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4月13日、当ブログが下限の想定ラインとして掲げていた、日経平均株価、18,500円をとうとう下回ってしまいました。理由は明快、アメリカの軍事行動に端を発した地政学リスクという最大級のリスクオフ要因です。当ブログでは、予てよりトランプ政権の本質は軍事戦略ではないか、とお伝えしてきました。ですから、この地政学リスクの高まりは想定内ではあるのですが、当初の想定とはずれてきたところも当然あります。

ですから今回、この地政学リスクで株価暴落があるのか? ということを改めて考えてみたいと思います。しかし、どうも妙だと思うのは、今回リスクの当事者のはずの日本円が独歩高になっている、という点です。

なぜ円が買われているのか

リスクオフの際は、安全資産の円が買われる。これは株式投資の常識もいいところの法則なのですが、しかし、今回はいつもと違い朝鮮半島で開戦の危険性が高まっているということなのです。当然そんなことになれば、日本にも被害が及ぶことが想定されるのに、なぜ、円だけが買われるのでしょうか?

その理由は、「日経平均株価を下げるため」である可能性が高いと考えられるのではないでしょうか。日本株は円高になると否応なしに下がるという特徴があるからです。どうやら今回、海外短期筋の方々は、地政学リスクをネタ元に壮大な売仕掛けを行ってきているようです。

今週末は先物取引の清算日だったわけであり、明らかに計画的に売られている兆候が見えていました。何かあるだろう、そう思っていたところ、アメリカがシリアにミサイルを発射、これで材料出尽くし、そろそろ戻るだろうと踏んでいたところ、今度はウォールストリートジャーナルからトランプ大統領のドル高けん制発言が飛び出し、円が再び大きく買われて、日経平均株価は年初来安値を更新するところとなってしまったのです。

このようにどんどん円が買われる材料が追加されていき、現在108円の半ばまで円高ドル安が進んでいます。

 

北朝鮮との開戦はあるのか

さて、そのリスクオフの最大の理由は皆さんご存知の通り、米国と北朝鮮の開戦の問題なのですが、この可能性はどうでしょうか。4月15日にも北朝鮮が核実験を再び行い、米国が攻撃を仕掛けるのではないか、と伝えられております。どうなるかは、もちろん全く分かりません。しかし、個人的な見解では開戦となる可能性は低いと思っています。

なぜかと言いますと、両国にとってデメリットがあまりに大きいと思うからです。

クリントン政権時代にアメリカは北朝鮮との戦争を本気で考えたそうなのですが、その時の試算で5万人以上のアメリカ兵の死者が出て、韓国人は50万人近くの死者が出るとの結果が出たそうです。これはアメリカにとって、相当なリスクですよね。

対して、北朝鮮にとっては、開戦=破滅を意味します。北朝鮮の現体制が勝ち残る可能性はほぼゼロでしょう。この戦争の有無の主導権は北朝鮮側にあると思います。アメリカがレッドラインと定めるところを超えるか超えないかです。越えれば、アメリカは間違いなく攻撃を開始するでしょう。

この戦争が始まるかどうかは、北朝鮮が破滅を自ら選ぶか? という話に集約されます。では北朝鮮はいったい何のために・・? 私にはその理由がちょっと見当たりません。彼らの支配層は国民から富を吸い上げ、贅沢をしています。そして、国民の怒りを畏怖で押さえつけています。そして、核で国際的な発言力を高めようとしている、と私は思います。

「お前ら、核を持たない国には、むちゃくちゃしよるやんけ!」

と北朝鮮はアメリカに言っていましたが、それはその通りなのです。ですから、自ら無茶苦茶される方に進むとは思えないのです。

この状況で意図的ではなく、うっかりレッドラインを越えてしまうという可能性も低いと思います。

 

年に1度あるかないかのリスクオフ場面

マーケットに話を戻しますと、現在、今年の高値から10円ほど円高が進んでいます。この理由につきまして、マネースクエア・ジャパンの吉田恒さんがうまい解説をされています。

今は、行き過ぎたリスクオンの修正場面。では、ここ数年のうちに起こった行き過ぎたリスクオンの修正場面を振り返ってみたいと思います。

一つは2013年の所謂バーナンキショックです。アベノミクスによって、日経平均8,000円台から15,500円程度までの上昇相場は、103円から94円までのドル円の下落とともに、3,000円ほどの暴落に見舞われました。

また、2015年には、VWショックがありました。17,000円台から21,000円まで駆け上がった相場は、やはり125円から115円という10円ほどのドル円の調整とともに、4,000円ほどの暴落となったのです。

また、2016年の初めには原油安ショックがありましたが、これはこの二つとは性質が違く、行き過ぎたリスクオンの修正というよりも、長期的なドル円の上昇の一服という側面が大きい物でした。ドル円は20円以上円高に動いています。

比べてみますと、吉田さんの言うとおり、今回のリスクオフ場面は昨年の11月から始まった所謂トランプ相場、行き過ぎたリスクオンの修正場面である可能性が高そうです。急騰後の10円ほどの円高を伴う急落という点で非常に似ています。しかし、一つ大きく違うのは、株価が異様に強い、ということです。

日経平均株価は急騰した高値からまだ1,500円弱しか下落していません。これは暴落というには少々、大げさでしょう。そして吉田さんの解説が正しいのならば、直近の過去の大きなリスクオフの場面を参考にするならば、ドル円の修正過程は、ほぼ終了に近付いています。

その中、ここからさらに株だけが暴落に向かうのか、という点は私は非常に疑問です。異様に強い株価の理由を日銀のETF買いに求める節もあるのですが、驚いたことにそんな要因がないはずの世界の株価はもっと強いのです。NYダウも下がったとはいえ、相変わらず変態的な強さを保っています。

報道を見ていると、非常に恐ろしい内容が並び、今はなかなかのリスクオフの場面だと私も思います。しかし、それとは裏腹に一向に下がらない株価という現実が存在しているのです。起こっていることの割に、日本をそして世界を見渡しても、今の株価下落は全く大したことのないものだと言えそうです。

そして、その理由は以前よりお伝えしているグレート・ローテーションではないかということです。

地政学リスクは続く

今の場面が、例え想像通りの年に一度あるかのリスクオフの場面だったとしても、地政学リスクが今後収まるかというと、そうも思えません。この後何度もこのような場面が出てくると私は思っています。なぜかと言いますと、冒頭にも書いたとおり、トランプ政権の根幹は経済ではなく軍事にあると思うからです。

当ブログではそれを昨年末からお伝えしてきましたが、いよいよ具現化してきたなと思うところです。そのトランプ政権の戦略は、「(EUを解体に追い込み)ロシアに近付き、税制改正とドル高で中国を追い込み、戦わずして勝つ」という物でした。

そして、トランプさんにその戦略を吹き込んだのは、ピーター・ナバロさんとスティーブ・バノンさん。以前からこの二人はトランプ政権のブレーンと言われていました。ピーター・ナバロさん著、『米中もし戦わば』という本には、

「世界一高い法人税のせいで米国の金と技術が(中国に)流出している。そして、それが中国の軍事力の増強に直結している」

と書かれています。そして、その対抗手段のために税制改革を行うべきだと。実際にトランプさんはここに書いてあるそのままではないか、という内容を発言していました。つまり、トランプ政権の経済政策の目的は、対中国の軍事戦略だったのです。FRBのイエレン議長は「そんな政策は必要ない」と大統領に向かって言い放ちましたが、彼女は、まさに正しかったのです。

しかし、バノンさんが内部対立のせいでNSCを外され、解任かと言われる昨今、この戦略は完全に頓挫したと言えます。まあ、机上の理論でうまくいくはずはないのでしょうし、政治経験のまったくない彼らに主導権を持たせたことに無理があったのでしょう。

トランプさんも、信念をもってこの戦略を自身で推進していたのではないのでしょう。彼は恐らくその場のノリや空気、力関係で自分の主張をころころ変えていくタイプの人間です。あなたの周りにもきっとそういう上司がいるでしょう。そういう人は、結果が伴わない関係をさっさと切り捨てます。ビジネスはそれで成功することも多いと思いますが、超大国アメリカのリーダーとしては、非常に心もとないと思うのは私だけでしょうか。

トランプ政権の新ブレーンは誰になるのでしょうか。果たして新戦略は? それは今は全く見えてみません。新トランプ政権はどう動くのかまったくわからないという状況です。今の時点で分かることは、アメリカの新戦略は喧嘩上等戦略だ!ということだけです(笑)。

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