ドル円108円でアベノミクス終焉?

円高が止まりません。4月8日にドル円相場が107円台まで突っ込み、株価も大きく下落しました。毎度のSQ前の仕掛けと言う側面もありますが、今回はそれだけでは語れない大きな動きがありそうです。それは、前回、前々回の記事でお伝えしている、このG20での秘密裏でのドル安誘導への世界合意です。

焦点:ドル高是正で「G20協調」の思惑、市場混乱の収束で増幅

これを受けて、世界の投資家が一斉にドル売りに傾てきている可能性が高そうです。

推測の域ですが、アベノミクス相場では、これまで何度か政府がドル円を買い支えしている、と思われる場面(画像参照)がありましたが、この合意の元では、今はそれも不可能でしょう。アメリカがドル安を志向する以上、日本側から円安を作り出すことは相当難儀というか、無理でしょう。

名称未設定

これまで、アベノミクス相場を叱咤激励してきた私ですが、残念ながら、「アベノミクスは終了した可能性が高い」、と言わざるを得ないでしょう・・。ドル円の高値は、黒田総裁が自らの発言、「これ以上円安にはなりそうにない」で止めた125円と言うのが、象徴的です。振り返れば、政府、日銀、自らアベノミクスを終わらせてしまったと言うわけです。

もし、わずかにまだ望みがあるとしたら、伊勢志摩サミット前に出されると言う、財政政策と消費増税の行方です。しかし、安倍政権は、これまで金融以外の政策では、ことごとく投資家の期待を裏切っており、今回もトレンドをひっくり返すくらいのものが飛び出すとは考えづらいのですね。

 

ドル円相場の長期視点

アベノミクス円安は、2012年の11月の70円台から始まっていますが、私はこれまでこれは、「プラザ合意」から始まる円高局面の歴史的な転換ではないかと思ってきました。

それが、125円などと言う中途半端なもので終わっていたとしたら、それは単なる長期的な円高トレンド中の大きめの調整に過ぎないと言うことになると思います。であるならば、長期で見ればドル円は再び、80円方向へ戻るはずなのです。そのイメージに近い解説があったので、ご紹介です。

ドル/円下落はアベクロ失敗を宣言するもの。2016年中に100円の大台割れもあり得る!

何しろ、2011年の米ドルの最安値から見た上昇幅は確かに大きかったものの、過去の米ドル高・円安の時期における値幅と比べれば、それは必ずしも大きいとは言えない

筆者の陳満咲杜さんもおっしゃる通り、125円までのアベノミクス円安は激しい円安の様に見えて、実は非常に中途半端なものだったのです。私はいったん、135円程度までを目指すと踏んでいたのですが・・。

円高時代がもう終わり、これからは本格的な円安時代に入っていくと自信をもって言えなくなるだろう。何を隠そう、筆者もその1人だ。2011年以降、円安時代に突入したのでは…と考えていたが、現在は動揺し、もしかしたら円高の流れがまだ続くのでは…と思うようになっている。

陳満咲杜さんは、このようにおっしゃっています。しかし、僭越ながら、私はまだそうは思っておりません。

 

やがて「悪い円安」がやって来る

再三指摘しているように、日銀は異次元の金融緩和を断行(年間80兆円の国債を買い入れ⇒マネタリーベースは2013年3月の135兆円が2015年末には355兆円、2016年末には435兆円に)と激増している。
さらに、株式(ETF)、REITを購入している。現状では中央銀行の信頼性を大きく損なう施策である。将来的にはこれが為替に反映されるのではないか。そう、制御不能の円安になろう

杉村富生 兜町ワールド

株式評論家の杉村冨生さんの解説です。私が、円安はまだ終わっていないと思う根拠はここになります。アベノミクス円安、日本政府にコントロールされた都合の「いい円安」はもう終わったのかもしれません。

しかし、歴史的な円安は、やはりまだ終わっていない、そう、制御不能の円安、「悪い円安」がこれからやって来る可能性が高いと考えているのです。

 

誘因はやっぱり黒田バズーカ

日銀は現在年間80兆円の国債を買う、所謂異次元の金融緩和を実施していますが、このペースを続けると、18年末には市場の国債の半分を買い占めることになるそうです。これはいったい、どうやって止めるんでしょうか? アメリカのFRBが現在QEの出口で大変な苦労していますが、日銀の異次元緩和は苦労も何も、出口が全く見えません。

産油国の売りが出る、という理由で年初から世界の株式市場が暴落しましたが、日銀の持っている国債の市場に対する比率は、それとはまったく比較になりません。市場の半分も持っちゃてる人がもう買うのを止めると宣言して、その後、誰がまともな値段で買うんですかね? 将来の国債の暴落は確定していると言っても過言ではないと思います。

国債の暴落=超円安です。お得意のリスク回避の円高は流石にあり得ないでしょう(笑)。

 

株価は結局どうなる?

外国人が日本株を売りまくっているようで、年初からのその売り越し額は5兆円にもなるそうですね。理由はいろいろあると思うんですが、大きな原因は、正に黒田総裁が言う通り、「これ以上円安になりそうもない」と踏んだからではないでしょうか。

今のところ、円安=株高は絶対です。過去には円高=株高の時代もあったようですが、どちらにしろ、国債の暴落による、ハイパーインフレはやってくるのでしょうから、株価の高値だって、相当高いと考えられるのです。

 

直近はアメリカ様の動向を見守るのみ・・か?

しかし、その到来は少し先の話となりそうです。今は、アメリカがドル安志向を改めるのを静かに待つしかありません。FRBは本当はインフレを恐れています。世界的なQEによる溢れるマネーは状況によっては、簡単に、急激にインフレを起こす可能性を秘めています。通貨安はその最大の誘引剤です。

その予兆が現れた時、その抑制のため、アメリカは再びドル高へ方向転換することでしょう。残念ながら、日本政府はその時を待つしか手がない、と言うのが今の悲しい現状ではないでしょうか。