先週、トランプ大統領が 「香港人権・民主法案 」に署名しましたね。すると立て続けにポンペオ長官がウイグル族に関する内部文書に関して、中国の少数民族に対する人権弾圧について強い批判を行いました。

そして、オーストラリアにおいて中国共産党のスパイが内政干渉しているとのニュース、またフィリピンでは電力網を中国政府が支配しており、いつでも遮断できるとの内部文書のニュースまでありました。

中国共産党とはなんて恐ろしいんだ、まるで悪魔だ、私はこの見方に特に異を唱える気はありません。ただ一方でこうも言いたくなります。

米英さん、一体どの口がそんなこと言うんだ!?

中国悪魔化作戦が進行中

さて、善悪論はいったん置いておいて、昨今の中国への壮絶な批判の高まりは米国陣営によるメディアを使ったプロパガンダ戦略である可能性が高いですよね。国際情勢アナリストの北野幸伯さんは、それを「中国悪魔化」とよんでいます。

「中国悪魔化」に舵を切ったイギリス。欧州で燃え上がる反中の炎

いままで金のために、人権を無視しつづけてきたイギリス。しかし、ようやく香港問題で目覚めた。そして、私は、「そうか、イギリスの経済力は衰えたが、いまだに『情報戦』は強いんだな」と思いだした。それで、「イギリスはこれから、【中国悪魔化】に動くのだな」と思ったのです。

まぐまぐニュース

米英の強力な情報力による中国悪魔化作戦が功を奏し、「中国はなんてひどい国なんだ!」という世界的な世論が熟成されてきているのを感じますね。

中国が悪魔ならばそれを制裁する米英はヒーロー、同じ価値観を共有する日本は、当然ながら彼らを手放しで応援すればいいのでしょう。なにせ彼らは正義の味方なのですから。

しかし、にしても北野さんは少々気になることも書いていますね。

ひどい話です。ひどい話ですが、欧米は、つい最近までこれらの事実をまったく無視していた

彼らはつい最近までこれらの酷い事態を無視していた、しかもお金のために。なるほど、ただまあ今からでも遅くはないじゃないですか。きっと彼らにも動けない事情があったのだし、きっと反省して重い腰を上げてくれたのですよ。

米英の支配者

と思いたいとこなのですが、残念ながら私の知る限り米英というのは、そんなに素晴らしい国ではありません。

事の本質を見る上で、米英政治を知る上で避けては通れないものがあります。それが彼らのより上位の存在、支配層の存在です。それがイスラエル・ロビーです。

AIPAC(米国イスラエル公共問題委員会)を中心とする米国イスラエル・ロビーの影響力の強さは、「前例がない」とまで形容されてきた。

SYNODOS

彼らの意思は内政干渉と言う次元を優に超えています。

今年(2015年)3月3日、イスラエルのビンヤミン・ネタニヤフ首相は米議会両院合同会議で演説し、核開発問題を軸にイラン脅威論を最大限に強調した。40分以上に及んだ演説中、議場では共和党議員らがスダンディングオベーションを繰り返した。

(中略)

米議会の上下両院で多数派を握る共和党もネタニヤフの強硬姿勢を支持し、ホワイトハウスと対立している。こうした議会の動きを加速させているのが、ネタニヤフ政権の意向を代弁しているAIPACの強力なロビー活動だ。

現在のトランプ政権はこのネタニヤフ政権と嘗てない蜜月関係を築いています。つい先日もこんなニュースが流れました。

アメリカのトランプ政権がイスラエルによるパレスチナの占領地での入植活動を、今後は国際法違反とは見なさないと、これまでの方針を転換したことについて、パレスチナ側は「国際法を損なう決定だ」と強く反発しています。

(中略)

これについてイスラエルのネタニヤフ首相は18日、「歴史的な日だ。トランプ大統領に感謝する」と歓迎する意向を示しました。

NHK news web

今年の4月頃、盲目のトランプ大統領が盲導犬に扮したネタニヤフに先導されている、そんな風刺漫画が米ニューヨーク・タイムズに掲載されたものの、数日で謝罪、撤去に追い込まれると言う事態も起こりましたね。

これらの事実は、この風刺画が端的に現実を伝えていると言うこと、ここに関して「表現の自由は存在しない」という2点を強調することとなりました。

米国ユダヤ社会の主流派組織や指導者の間では従来、パレスチナ問題や占領政策に関しイスラエル政府を公然と批判しないという暗黙のルールがあった。

イスラエル政府の政策を公然と批判することは、イスラエルの敵を利することになるという考えに基づいていた。それ故、イスラエルを批判した者は米国ユダヤ社会内で活動することが困難になり、さらにはつまはじきに遭ってきた。

ジョン・メアシャイマーとスティーブン・ウオルツが2006年に、共著『イスラエル・ロビーと米国の外交政策』のオリジナル論文を発表した際、米国ユダヤ社会から猛烈なバッシングに会ったことは記憶に新しい。

SYNODOS

資本主義社会は民主主義で自由な社会である、そう教えられてきましたね。しかし、それは明確な嘘だったことが証明されました。イスラエル傘下の米国ではイスラエル批判は認められず、政治は彼らが強力な腕力で推進している、当然ながらこれは日本でも同じです。この状況はどこかの国に似ていませんかね? そうです、中国です。

一党独裁で政府批判は一向に許されず表現の自由は存在しない、彼らの世界は自分達とは違うよくないものだと教えられてきました。しかし・・

言うほど変わんなくね?

私はそう思いますけど、どうですか?

一つだけ違うとすれば、中国人の100パーセントが自分たちの支配者は中国共産党だと知っていますが、我々の世界の住民の大半は、その代わりがイスラエルであることを知らない、もしくは意識しないというだけです。

ですから、幾分発言の自由があるのです。知られていない分、イスラエルは直接攻撃される機会が少ないですからね。実際その程度の違いしかないと私は思います。そして、中国共産党が悪魔ならば、彼らも似たり寄ったりかもっとひど・・の性質を有しています。

パレスチナ解放戦線、「イスラエルは最大の子ども殺害者」

ファールス通信によりますと、パレスチナ解放民主戦線は23日土曜、声明を発表し、「パレスチナ人の子どもは常にイスラエル占領軍やシオニスト入植者による定期的なテロや犯罪、殺害の犠牲となってきた」としています。

この声明ではまた、「パレスチナ人の子どもに対する占領軍の敵対行為は単純な問題ではなく、こうした敵対行為はファシズムや子どもへの人種差別的な視点の不可分の領域だ」とされています。

さらに、国際社会に対し「パレスチナ人の子どもへの犯罪を引き起こしているイスラエル占領軍への処罰に効果的、実践的な措置を講じるよう求める」としました。

PARSTODAY

彼らの声に耳を傾けるならば、イスラエルの言いなりであるアメリカに中国の人権問題を非難する資格などそもそも存在しません。

ちなみに、この「ParsToday」はイラン発のニュースサイトですが、一言でいうと反イスラエルメディアです。ですから、非常に貴重な存在です。日本に反イスラエルメディアは存在しておらず、イスラエルに批判的な著名言論人なども人っ子一人として存在しません。

右派だとか左派だとか言ってみたところで、あの新聞社もあっちも結局はみんな仲良しの同胞なのです。日本のメディアなど所詮そんなものだということを知っておくことは重要です。そして、テレビで偉そうに話している解説者もその程度の範囲のことしか言っていないのです。

理由はアメリカと一緒でそんなことをすればつま弾きに合い、活動することが困難になるからです。たまに芸能人が安倍政権を批判したとか話題になったりしますが、安牌過ぎてダサいので、どうせやるならイスラエルを批判して見たらどうでしょう?

いったい何が起こるのか、その身をもって経験できるでしょう。

こうしたリベラリズム重視の米国ユダヤ人から見ると、現在のイスラエルはかなり異なっている。右傾化や偏狭なユダヤ民族主義が強まっているからだ。

実際、今年3月の選挙を含め1990年代以降のほとんどの国政選挙で、リクードを筆頭とする右派政党が全議席の3分の1以上を確保し、連立政権の中枢を担ってきた。一方、かつてイスラエル政治の中核だった労働党に代表される左派や中道左派政党の議席数は低迷を続けている。

SYNODOS

今の国際政治を動かしているのは、イスラエルの保守強硬派です。トランプ政権の最大の支持母体は彼らです。そして、中国共産党を叩き潰そうとしているのも彼らです。それは決して正義の使者などではありません。

米国ユダヤ人で自らをシオニストと位置付けながら、イスラエルの占領政策と、その占領政策を批判しない米国ユダヤ社会の伝統的な主流派を痛烈に批判し続けているのが若手ジャーナリストのピーター・ベイナートだ。

彼によれば、旧い世代が強調するユダヤ人迫害の物語を若い世代は共有していない。むしろ若い世代の目には、「ユダヤ人は犠牲者だ」という旧世代の言説と、イスラエルによる占領の継続や人権侵害という現実とは明らかに矛盾していると映る。その結果、若者はイスラエルにより批判的になっているという。

いつまでも米英正義論に恋をしていると、私達はいずれ時代遅れになるのかもしれません。では、中国の方がいいのかと言うとそれもないでしょう。私が言いたいのは、彼らは似た者同士だということです。

つまり、どっちもよくないのです。ですから今度の戦いに中国が勝っても我々にメリットがないのだから、イスラエルが勝った方がいいと思っています。

それに中国は日本に復讐したいみたいですし、自由はより狭まるでしょう。

その割には、ずいぶんイスラエルに批判的じゃないかって? いえ違いますよ、当ブログは今反抗期なだけです。それは愛情の裏返しと言うことです(笑)。