少し前のことになりますが、3月21日マーケットに衝撃が走りました。それまで異様とも言える上昇一辺倒の異次元相場をみせていたNYダウが237ドル安と急落したのです。その理由は、オバマケアの代替法案が通らない見通しで、その後のトランプ政権の見通しに失望感が広がったからということでした。
なるほど、それはそうでしょう。それまでNYダウは、トランプ大統領選直後、2016年11月から今年3月の初めの史上最高値まで18パーセントも高騰していたのです。そして、その理由は一般的に「トランプ期待」とされてきました。その期待が急速に怪しくなってきたのですから、それは一大事のはず! でした・・。しかし、前回と同様、再び奇妙なことが起こったのです。
法案撤回後の下げ幅縮小の理由
オバマケア代替法案については、成立の見込みがないということで、結局その3日後に撤回されてしまったのですが、ダウは再び100ドルを超える下げを見せていたものの、いざ決まると、ダウは大きく下げ幅を縮小させて取引を終了、ナスダックに至っては上昇していました。
私は朝起きて経済記事を見たときに、、まず「オバマケア代替法案撤回」の文字が飛び込んできたので、ドキッとして、ダウの値を確認しました。すると、59ドル安だったので、「ああ、これは取引後の発表だったのだな。とすると、月曜日は暴落状態?」などと考えました。しかし、さらに記事を読んでいくと、法案撤回のニュースはあくまで取引時間中であり、NY株式市場はその後に下げ幅を縮小していることが分かりました。
その事態に対する解説は、「法案撤回を受けて上昇に転じた」「税制改革に取り込むという期待から」などと、非常に奇妙なものとなっていました。
「彼らはいったい何を言っているんだろうか」というのが、私の個人的な感想なのですが、では、そんな解説に対する当ブログなりの代替は何かといいますと、「トランプはあまり関係ない」というたった一言になります。少々乱暴でしょうか? ですが、このたった一言で、今のNY株式市場の現状を矛盾なく説明できるではありませんか。
「トランプ相場」における法案撤回の衝撃
今のマーケットがトランプ相場だと仮定すると、法案撤回の事実は衝撃的です。その前の2月28日の議会演説でもトランプ大統領は「驚異的な税制改革を発表する」としておきながら、完全なゼロ回答でした。
昨年11月の安値から、上昇した分がその期待だったとするなら、その全部、少なく見積もっても半分は下落してもおかしくないと考えるのが普通でしょう。昨年11月末から、ダウは3,000ドル以上、上昇しています。ですから、どう少なくても1,500ドル以上、3,000ドル売られてもおかしくない、ということです。
しかし、実際はどうでしょう。トランプのゼロ回答を受けて、下落したのは600ドルほどで、ダウは現在その安値から反発気味ですし、ナスダックに至っては高値を更新しています。これが、トランプ期待の崩壊への現時点での答えです。
折しも、当ブログでは、現在の上昇相場は「トランプ相場」ではない、と主張してきました。トランプの影響力は、定食で言ったら、小鉢程度の物だと・・。あなたは定食を小鉢で選びますか?(笑)。ですから、現在のマーケットにおいて、トランプを軸に相場を見ていくことには意味がない! と当ブログでは考えているのです。個人的には、ナスダックの動きなどを見ていても、トランプはむしろ株式市場の足を引っ張てない? とすら思っています。
当ブログの為替の先生と勝手にさせて頂いている、マネースクエア・ジャパンの吉田恒さんが、相場の現状に対してこのような解説をされています。
118円までの米ドル高が、トランプ政権への期待ということなら、それが失望に変われば米ドル安に転換するということになってもおかしくないでしょう。ただ私は、今回の米ドル高をうまく説明できる米長期金利の上昇は、循環的な景気回復と、異常な金利低下「バブル」の破裂といった2つの側面が重なって起こったものと考えてきました。
~ 今週はこう動く!マーケット羅針盤 ~
急速に萎む期待はいい調整に?
当ブログでは、予てから桜が咲くころには、ドル円120円ではないかと予想してきました。東京都内では、今週末には満開のところもあるようです。私は北海道民ですと嘘をつく訳にもいかないので(笑)、この予想に関しては、外れましたと言わざるを得ません。
しかし、吉田さんの解説にもある通り、やはり現在のドル安相場は一過性の調整であると私は思っています。
3月中頃、相場は4月から上昇に向かうと表明される方が非常に多くなっていました。下に行くという方は、ほぼいないという状況だったと思います。そういう時は、得てして相場は上昇できないものです。しかし、「トランプ相場」に対する期待は見事に剥がれ落ちたように思います。
NYダウの方も、8連続安と期間で見ると、結構な調整をしました。当然と言えば、当然です。トランプ期待で買いあがった人は、完全に梯子を外されました。それでも、値でみると、史上最高値から、たった2~3パーセントほどしか下がっていません。この驚異的な強さを一番に見るべきじゃないでしょうか。そして、そんな変態相場は、昨年の7月にはすでに始まっていたことを抑えておくことは非常に重要なことでしょう。
今回の調整で、所謂にわか強気の人は、ずいぶん弱気に転じたように感じています。ここれは相場が再び上昇に転じるにはいい傾向となります。だって、大統領選挙直後から相場が暴騰すると思っていた人は、ほぼゼロですからね。
記事を読んでいただければわかると思いますが、私はにわかではなく、腰の入った強気派ですが、相場が激変するものである、ということは、昨年の初頭で嫌というほど思い知らされましたので、なにか変化を感じれば、「事態は急変しました。さっさと逃げましょう」と書くつもりで慎重に見ているつもりなのです。しかし、今のところそのような変化は感じておりません。
4月は強い、以前からの見解を未だ維持していいのではないかと考えている、今日この頃です。皆さん、快活にお花見を楽しみましょう(笑)。