「構わない」 日本経済新聞

親の心子知らず? それとも単に馬鹿は相手にするなってだけ? 「どんな風にいわれよとも」とは、人の目が気になり過ぎる日本の大人たちをディスっている感じすらあり・・・こんなことを言われて、本当、情けないったりゃありゃしない。

「悪霊」は、ドストエフスキーの陰謀論ではございません。今、まさに我々の目のまえに再びその姿を見せているではないですか。

Foreign Affairs10月12日号でMichael KimmageとHanna Notteという二人の学者が連名で、”The Age of Great-Power Distraction”という論文を出した。「世界のことどころではない大国たち」とでも訳そうか。一言でどういうことかというと――世界の論壇では近年、中国、欧州、ロシア、米国のような大国にのみ照明を当て、恰もこれら大国だけで世界は決まるかの論調が支配的だが、実際にはこれら大国はそれぞれ内外の制約要因を抱えて海外で十分の関与ができない。現代は、パワーが分散して無政府化する時代、大国が世界のことどころではない時代なのだ――。

全く同感。この中では、「無政府化」という言葉がすとんと胸に落ちる。

第三次世界大戦には到らず、ただ世界が無政府状態に、国家が指導者不在になるだけ 現代ビジネス

「悪霊」は、国家の血である国債を狙い打ちました。そして、もっとも怠惰な情報入手先であるテレビ、新聞、SNSで国民を煽てて、その意識を麻痺させました。

もう一つ、今の世界で目立つのは、先進諸国での「国家」がその有効性をどんどん失ってきていることだ。民主主義がポピュリズムに堕しており、政治家は有権者を説得するより、有権者に気に入ってもらう一時しのぎの政策、あるいは単なるキャッチ・フレーズを考え出すことで精いっぱいだ。

「悪霊」の姿は、当ブログ読者の方は、もう、なんべんもご覧になった通り。

悠仁殿下がご即位された時、絶対に子供が生まれる保証など、どこにもありません。もっとひどいことを言えば、悠仁殿下は殺人未遂事件にも遭われています。言ってしまえば、皇室を滅ぼしたい輩は悠仁殿下に狙いを定めればよい、という状況です。

なぜ天皇は126代も続いているのか…「日本の天皇」にあって「中国の皇帝」になかった巧妙な後継ぎルール PRESIDENT ONLINE

憑かれた人々は、湖に飛びこむのか? 稀代の天才作家の物語は、予言となるのでしょうか?